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法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

一般社団法人サステナブルコミュニティ

https://sustainablecom.org/

〒103-0027東京都中央区日本橋3丁目2番14号新槇町ビル別館第一 1階

会員数500名目前!盛況のサステナブルコミュニティ。社団法人化で見据える先は?

サステナブルな取り組み ESGの取り組み
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sustainable community
左:代表理事の山路祐一さん、右:理事の斉木愛子さん (撮影:加藤俊)

企業のESG/サステナビリティ担当者等450名から成るコミュニティ、「サステナブルコミュニティ」が社団法人化、といったニュースは本媒体でも紹介済み。

今回は、代表理事の山路祐一さんと理事の斉木愛子さんに発足経緯や今後の展望についてお聞きしました。

実利が生まれる瞬間に立ち会う重要性。社内浸透などサス担周辺の今後の課題

加藤

サステナブルコミュニティ、通称「サスコミュ」は現場のサステナビリティ担当者(サス担)をはじめ、様々な立場の方たちが参画している組織として、メンバー間交流も活発に行われている印象を持ちます。

実際に私自身も参加させてもらい、色々な方とお会いさせてもらっています。

ただ、色々な方たちにお会いしたうえで感じるのが、サステナビリティ対応を進めようにも、社内理解が得られ難い等情報開示する側の負荷増といった現状です。

この点をどう見ているのか、コミュニティの代表であり、企業の情報開示を支援する立場も担当者の立場も経験されている山路さんにお聞きするところからはじめたいです。

山路

私は「サステナビリティ」の中でも企業の情報開示分野で仕事をして来ました。

2006年に大学を卒業し、新卒で入った会社と2社目の企業で、サステナビリティレポートや統合報告書など情報開示媒体の制作支援を合わせて11年行いました。

その後、事業会社の管理部門、サステナビリティ部門の担当者を経て、現在4社目です。

CSRの時代から長く見て来ていますので、情報開示の規制、ビジネスサイドのプレイヤーの広がり等時代の移り変わりを強く感じているところです。

サステナビリティ担当者を巡る課題で言えば、統一見解がない故に全方位対応が求められ、担当者の負担が増えていることです。非財務情報開示は現在進行形でルールメイキングがされている分野です。

それ故に、さまざまな立場の方が、各々の背景をもとに多様な意見が取り交わされているのが現状と言えます。

また、会社側がリソースを充てられず、担当者の熱量・知識等ソフトスキルに依存してしまっていることも課題認識されている。仕方ないにせよ少しいびつかなという気はしています。

どうしても今は過渡期であり、ISSB (※)が始動し、あと2~3年もすれば収斂に向かうはずですが、仕事が楽になるという未来はあまりなさそうです。

今後は財務との繋がりを方程式的に実施することであったり、新しい価値観を持った将来世代に伝わる言葉での広報活動であったり、人的資本を大事にするといった事等が求められます。

また、社内浸透について実務経験から明確に感じている所があって、「やらされ感の社内浸透」は絶対に巧く行きません。

私の経験則ですが、社内浸透する瞬間って何かというと、顧客から選ばれた瞬間に如何に立ち会えているかです。

製造業のサステナビリティ担当の時、顧客の前でサステナビリティに関するプレゼンを行い、理解を得られて受注に繋がり、営業や社内関係者から喜ばれた事があります。

顧客から選ばれたり投資家から評価されたりする等実利がついて初めて社内浸透が進むとすると経験から学びました。

また、会社経営は何より収益性が大前提ですが、CSVのような考え方で社会課題を解決し、社員の事も人的資本として捉え、その上で顧客がついて来るのが理想で、それにより収益性が長期持続すると考えています。

サステナビリティで言われる各要素は、気候変動にせよ人的資本にせよきちんとカバーした方が長期持続性の確度が上がる、と捉えています。

※ ISSB:国際サステナビリティ基準審議会。IFRS(国際会計基準)を策定するIFRS財団傘下に新設された機関。IFRSの財務会計基準は140を超える国・地域で適用されている。ISSBはIFRSのサステナビリティ版になると言われている。

加藤

斉木さんはサスコミュに参画されたのはいつですか。これまでのバックグラウンドと共に教えてください。

斉木

2021年の夏です。その後11月に山路さんと入会前ミーティング(詳細は後述)をさせていただいて、コミュニティではどんな事をやっているかとか、自分の関心がこういった部分にある、といった事をお話して、そこから1年ほどは参加者として月例会・勉強会や周年イベントに参加したりといった一参加者だったんですが、2022年の夏ぐらいにこの法人化の話が出てお手伝い頂けませんかといったお話を頂いて、こんな形ならお手伝い出来そうですと話しました。

略歴でいうと、新卒入社した大和証券で主に法人・個人の資産運用に携わり、その後大学院に通いMBAを取得した後はUBS銀行に転職しました。

そこでは富裕層の方々の社会貢献等のお手伝いに関わり、この時結婚した夫がシンガポールに駐在していたので退職・移住し、クレディ・スイスのシンガポール支店に転職しました。

その後、第一子を出産し日本へ帰国、ビットフライヤーに入り未経験で広報職の経験を積みました。

その後パレスサイドコンサルティングというサステナビリティに特化したコミュニケーションコンサルの法人を立ち上げ、同時に上場企業の社外取やグロービスでの講師等の職にも就いて現在に至ります。

2023年からは家族でベトナムに移住し、仕事は日本で行うといった2拠点生活という形でやっており、女性のキャリア・働き方・多様性をライフワークに色々な活動を行っています。

「カジュアルな」 「個人が緩くつながる」コミュニティ。サステナブルコミュニティとは?

加藤

サステナブルコミュニティの概要と、コミュニティ創設の構想がいつからあったのか教えて下さい。

山路

サステナブルコミュニティは2021年5月に、任意団体として立ち上がりました。

現時点で、500名近いメンバーが参画しています。事業会社のサステナビリティ担当、コンサル、スタートアップ、学生など多様な方達が集まっています。

設立のきっかけはSNSで情報交換をしている中で、サステナビリティ関係者とより深く繋がりたいと考えるようになったことによります。

当時ネットで色々とコミュニティを探したのですが、メンバー同士の繋がりを主としたものがなく、だったら自分でやってみようとなり、不特定多数に呼び掛けたら1ヶ月で50人程集まったのがきっかけです。

今の理事の山本梓さんや安藤光展さん、加藤貴大さんも含め、多くの方が集まってくれました。

多くの方の賛同を得た理由は、おそらく、元々Twitterでサステナビリティ担当者の日常を発信していたので、現役のサス担が運営している安心感を持ってもらえたためと思います。

あとは2021年当時コロナが続く中、担当者間の横の繋がりが持てず、みんな他者との繋がりやネットワークを望んでいたのかも。時代のニーズにたまたま合致したのだと分析しています。

↑実は、コミュニティの立ち上げは「実は夜中のふとした思い付き」と話す山路さん(右)
 斉木さんは日本・ベトナムを行き来しつつ2人のお子さんの子育て中とのこと(左)
山路

オフィシャルなコミュニティは他にも色々ありましたが、リアルな悩みや本音を吐露することは非常に難しいと感じていました。

サステナビリティ業界で日々のオペレーションを担当している現場の人達の悩みや課題を共有し、本音で意見交換し合えるような場所が欲しかったのです。

メンバー同士の経験・知見・意見をビジネスの損得抜きで持ち寄って、カジュアルに繋がりたかった。

丁度、サステナビリティの概念が広いが故に、あれもこれもと追い掛けるのが難しくなって来た所だったので、コミュニティを立ち上げ、専門性を持った人達が横で緩く繋がりたいと。

お互いの情報を交換し合う相互補完的な関係を目指しています。

サステナビリティ担当者を中心としたバラエティ豊富なメンバー構成

加藤

理事の方も含め、メンバーの方の属性は?また、コミュニティ運営で苦心されている点や心掛けている点も教えて下さい。

山路

メンバーは概ね「メンバーの興味関心は人それぞれ異なりますが、全カテゴリー/全プレイヤーが揃っている」といった所です。

事業会社のサステナビリティ担当者の割合が一番多く、コンサル、投資家、スタートアップの経営者、VC、弁護士、アカデミアの方、学生などで構成されています。

「サス担チャンネル」というslack内チャンネルをクローズでやっていて、そこに80名ぐらいますから、全メンバー400名中の2~3割がサス担となっています。

基本はオープンに門戸を開き事前知識も問いませんが、コミュニティに入られる方ほぼ全員とご挨拶をさせて頂く事を儀式的にやっています。

そのため、私とのご挨拶を了承していただける方々が参加してくれており、その効果として、一定のフィルタリングが出来ているのかなと思います。

その「入会時ミーティング」は、運営者が顔を出した方が安心されると思うのでやっています。

立ち上げた当時は「環境に興味があります」等と言う人がいたら、僕がその情報を提供したり、少しお世話というか、おせっかいコネクトをしたりしていました。

なのでメンバー側も欲しいものが得られる場所として捉えてくれたのでは。

法人化の経緯とそれにより生まれる価値

加藤

カジュアルなコミュニティだったところ、なぜ法人化が必要だったんでしょうか。その上で会員の人達にどういった価値を提供できそうでしょうか。

山路

2023年5月25日に法人登記をしたのですが、その方が活動の幅が出るし、自身のセカンド・キャリア、ライフ・キャリアとしても法人の運営に携わってみたかった。

法人化で「価値が生まれる」のではなく、コミュニティの「価値を最大化する手段」としてのものと考えています。

また、コミュニティとしては、日々のニュースシェア、質問箱を介してのテキストコミュニケーションなどです。

また、メンバーのナレッジ共有を目的としてオンライとリアル、両方のイベントをやっていて、月例会議は第3木曜昼間に約30人集まっています。

社団法人理事の田中有紀子さんが企画・運営を担当してくれています。

コミュニティ内で創出される価値

加藤

コミュニティの活動が自社のメリットに繋がっている事例を知りたいです。ここから生まれたコラボレーションや取り組み、企画は何かありますか?

斉木

本業のメリットに繋げるのはメンバーの自由と言われてはいますが、それ目的で参画している訳ではなく、よりソーシャル的な目的の人が多いと思います。

世界・社会や啓蒙、自身の理解を深めるなどの為であって、営利目的で参画している人は少ないですね。

山路

あくまでカジュアルコミュニティ。

メンバーには顧客獲得の場じゃないという事を理解して頂いた上で、忙殺されて出来ないでいた「やりたかった事」や、仲間がいたら実現出来そうな事など、そういった取り組みなどに巧く利用してもらいたいと考えています。

あとはサスコミュ内転職の事例があり、これがエポックメイクで、既存のキャリア業界が埋められなかった隙間を埋められた良い事例です。

事業会社のサス担をやっていたメンバーが結婚する関係で現職を退職し、新しい土地(地域)では自身のスキルが活かせる仕事がなく悩んでいる方いました。

私がSNSで発見し、コミュ内のESGサービスのカスタマーサクセス職をダメ元でご紹介したらありがたいことに内定に至りました。

メンバーはスキルを活かせて希望条件で働ける。雇用側からすれば欲しかった人材を、ある程度人物像を知った上で採用出来、Win-Winだと。

そのような形で他にもどんどん繋がりは生まれているようですが、分かり易い成果っていうのはまだなんです。今まさに育てているといった段階でしょうか。

加藤

考えてみると、私自身の事例をお話できそうです。

私もメンバーとして参加させてもらっていますが、弊社運営媒体で書いていただくライターさんとサスコミュのおかげで出会うことができ、実際にコラムを寄稿いただいたりもしています。

サスコミュ二周年イベント。サステナブルコミュニティ集合写真
↑2周年イベントの様子。5月末時点で約370名のメンバーも、6月には450名と、どんどん広がっている。

人と人とを繋ぐ中間支援組織でありたい

加藤

今後のロードマップや青写真を教えて下さい。

山路

サステナブルコミュニティという場所がメンバーにとって巧く使える場所であって欲しいです。

基本はメンバー皆さんのニーズに応え続けたい。将来構想としては、メンバー間の繋がりを元にビジネスマッチングや転職、色んなアクティビティを可能な限りやって行きたい。

人と人とを繋ぐ中間支援組織的な役割を持つ団体でありたいと思っています。

何かやりたい事があったら「サスコミュに訊いてみる」 と言ってもらうのが、メンバーの最初のアクションの当たり前になって欲しいですね。

斉木

サステナビリティを推進する団体は色々とありますが、大手企業が関わっていて入会金が高額だったり、なかには気軽な発言はし辛い空気を感じるところもあります。

これまでは個として気軽に参加でき、きちんと情報をインプットしつつアウトプットもしたいと思えるようなコミュニティがなかった。

そういう意味ではサスコミュはバランスが取れているし、運営者が皆プロボノで、本業を別に持っているという所が他と違います。

大企業に忖度も要らなければ会費も掛からないので、だから今伸びているんだと思います。

sustainable community 2
今後コミュニティがどのような価値を生み出して行くのか非常に楽しみだ。

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ライター:

ライター。東京都出身、生まれてから丁度半世紀ぐらい経過した段階のLGBTQの「G」。これまでメーカー広報や映画関連の仕事、マネージャー職等色々と携わってきた。

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