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日産通信株式会社

http://www.nissan-tsushin.co.jp/

〒136-0071東京都江東区亀戸1-16-8鯨岡第一ビル3階

B Corp認証取得の通信会社、日産通信は「変貌自在」

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雨宮寛さん ESGBook日本支店代表 (撮影:加藤俊)

雨宮氏は現在、機関投資家向けESGスコアサービス「ESGブック」の日本支店代表をしている。日産通信のB Corp認証取得を支援した、雨宮寛氏(アラベスク日本支店代表)に、日産通信評をお聞きしました。

ハーバード社会起業大会参加ツアーでの出会い

加藤

日産通信株式会社(以下、日産通信)とのつながりの経緯を教えてください。

雨宮

日産通信の代表取締役社長 福田博樹さんが、「ハーバード社会起業大会参加ツアー」に参加されたことがきっかけです。

ハーバード社会起業大会は、ハーバード大学のビジネス・スクールとケネディ・スクール(公共政策大学院)の学生が主体となって毎年行っているカンファレンスです。

当時、日本ではまだ「ソーシャル・エンタープライズ」や「社会起業」といった言葉の認知度は広まっていませんでしたが、米国で起きていることを日本の人たちにも知ってもらいたくて、株式会社エイチ・アイ・エス(以下、HIS)と一緒にツアーを企画しました。

私自身、ケネディ・スクールの学生ボランティアとしてカンファレンスに携わった経験がありましたので、ツアー参加者のカンファレンス参加手配や、ボストン、ニューヨーク、ワシントンDCなどで活動する社会起業家を訪問する際のアテンドなどをしました。

そのときのツアーの訪問先のひとつとして、B Corporation(ビーコーポレーション。以下、B Corp)認証制度を運営する非営利団体B Lab(ビーラボ)のニューヨーク拠点を訪れました。

B Lab創設者の1人であるコーエン・ギルバート氏が語ってくれた企業評価の切り口は、従来のものとは全く異なるもので、率直に「これはすごい」と感じましたね。

加藤

ハーバード社会起業大会参加ツアーへの参加が、将来的に日産通信のB Corp取得にもつながったのですね。

雨宮

そうですね。ツアーのメインイベントのカンファレンスでは、食料問題を解決する社会起業家のプレゼンテーションもあり、福田さんはそれをご覧になって「当社も農業で貢献できるかもしれない。やってみよう」と思われたそうです。

福田さんはものすごく行動力のある方で、カリフォルニア州の農業地区を訪問したと聞きました。その後、実際に茨城県を拠点に農業事業を始められました。

また、これもツアーで訪問した先のひとつですが、ニューヨークでボランティア団体を運営する日本人女性起業家のところにも研修に行かれていました。

その後、NPOを立ち上げ、日産通信本社の近くで放課後デイサービス「あおぞら」を運営されています。

そんな社会貢献、地域貢献の背景を持つ会社ですし、B Corpは人材採用にも役立つ認証です。日産通信はマレーシアや香港でも通信関係の事業を展開されていたので、福田さんに「B Corpやりましょうよ」とお声がけしたところ、「ぜひ!」ということで、取得に向けて動き出しました。

B Corp認証取得を支援

加藤

日産通信のB Corp認証取得をサポートされるなかで、大変だったことはありますか?

雨宮

ストーリーの描き方です。

例えば、日産通信に先立ち認証を取得された石井造園株式会社は造園業ですので、事業そのものが「緑や自然を守る」という意味で地域貢献を表現しやすい。

一方、日産通信の主な事業は通信工事です。ストーリーの伝え方に工夫が必要でした。

ただ、日産通信が伝えられる社会貢献のストーリーは当然ありましたので、そこを拾いながらアセスメントに回答していきました。

ひとつ例を挙げると、日産通信は沖縄でも通信工事をされています。

沖縄は日本全体の所得水準に比べて所得が低く、沖縄の中でも地区によって貧富の差が見られます。しかし通信設備は、貧富の差を問わずどんな地域にもきちんと整えられるべきインフラです。

そういった意味で、日産通信は所得層に関わらず幅広くサービスを提供する事業を行っています。工事の際に地元の方々を雇用している点も、ポイントになりました。

さらには、沖縄でも農業に取り組み、沖縄で生産した作物を東京の販売先や流通先に卸しています。

通信を介して幅広い層にサービスを提供し、地元の人たちを雇用して、残りのリソースを使って地元の農産物を作り、販売する。

こうした取り組みをされていたので、社会貢献のストーリーをきちんと描くことができました。

雨宮さんにとって、日産通信とは?

加藤

雨宮さんから見た日産通信とは、どのような会社ですか?

雨宮

端的に表現すると、「変貌自在」。通信設備工事というコアビジネスを軸に、いろいろなビジネスチャンスを見出し、実行していく。

しかも、福田さん自らが行動し、トライしたうえで、手応えを確認できたことを実行している、という印象です。

多方面に関心を持ち、高い集中力を持ってそれに取り組まれていることが、おそらく福田さんの成功の理由なのだと思います。

加藤

そんな日産通信が「より良い会社」になるには、何が必要でしょうか。

雨宮

福田さんとは密に現状の状況を話す機会はありましたが、将来的な話をする機会はあまりなかったので、もしかしたらすでに取り組んでおられるのかもしれませんが、将来のビジョンがあると良いですね。

社員の方々のためにも、10年、20年ぐらいの長期的なビジョンなり目標を示されると良いのではないでしょうか。

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ライター:

1985年生まれ。米国の大学で政治哲学を学び、帰国後大学院で法律を学ぶ。裁判所勤務を経て酒類担当記者に転身。酒蔵や醸造機器メーカーの現場取材、トップインタビューの機会に恵まれる。老舗企業の取り組みや地域貢献、製造業における女性活躍の現状について知り、気候危機、ジェンダー、地方の活力創出といった分野への関心を深める。企業の「想い」と人の「語り」の発信が、よりよい社会の推進力になると信じて、執筆を続けている。

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