Haleonジャパンの社員ボランティア活動は、社員一人ひとりの意識改革を促し、それがひいては企業価値向上に繋がっている。
後編では、具体的なエピソードや社員の声を交えながら、その効果を見ていこう。
前編はこちらから
Haleonジャパンの社員ボランティア活動は、社員一人ひとりの意識改革を促し、それがひいては企業価値向上に繋がっている。
後編では、具体的なエピソードや社員の声を交えながら、その効果を見ていこう。
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ボランティア活動への参加を通じて、社員一人ひとりが社会課題への理解を深め、「自分ごと」として捉えるようになる。これは、Haleonのパーパスである「Deliver better everyday health with humanity.(もっと健康に、ずっと寄りそって)」を体現するものであり、社員一人ひとりが社会の一員としての自覚と責任感を持って行動することで、企業としての社会的責任を果たしていくことに繋がる。
「ビーチクリーニングを通して、自分たちのようなメーカーが製造した様々な製品がゴミとなって海岸に打ち上げられている現実を目の当たりにしました。メーカーに従事する自分としては、環境問題をもはや他人事としては捉えられなくなりました」と語る小嶋さん。
彼の言葉からは、ボランティア活動を通して、企業理念をより深く理解し、自身の行動に責任と誇りを持つようになったことがうかがえる。
顧客とのコミュニケーションツールとして自社のボランティア活動を積極的に発信することで、企業姿勢への理解促進に繋げている。顧客とのエンゲージメント強化やブランドイメージ向上に繋がるのだ。
「以前は、商品の販促提案の活動が中心でしたが、ボランティア活動の話をすることで、お客様との距離が縮まり、より深い関係性を築けるようになったと感じています」と語る渡部さん。
彼は、営業活動の中で、ボランティア活動の話をきっかけに、顧客と社会貢献や企業姿勢について語り合う機会が増えたという。
「企業として社会貢献活動に取り組む姿勢を示すことが、顧客からの信頼獲得に繋がり、ひいては、Haleonブランドの向上にも繋がると実感しています」と、彼は確信を込めて語った。
普段、業務では関わりのない社員同士が、ボランティア活動を通して交流することで、相互理解を深め、コミュニケーションを活性化させる。これは、部署間の壁を取り払い、一体感を醸成することで、組織全体の活性化やチームワーク向上に繋がる。
「ボランティア活動を通して、普段は交流のない他部署の社員と協力して、ひとつの目標を達成する喜びを分かち合うことができました。この経験は、社内でのチームワーク向上にも繋がっていると感じています」と小嶋さんは語る。
ボランティア活動で得た経験や知識を活かし、新規事業創出やイノベーション促進に繋がる可能性も秘めている。社会課題の現場を直接経験することで、これまで気づかなかったニーズや課題を発見し、それを解決するための新しい製品やサービスを生み出していくことができる。
「海外へ送る車椅子清掃活動では、車椅子を分解して、部品を一つひとつ丁寧に清掃しました。初めて知ったことばかりで、車椅子の構造や、利用者の気持ちについて深く考える貴重な機会となりました。これまで、どこか他人事のように感じていた社会課題が、この体験を通して、一気に『自分ごと』になりました」と中川さんは語る。
彼はさらに続ける。
「私が担当している製品開発プロジェクトの仕事では、生活者のニーズを的確に捉え、製品開発に反映していくことが重要になります。ボランティア活動で得た経験は、生活者の潜在的なニーズを掘り起こし、より良い製品を開発していく上での貴重なヒントを与えてくれると感じています」。
大屋さんもまた、ボランティア活動での経験が、日々の業務に活かされていると語る。
「ことばの道案内活動を通して、視覚障がい者の方々が日常生活で直面している困難を、身をもって体験することができました。例えば、点字ブロックが破損していたり、設置場所が適切でなかったりするだけで、どれだけ歩行が困難になるかということを、実際に体験することで、初めて理解することができました」。
彼女は、歯科医院を訪問する中で、この経験を活かしているという。
「視覚障がい者の方だけでなく、高齢者の方や、小さなお子さん連れの方など、誰もが安心して過ごせる歯科医院であるためには、どのような点に配慮すべきか、これまで以上に気を配るようになりました。
例えば、待合室の椅子やテーブルの配置、トイレの使い勝手など、些細なことかもしれませんが、患者さんの立場に立って考えることで、より良いサービスを提供できるようになると感じています」。
最後に取材に参加した5名のメンバーにそれぞれ未来の抱負を聞いた。インタビュー形式でお届けする。
―― Haleon ジャパンは、今後、どのような会社を目指していくのでしょうか。社員一人ひとりの視点から、未来への想いを語っていただきたい。
小嶋さん:私は、社員一人ひとりが社会課題の解決に貢献できる会社にしていきたいと思っています。ボランティア活動を通して、社会課題を「自分ごと」として捉え、主体的に行動できる社員が増えていくことで、より良い社会の実現に貢献できると信じています。
渡部さん:年齢や経験に関わらず、誰もがボランティア活動に参加しやすい環境を、さらに整備していく必要があると感じています。私自身、50歳を超えて初めてボランティア活動に参加しましたが、もっと早くから参加していれば良かったと後悔しています。ボランティア活動を通して得られる経験や学びは、必ず自分自身の成長に繋がり、ひいては会社全体の活性化にも繋がっていくと確信しています。
中川さん:ボランティア活動を通して得た経験を、日々の業務に活かしていくことが重要だと考えています。社会課題の現場で得た気づきや学びを、製品開発やサービス向上に繋げていくことで、お客様の健康とwell-beingに貢献していきたいと思っています。
大屋さん:ボランティア活動を通して、多様な価値観や考え方に出会うことができます。社員一人ひとりが、それぞれの経験や学びを共有し、互いに尊重し合いながら仕事に取り組むことができる環境を、これからも大切にしていきたいと思っています。
市丸さん:Haleonジャパンは、「Deliver better everyday health with humanity.(もっと健康に、ずっと寄りそって)」というパーパスを掲げています。これは、社員一人ひとりが社会の一員としての自覚と責任を持ち、よりよい製品を生活者にお届けするとともに、より良い社会の実現に向けて貢献していくことを意味しています。
社員一人ひとりが、このパーパスを共有し、日々の業務やボランティア活動を通して体現していくことで、社会から信頼され、愛される企業へと成長していきたいと考えています。
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「社員一人ひとりがビジネスとともに社会貢献を意識し、行動することで、企業価値向上に繋がる好循環を生み出していく。それが、Haleonジャパンの目指す未来です」と市丸さんは最後に強調した。
Haleonジャパンの社員ボランティア活動は、社員一人ひとりの成長と企業価値向上に繋がる重要な取り組みだ。同社は、今後も、社員一人ひとりが社会貢献活動を積極的に行い、社会との繋がりを深めながら、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。
株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事
連載: 日経MJ『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』
ライター:
株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。社会的養護の自立を応援するヒーロー『くつべらマン』の2代目。 連載: 日経MJ『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』