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トランプ氏、多様性政策撤廃の大統領令に署名へ DEIの火は消えるのか

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多様性は終わりか
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トランプ第47代米大統領は20日の就任式直後、多様性・公平性・包摂性(DEI)に関連するプログラムを撤廃し、米連邦政府が「男性」と「女性」の2つの性別のみを認める内容の大統領令に署名する予定だと、政権関係者が明らかにした。ロイター通信が報じた。

今回の大統領令は、トランスジェンダーやノンバイナリーなど、多様な性自認を尊重する取り組みを制限する内容となっており、すでに国内外で物議を醸している。政権関係者によると、DEIに関するさらなる措置も近く発表される予定だが、具体的な内容や時期については言及されなかった。

SNSで広がる賛否

今回の動きに対し、SNSでは様々な意見が飛び交っている。ある利用者は心理学的な観点から「アイデンティティを自由に表現できない環境は、ストレスや不安を増大させ、社会全体の幸福度を低下させる可能性がある」と懸念を表明。一方で、「多様性政策は一般市民に無理を強いるもので、改めて見直すべきだ」とする意見も多く見られる。

また、「性の自認は各個人の自由であり、わざわざDEIを掲げる必要はない」といった声や、「リベラルなマスコミの報道を鵜呑みにすべきではない」とする意見も拡散されている。

国内外で波紋広がる

今回の政策は、特にトランスジェンダーやノンバイナリーの人々の権利擁護を進めてきた団体や人権活動家から強い反発を受けている。専門家は、「性別に関する単純な二分法を国家レベルで定めることは、性自認に基づく多様性の尊重という国際的な流れに逆行する」と指摘する。

トランプ氏は過去の政権でも、トランスジェンダーの人々の軍務を制限する方針を打ち出し、反発を招いた経緯がある。今回の大統領令が正式に発表されれば、国内外でさらなる議論を呼ぶのは避けられないだろう。

実際に、今回の発表を受け、筆者のトランスジェンダーの友人と話す機会があった。彼女は普段明るく、困難な状況でも冗談を飛ばすような性格だ。しかし、話している間、その表情はこわばり、どこか無力感を漂わせていた。「もう驚きもしない。これが私たちの現実だから」と、彼女は静かに語った。

彼女によると、今回の政策撤廃が直接的に生活を脅かすものではない場合でも、その象徴的な意味が持つ重みは計り知れないという。「ただでさえ生きづらい社会なのに、こうした決定が次々と出されると、自分の存在が否定されているように感じる。未来に希望を持つのが難しい」と、彼女は視線を落とした。

こうした言葉から伝わるのは、政策以上に、それが象徴する社会の空気に対する深い悲観である。多様性を否定するような動きが、個人の尊厳や未来を傷つけかねないことを、彼女が吐露した言葉は如実に物語っていた。

日本への影響と懸念されるシナリオ

今回のトランプ次期大統領による多様性政策撤廃は、日本を含む他国にも間接的な悪影響を及ぼす可能性がある。特に、日本国内で活動する外資系企業の多くは、アメリカ本国の方針を基に運営されており、これらの企業が推進してきた多様性や包摂性を重視するプログラムが縮小される恐れが指摘されている。この流れが広がれば、日本社会におけるジェンダー平等やLGBTQ+の権利向上にブレーキがかかるだろう。

また、アメリカは国際的な価値観や基準に強い影響を与える存在であるため、今回の政策転換は、多様性や包摂性を重視する国際的な取り組みにも影響を及ぼすと考えられる。その結果、日本国内でも同様の動きが起き、多様性に対する取り組みが弱体化する懸念がある。さらに、インターネットやSNSを通じてアメリカの分断が輸出される形で、日本社会にも不寛容な意見が広がり、社会的な緊張が高まるリスクもある。現にSNSを見るに、DEIに対する反対意見が増えてきている。

おそらく、これまでは反対意見を述べることが許容される雰囲気ではなかったため、苦々しく思いながら、潮流を受け止めてきた人達が、ここにきて、声をあげはじめたというのが実情だろう。

アメリカの政策変更による影響を受けず、日本らしい多様性の価値観を守りながら、持続可能な社会を構築することが重要と言葉にはしてみるが、ここから先の流れがどうなるのか、悲観しながら注視していくことしか今はできない。

【DEIに関するその他の報道はこちら】

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ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。社会的養護の自立を応援するヒーロー『くつべらマン』の2代目。 連載: 日経MJ『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

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