
近畿日本ツーリスト株式会社やクラブツーリズム株式会社などを傘下に持つ旅行グループの持株会社、KNT-CTホールディングス株式会社は17日、岩手県陸前高田市の高田圃場でピーカンナッツの苗木を植える植樹会を実施した。
同社によると、ピーカンナッツの国内生産・流通拡大を通じて日本の農業再生と地方創生を目指す「ピーカンナッツ100年の森プロジェクト」に賛同したもの。東日本大震災の被災後、15年間手付かずのままだった陸前高田の土地に苗木を植え、「希望の森」の礎を築いた。
100年実をつけ続けるピーカンナッツが、陸前高田の地に根を下ろす
「ピーカンナッツ100年の森プロジェクト」は、ピーカンナッツを使ったチョコレート菓子などを手がける株式会社サロンドロワイヤル、陸前高田市、東京大学の3者が協働して取り組むプロジェクトだ。ピーカンナッツは100年以上実をつけ続けるといわれる長寿の木で、植えた木が豊かに実をつけるのは何十年も先のこととなる。だからこそ、植樹という行為そのものが、未来への意思表明としての意味を持つ。
今回植樹が行われたのは、東日本大震災で被害を受けた後、15年間手付かずのままだった陸前高田の土地だ。震災の傷跡が残る場所に100年先を見据えた木を植える——その行為には、復興の歩みを未来へつなぐという象徴的な意味が込められている。かつて津波が押し寄せた土地で芽吹くピーカンナッツの苗木が、次の世代にとっての「普通の風景」になる日を目指して、今日の一歩が踏み出された。
KNT-CTグループ5社が結集、佐々木拓・陸前高田市長も参列
植樹会にはKNT-CTホールディングスのグループ会社として、団体旅行を主とする近畿日本ツーリスト株式会社、個人旅行・テーマ旅行を手がけるクラブツーリズム株式会社、訪日旅行を担う株式会社近畿日本ツーリストブループラネット、旅行関連商材や地域産品の企画・販売を行う株式会社近畿日本ツーリスト商事がそれぞれ参加した。陸前高田市の佐々木拓市長も参列し、氷上太鼓による和太鼓パフォーマンスとともに節目の植樹が執り行われた。
植樹の後、一行は高田松原津波復興祈念公園へ向かい、東日本大震災津波伝承館や震災遺構の米澤商会、そして1万8千本の松が津波で流される中ただ一本だけ残り立った「奇跡の一本松」を視察した。犠牲となった方々への献花と追悼を行い、復興支援への思いを新たにした。震災の記憶を風化させないことと、地域の未来をともに育てることを、同じ一日のうちに行う。グループを挙げての参加に、KNT-CTの姿勢が表れている。
サロンドロワイヤル・東京大学との連携——農業再生と地方創生を目指す
このプロジェクトを主導するのは株式会社サロンドロワイヤルだ。ピーカンナッツを使った菓子を手がける同社が国内でのピーカンナッツ生産拡大を模索する中、陸前高田市と東京大学との連携が生まれた。KNT-CTホールディングスはこの枠組みに賛同し、グループ会社を挙げて参加した。なかでも株式会社近畿日本ツーリスト商事はサロンドロワイヤルと協業し、ピーカンナッツの普及にも取り組んでいる。
KNT-CTホールディングスは震災以降、被災地への応援ツアーの実施など継続的な復興支援活動を行ってきた経緯がある。震災から15年を迎える今年、このプロジェクトへの参加を「震災復興の歩みを未来へつなぐ社会貢献活動」と位置づけ、単独の社会貢献ではなくグループ全体での取り組みとして推進している。農業再生という側面でも、ピーカンナッツの国内産地をゼロから育てるこの挑戦は、観光業が地域経済の持続に関わる新たなモデルとして注目される。
「100年先の森」を旅に変える——ツアー造成とオリジナル商品開発へ
今後、KNT-CTホールディングスのグループ会社は、ピーカンナッツを使ったオリジナル商品の開発と、新たなツアーの造成に取り組む予定だ。旅行業の強みを活かして陸前高田への訪問客を増やし、関係人口を創出することで地域の持続的な活性化につなげる狙いがある。SDGsの「8.働きがいも経済成長も」「11.住み続けられるまちづくりを」「13.気候変動に具体的な対策を」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」の趣旨に沿う取り組みと位置づけている。
今回植えたピーカンナッツの苗木が豊かに実をつけるのは、はるか先のことだ。しかし、その木が立ち続ける限り、植樹会の記憶と復興への願いは次の世代へと受け継がれていく。100年先まで実をつけ続ける木を植えることと、旅を通じて地域と人をつなぐこと。KNT-CTホールディングスが陸前高田の地に刻んだ一歩は、そのどちらでもある。震災遺構の傍らに根を張ったその苗木は、過去を忘れないための証であり、同時に100年先への約束でもあるのだ。



