
宅配水サービス「クリクラ」を展開する株式会社ナック(東京都新宿区)は、4月6日、神奈川県横須賀市の「湘南国際村めぐりの森」において、365本の苗木を植樹する取り組みを行った。この活動は、ナックが参画する「クリクラの森プロジェクト」の一環であり、水源保全と地域との共創をテーマに、持続可能な社会の実現を目指すものだ。
雨の中、70名が参加した現地での植樹活動
当日はあいにくの雨模様となったが、ナックの社員や関係者を含む約70名が現地に集い、予定通りの植樹を実施した。使用された苗木は、ダブノキ、アカガシ、スダジイなど全35種類におよび、1㎡あたり5本を植える「混植・密植方式」によって配置された。
同じ樹種が隣り合わないよう慎重に植え付けたうえで、最後に藁を敷き詰めることで、保湿と保護の役割も担わせている。
「混植・密植方式」による森林の早期形成

今回の植樹活動が行われた「湘南国際村めぐりの森」は、過去に大規模開発が行われた跡地を自然林へと再生させるプロジェクトの対象地である。ナックが採用した「混植・密植方式」は、植物同士が競い合う状態をつくることで、原生林に近い生態系の早期形成が可能になるとされる。
通常200〜300年を要する森林再生を、20〜30年という短期間で実現するための手法であり、水源を守るという観点からも重要な技術であるとされている。
環境リレーションズ研究所の「プレゼントツリー」との連携
ナックの植樹活動は、認定NPO法人環境リレーションズ研究所が運営する「プレゼントツリー・プロジェクト」と連携して進められている。このプロジェクトは、「贈りものに樹を植えよう!」を合言葉に、個人や企業が記念日や感謝の気持ちを込めて樹を植え、それを通じて森林再生と地域振興を図る取り組みである。
プレゼントツリーの森に植えられた苗木は、地元の協働者により少なくとも10年間の保育管理がなされ、プロジェクト終了後も「地域の森」として持続可能な管理が行える体制が構築されている。
水を届ける企業としての使命を森づくりに重ねて
クリクラでは、「森はきれいな水をつくる存在であり、森を守ることは人々の暮らしを守ることにもつながる」という理念のもと、2021年より植樹活動を開始。これまでに山梨県笛吹市(2021年〜2023年)や熊本県山都町(2024年)など、各地で年間365本ずつの苗木を植える取り組みを継続してきた。
「クリクラの森プロジェクト」は、単なる環境活動ではなく、水を届ける企業としての本質的な使命の一部と位置づけられており、森林の保全と再生を通じて社会と自然の循環的なつながりを築くことを目指している。
ナックの事業展開とクリクラの環境配慮
ナックは、1971年に株式会社ダスキンのフランチャイズ加盟店として創業し、「暮らしのお役立ち」を軸に多角的な事業展開を進めてきた。現在では、宅配水事業「クリクラ」をはじめ、建築コンサルティング、住宅、美容・健康分野など、生活と住まいに密接に関わる複数の領域で事業を展開している。
特にクリクラでは、サステナブルなリユースボトルの採用、配送効率化によるCO₂削減、サーバー機器のリサイクルなど、環境負荷を抑えた運営に注力しており、こうした環境意識の高さが「森づくり」への取り組みにも表れている。
湘南で初の試み、地域に根ざす森づくりへ
今回の湘南国際村における植樹活動は、同社にとって初の試みとなる地域での実施となった。将来的には、植えられた365本の苗木が根を張り、地域の風土に根ざした新たな森として育つことが期待されている。水を運ぶ企業が水を育む森をつくる──その姿勢は、企業の社会的責任を超え、地域と自然と人々をつなぐ循環のなかに、新たな価値を見出そうとする試みといえる。