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株式会社トウメイド

https://toume.id

〒013-0071秋田県横手市八幡字石町235番地4

050-5806-3180

トウメイド代表が語る秋田移住での絶望感と「デザインのニアショア」

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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株式会社トウメイド 宮崎 昌裕代表取締役社長(画像提供:トウメイド)

「企業ブランディング」と「商品ブランディング」を手がけるデザイン会社の株式会社トウメイド(以下、トウメイド)。

秋田県を本拠地とし、2023年には東京へ進出。国際的なパッケージデザイン賞で金賞を獲得するなど、デザイン力の高さと同社ならではのブランディング手法で事業拡大を加速する。

「秋田移住でデザイナーとしての宮崎は終わった」と語るワケとは。同社の理念に通じる実体験や、自ら居場所を開拓した経営者としての軌跡を伺った。


「多様性ゆたかで人間性に優れたチーム」を価値観に掲げるトウメイド。宮崎代表は、自社の利益のみならず、ステークホルダーや地方が豊かになるカタチを模索し、チームメンバーへ感謝を伝える。

自ら体現される姿が印象的だった。

理念のルーツは、秋田移住で絶望した実体験にあり

「あるべき物を、あるべき場所へ。そして、世界を彩りゆたかに。」御社の理念に込められた思いをお聞かせください。

宮崎

世の中には、本来の価値を発揮できずにいる商品やサービスが多くあります。組織やそこで働く人たちも同様です。

私たちは、ブランディングやデザインの力で「あるべき場所」へお連れし、価値の最大化や新しい価値の創造を支援する存在です。

「みにくいアヒルの子」をご存知ですか。アヒルの群れの中で苦労するヒナは、実は白鳥の子だった。本来の環境に身を置いた子は、やがて立派な白鳥となって大空を羽ばたく……という物語です。


白鳥を白鳥の群れに戻す。さらに空を見上げたとき、「あの白鳥座みたいになりたい」と飛躍した目標を持てるよう、手を差し伸べる存在になりたい。ちょっとカッコつけた照れくさい話ですが(笑)。

「みにくいアヒルの子」。宮崎さんの実体験に通じるお話なのでしょうか。

宮崎

はい。私は過去に、「デザイナーの宮崎は終わった」と思う体験をしています。

キャリアのスタートは小学校の教員。クリエイティブディレクターの佐藤可士和さんをテレビで拝見し、めちゃくちゃカッコイイなと。

昔から図画工作が好きだったこともあり、専門学校を経てデザイナーへ転身しました。
福島の広告会社へ勤め、上場企業の案件に携わる日々。

大きな仕事にやりがいを感じていましたが、2012年に妻の故郷の秋田へ移住。東日本大震災のときに妻は妊娠7ヵ月で、家族が安心して暮らせることを優先しました。

移住先の横手市は現在9万人を下回ります。覚悟はしていましたが、デザイナーとして活躍できる仕事は見つからず。「全く違う人間として生きていくしかない」と絶望感を抱きました。

それでも「デザインの仕事が好き」「デザインの力でお客様の力になりたい」と思い続け、自ら居場所を開拓して今に至ります。

諦めそうになりましたが、デザインの仕事で生かされました。実体験を投影し、「商品やサービス、組織、人が輝く場所はきっとある」と信じてお客様に向き合っています。

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(画像提供:トウメイド)

20時間の対話で、ブランディングの軸となる企業の「らしさ」を追求

星の数ほどあるデザイン会社の中で、ユニークな光を放てるワケとは。

宮崎

当社のこだわりは、ブランディング手法にあります。企業ロゴや商品、WEBサイトなどをデザインし、見た目を整えるだけではありません。

全てのタッチポイントに一貫性をもたせ、お客様に驚きと感動をもたらすブランド体験の設計を担います。

ステークホルダーとのエンゲージメントを高めるためにも、軸となる企業理念の再構築を重要視しています。

「何のための事業か」「なぜ売るのか」の本質に触れるまで、トップや従業員のみなさんと対話を重ね、2時間×10回に及ぶことも。

ここまで時間をかけるデザイン会社は他にないと思えるほど質問をくり返し、“深掘りまくる”ことで、企業の「らしさ」を追求します。

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秋田県角館で古くから醸造業を営む「安藤醸造」さんの「SOUS」(画像提供:トウメイド)

仕事やお客様への熱意が伝わります。やりがいについても、ぜひお聞きしたいです。

宮崎

当社のお客様は、零細企業や売上10億円以下の中小企業が大半ですが、デザインの効果やお客様の変化を目にすることにやりがいを感じます。

「いなにわうどん しゅんぞう堂」さんの商品をリブランディングしたときの実例を挙げます。秋田県湯沢市の奥地で稲庭うどんを作る同社。

「営業に苦戦し、売上が伸び悩んでいる」と二代目からご相談がありました。ご支援後は売上が前年比2倍に。利益も大幅に改善しました。

完成した商品に触れた二代目は、「宮崎さん、これなら俺、めっちゃ営業行けます!」と。家族と過ごすレジャーの際も車に商品を積み、道の駅や売店を見かけると営業へ。

お客様が積極的に自社商品を営業される姿を目にすることは、私たちの大きなやりがいです。

当社も国際的なパッケージデザイン賞「Pentaward2019」で部門別最優秀賞の金賞を獲得。ロンドンでの授賞式参加につながりました。

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「いなにわうどん しゅんぞう堂」さんの「いっぽん(IPPO’N)」。国際的なパッケージデザイン賞「Pentaward2019」で部門別最優秀賞の金賞を獲得。(画像提供:トウメイド)

マネジメントが苦手だった私を変え、支えてくれる頼もしい存在

国際的な賞を獲得し、ブランディングやデザイン力の高さに定評のある御社。2023年には東京へ進出。起業後は順風満帆でしょうか。

宮崎

「会社は経営者の器以上に大きくならない」と言いますが、マネジメントへの苦手意識や違和感を抱えることがありました。私はデザインが好きなプレーヤータイプ。つい自分でやってしまいます(笑)。

事業拡大を加速させる中、「売上。売上。売り上げ」と数字作りを優先する自分に違和感を抱いた時期もあります。

経営者の集まりに参加して学び、「デザインの力で世の中に良い変化をもたらしたい」という社会への思いを優先していいんだと思えるように。チームメンバーにも支えられています。

チームメンバーにも支えられている。

宮崎

当社は現在6名体制。経営者として前進できているのは、チームメンバーやデザイナー2人のおかげです。

永沢は嫌な顔をせず淡々と仕事を引き受けてくれ、経営者の私を支えてくれています。勤めて5年近くになりますが、デザイン能力がすごく上がってきているんですよ。デザイナーとして非常に心強いですね。

2年近くになる髙橋
は、分析能力が高い。ブランディングやデザインを担うには、集めた情報から本質を見極める力が必要ですが、彼女はそれに長けています。それぞれに力を発揮し、とても頼もしいです。

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永沢さん(左)と髙橋さん(右)。自分たちでカメラを用意し、屋外でパシャリ。(画像提供:トウメイド)

「デザインのニアショア」で地方創生に挑む

最後に、宮崎さんの描くビジョンをお聞かせください。

宮崎

「デザインのニアショア(首都圏から離れた企業へ外注)」ができないかと考えています。

東京進出の背景には、培ったノウハウを首都圏のお客様に活用していただきたいという思いと、地方創生への思いがあります。

先述の通り、私は秋田移住でデザイナーの仕事を諦めかけました。10年近く秋田にいて思うのは、仕事が潤沢にあるわけではないということ。

コロナの影響もあり、お客様の経営状況が悪化。デザインに関わっても商品販売までたどり着かず、正直「しんどいな」と思うこともあります。

私のように、地方でデザインを仕事にしたい人はいるはず。当社の景気が良くなれば、周りの企業や地域は活性化し、雇用も生み出せる。

「あの会社の周りにいたら、面白い仕事ができるな」と思っていただきたい。魅力あふれる仲間が集う、素敵な会社にしたいですね。

◎会社概要
会社名:株式会社トウメイド
URL:https://toume.id
代表:宮崎 昌裕
設立:2021年10月1日(社名変更:株式会社トウメイド)
   2018年4月4日(法人化:株式会社宮崎デザイン事務所)
   2016年11月1日(個人開業:宮崎デザイン事務所)
事業内容:
企業や商品のブランディングを専門とするデザイン会社。企業や商品、サービスのコンセプトを設計し、ロゴやWEBサイト、パッケージなど様々なツールに展開。
所在地:
(本社)〒013-0071 秋田県横手市八幡字石町235番地4
(東京営業所)〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1丁目10番8号 渋谷道玄坂東急ビル2F‐C
(福島事務所)〒960-2155 福島県福島市上名倉字西田26-3

◎プロフィール
宮崎昌裕
株式会社トウメイド 代表取締役
1983年生まれ、福島県出身。
地元福島で小学校教員を務めた後、デザイナーを目指して広告会社へ就職。東日本大震災を機に秋田へ移住し、2016年に個人事業主として「宮崎デザイン事務所」を開業。2021年に「株式会社トウメイド」へ社名変更し、法人化を果たす。東北の企業や事業者のブランディングを中心に支援。2023年には東京の渋谷にも拠点を設け、全国展開を加速する。

<受賞歴>
国際パッケージデザイン賞 ペントアワード2019 金賞
日本パッケージデザイン大賞 2019 4点入選
国際パッケージデザイン賞 ペントアワード2022 ノミネート
STUDIO DESIGN AWARD 2022 最終ノミネート

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ライター:

大学卒業後、国賓・皇室はじめ国内外のお客様が来館する日系ホテルに入社。経営改革プロジェクトや人事部で採用を担う。フランスの化粧品会社へ転職し、採用・研修・評価に携わる。理念浸透を始め国内外のプロジェクトを率いた後、結婚・出産を機に退職。専業主婦を経て、11年間の会社員経験やキャリアコンサルタントとしての「聴く力」を生かし、インタビューライターへ転身。対話から生まれる「その人らしさ」をたいせつに執筆を続ける。

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