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出所後の孤立を断つ岸和田モデル。住まい・就労・福祉を束ね、まちぐるみで支える再出発

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民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」に基づく助成事業
画像出典:社会福祉法人 岸和田市社会福祉協議会 プレスリリース

刑務所を出ても、頼れる人がいなければ暮らしは続かない。住まいだけを用意しても、孤立が再び人を罪へと押し戻してしまう。この「制度の隙間」に正面から向き合う取り組みが、大阪府岸和田市で動き出す。

地域の福祉を支える社会福祉法人岸和田市社会福祉協議会が、刑務所出所者などの住居確保と暮らしを支えるネットワークづくりに乗り出し、その事業が休眠預金等活用事業の実行団体として正式に採択された。

 

休眠預金事業に採択、3か年の社会復帰支援が始動

プレスリリースによると、岸和田市社会福祉協議会は、更生保護法人日本更生保護協会が資金分配団体を務める「休眠預金等活用事業2025年度通常枠」の実行団体に採択された。2026年5月から2029年2月末までの約3か年にわたり、「『住まい』を起点とした地域包摂型・再犯防止モデル構築事業」を進める。本事業は、長く使われないまま眠っていた預金を民間の公益活動に役立てる国の枠組みを背景としており、行政の手が届きにくい領域に民間の創意で踏み込む試みでもある。

事業の中核は、刑務所を出所した人などが岸和田市内で穏やかに自立へ向かえるよう、市内の既存物件を活用して最長3年間暮らせる「ステップハウス」を用意することにある。住まいを提供するだけでなく、地域の人々と交流できる居場所づくりや就労・福祉の支援を組み合わせ、誰もが孤立せずにやり直せる「岸和田モデル」の構築を目指す。

 

「住まいは見つかっても、暮らしが続かない」という現実

岸和田市社会福祉協議会はこれまで、市内で住まい探しに困る人々への相談支援を続けてきた。その中で浮かび上がったのが、刑務所を出所した人の支援に立ちはだかる大きな壁である。一時的な施設やアパートに入居できても、地域に頼れる人がおらず孤立し、寂しさや不安から生活リズムを崩したり、再び罪を犯してしまったりするケースが少なくないという。

既存の更生保護施設などは利用できる期間が数か月と短い。長期間社会から離れていた人にとって、いきなり一人で暮らすには準備期間が圧倒的に足りない。この空白が、せっかくの再出発をしばしば頓挫させてきた。再犯の防止は近年、国の刑事政策でも重要課題に位置づけられ、出所者が安定した住居と仕事を得られるかどうかが立ち直りを大きく左右するとされる。住まいと人とのつながりの両方を欠いたまま社会へ放り出される構図こそ、岸和田が崩そうとしている壁だ。

 

焦らせない住まいと、お弁当から始まる見守り

新事業では、岸和田市内の空き家などを借り上げ、最長3年間暮らせる訓練住宅としてステップハウスを提供する。数か月で退去を迫られることなく、年単位でじっくりと、失敗を繰り返しながらも生活の土台を整えられる安心できる住まいを用意する考えだ。増え続ける空き家という地域の課題を、再出発の資源へと転じる発想でもある。

特徴的なのは、部屋を貸すだけで終わらせない仕組みである。本人に外出の機会をつくってもらうため、週1回、手作りの弁当を協議会へ受け取りに来てもらう。その際の面談で体調や悩みを聞き取り、必要な医療や福祉サービスへと確実につなげる。関係性が築けたら、大人も参加できる地域の子ども食堂や清掃ボランティアへ一緒に足を運び、少しずつ地域社会との接点と「自分の居場所・役割」を感じられるよう段階的に支える。弁当という日常のささやかな営みを入り口に、孤立を防ぎ社会へとつなぎ直す設計だ。

 

まち全体で抱える見守りネットワーク

支援を協議会のスタッフだけに委ねないことも、この事業の眼目だ。市内の保護司や民生委員、行政窓口、地元の不動産店などが集まる「ケース検討会議」を定期的に開き、一人の人を特定の担当者だけが抱え込むのではなく、まち全体で温かく見守るチームをつくる。担い手を地域に分散させることは、支援の継続性を高めると同時に、出所者を受け入れる地域側の理解を育てることにもつながる。

協議会は、3か年の助成期間で「地域への定着」や「再犯率の低下」といった成果を実証し、期間終了後も持続可能な岸和田市の公式な支援策として根付かせることを目指す。刑務所出所者などへの支援は公的な制度だけでは手が届きにくい分野であり、活動への寄付や、空き家を提供できる市内の不動産オーナーからの連絡を広く募っている。罪を犯した人を排除するのではなく、やり直しを応援するまちをどうつくるか。岸和田の試みは、その問いに地域の現場から答えようとするものだ。

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ライター:

Sacco編集・ライター。企業に直接出向く取材が中心。扱う記事はサステナビリティ、エンタメ関係が多め。

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