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環境に優しい別れを ダンボール製葬具で「循環」を表現

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ダンボール製仏式什器「かさねて」
ダンボール製仏式什器「かさねて」(提供:ザ・リライト)

近年、あらゆる分野で重要性を増している「サステナビリティ」。それは人生の締めくくりである葬儀においても例外ではない。

環境負荷の軽減が求められる中、自然素材を使用した棺や、簡素な形式で執り行う葬儀など、環境に配慮した選択肢が広がりつつある。その中でも、新たに注目を集めているのが、ダンボール製の葬具だ。

環境負荷を低減するダンボール製葬具「かさねて」

合同会社ザ・リライト(東京・世田谷)は、この度、ダンボール製の仏式什器「かさねて」を開発、導入した。「かさねて」は、葬儀に使用される長机、曲録、楽器台からなる葬具一式で、全てダンボールで作られている点が最大の特徴だ。

木材に代わる環境に優しい素材として注目されるダンボールは、軽量でリサイクルも容易なため、環境負荷の低減に貢献できる。

さらに「かさねて」は、環境への配慮だけでなく、デザイン性と機能性も兼ね備えている。積層ダンボール特有の木目模様を生かした美しい曲線は、葬儀という厳粛な場にふさわしい風格を漂わせる。また、その名の通り、コンパクトに重ねて収納することができるため、保管場所の確保や運搬も容易に行える。

ダンボール製仏式什器「かさねて」
ダンボール製仏式什器「かさねて」の構造(提供:ザ・リライト)

グリーフケアの思想を形に

ザ・リライトが「かさねて」の開発において特に重視したのが、「グリーフケア」という考え方だ。グリーフケアとは、大切な人を亡くした心の痛みや喪失感に対するケアを指す。同社代表の牧島灯里さんは、「環境に配慮した葬儀は、故人を偲び、自然に還るという死のイメージと重なり、残された人の心を癒す力も持ちます」と語る。

牧島さんは、「かさねて」の開発の背景には、環境問題への意識の高まりだけでなく、従来の葬儀の形に疑問を抱く人が増えているという現状もあると指摘する。

ザ・リライト代表 牧島灯里
ザ・リライト代表 牧島灯里さん(提供:ザ・リライト)

「葬儀は、故人との最期の別れを惜しむ大切な儀式であると同時に、残された人が前向きに生きていくための第一歩を踏み出すための儀式でもあります。私たちは、『かさねて』を通して、環境への負荷を軽減しながらも、故人との絆を感じ、心を癒すことができる、新しい葬儀の形を提案していきたいと考えています」と語る。

ダンボールの可能性を広げる取り組み

今回、「かさねて」の製作を手がけたのは、ダンボール家具・什器の専門企業である株式会社カミカグ(東京・墨田)だ。

株式会社カミカグ代表 和田亮佑さん
株式会社カミカグ代表 和田亮佑さん(提供:ザ・リライト)

同社代表の和田亮佑さんは、「近年、ダンボール製棺を中心に再生素材の活用が葬儀業界でも生まれています。その中でも、今回ご協力させて頂いたザ・リライト社の葬具『かさねて』の取り組みは、従来の、より環境負荷の小さい、軽量なものとしてダンボールを捉えるだけでなく、『命と循環の象徴』という自社のコンセプトの体現を目指す点で新規的な取組だと認識しています。

故人や遺族に寄り添う姿勢を細部までこだわっているザ・リライト社の取り組みが、今回のオリジナル葬具を通して、多くの方に届くことを心より願っています」とコメントを寄せている。

新しい葬儀のあり方を提案

ザ・リライトは今後、「かさねて」の販売を通して、環境に優しい葬儀の選択肢を広げていくとともに、グリーフケアの重要性についても発信していくという。

環境意識の高まりとともに、葬儀業界でも新たな変化が生まれている。従来の形式にとらわれず、故人との最期の時間を大切にしながらも、環境への負荷を低減できる選択肢が求められている。その中で、ザ・リライトの「かさねて」は、サステナビリティとグリーフケアを両立させる、新しい葬儀の形を提案する。

ザ・リライトの取り組みは、葬儀という儀式を通して、命の尊さや自然への感謝の気持ち、そして残された人々の心のケアを考えるきっかけを与えてくれる。それは、これからの時代における、より良い葬儀のあり方を示唆していると言えるだろう。

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サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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