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大塚実業株式会社大塚雅之|ろ過布フィルターで世界と未来に貢献するサステナブル経営を

大塚実業株式会社大塚雅之|公益資本主義経営の実践事例を紹介
エアコン・掃除機等の家電から、食品・水処理等の工業用ろ過フィルターまで、機械や装置の性能を最大限に引き出す「ろ過フィルター」は、人の営みに欠かせない重要な役割を担っています。

織物産業が盛んな栃木県足利市に、この「ろ過布」を製造する大塚実業株式会社という会社があります。業界で「高品質な、ろ過布を作る」と高い評価を受けると共に、全てのステークホルダーを尊重する経営を実践することでも有名な企業です。

同社の技術力の高さを物語る上で、象徴的なエピソードがあります。あるときクライアントが要求水準の高いろ過布の製造を依頼しようと同業他社に相談したら「そんな小ロットで高度なものは大塚実業さんに持って行ってくれ」と言われたというのです。

その技術力の高さから、国内でも数社しかない、クライアントの要望に応じて生地を織るところから始まり加工して納品するまでの製造過程の一貫体制によるオーダーメイドのワンストップサービスも実現しています。小ロット多品種で難易度の高いいかなる要望にも応える技術力の高さを有しています。

大塚実業が高い技術力を有した背景には何があるのか。その答えはステークホルダーを尊重する姿勢から垣間見えてきそうです。今回は同社代表取締役社長の大塚雅之さんに、各ステークホルダーとの向き合い方を伺い、大塚実業が業界内でなぜ高い評価を得ているのかを見ていきたいと思います。

製品はお客さまの想いに応えるための手段

──事業内容を端的に教えてください。

弊社では、ろ過布という生地(繊維・織物)でつくられるオーダーメイドのフィルターを製造・販売しています。しかし、単にフィルターという商材を売っているとは考えていません。

お客さまにはフィルターを導入するさまざまな理由があります。例えば、工場の排水処理に使うフィルターを作る場合は、「より良い水にして、環境や地域を守りたい」というお客さまの想いがあります。プリンターに使うフィルターの場合は、「インクの粒子を細かくして、もっときれいに印刷できるプリンターを作りたい」という想いがあります。

弊社は、そうしたお客さまの多種多様な想いや悩みの要望に応えること、言い換えれば、お客さまの想いや願いを手助けする形として、ろ過布を製造しているという点を強く意識しています。そうすると、必然的に生地を織るところから加工までをワンストップで手掛ける必要がでてきます。

大塚実業の技術力をお褒めいただける背景には、単にろ過布を作る一メーカーではなく、お客さまの想いを叶える伴走者なのだ、という意識を持つことで成長してこられたからだと認識しています。そして、私たちは、お客さまの事業に貢献することを通して、世の中や環境のためになる事業を手掛けしているのだということを誇りにしています。

ろ過フィルターの活用事例の紹介写真

フィルターはさまざまな分野で必要不可欠な存在

──創業から今日まで、ステークホルダーの向き合い方はどう変わりましたか。

弊社は1973年に私の父が創業しました。もともとはエアコンのフィルターを生産しており、一時は国内の約80%のシェアを握っていました。しかし、エアコンの普及とともに価格競争が惹起し、大手メーカー各社が求めるフィルターも質よりコスト重視な製品にシフトしていきました。弊社が強みを持っていたのは、お客さまのどんな要望に応える高品質なフィルターでしたので、人件費の安いアジア各国との価格競争に本格的に巻き込まれる前に、現在のオーダーメイドのフィルターという業態に移行しました。

父からは、ステークホルダー云々という話ではなく、よく言われていたのは、「事実を見ろ」という話です。先入観を持たず、数字そのものを見なさいという教えです。この話が意味するところは、例えば、お客さまを見ないで、ライバル社を見てしまい、「他社が新製品を出した」「他社はいくらで受注している」という話に一喜一憂して慌ててはいけないということだと理解しています。

お客さまが求めていることは何なのか、その事実を冷静に見極めることで、お客さまが実現したいことにしっかりとお応えしていくモノづくりに徹することなのだと。

父の時代は、お客さまを見るということころまででしたが、私の時代になるとそれも少し変わってきました。「なぜお客さまはそうしたいのか。どうしてそこにこだわっているのか」という意識が、少しずつ芽生えてきているような気がします。

 

各ステークホルダーとの向き合い方

大塚実業株式会社代表取締役 大塚雅之さんのインタビューカット

大塚実業株式会社 代表取締役 大塚雅之氏

──御社の理念と、それぞれのステークホルダーへの想いについて、お伺いできますでしょうか。

弊社の理念は、「家族・共に働く仲間・顧客・仕入先・地域社会等、全ての関わり合える人々の幸福と笑顔を創造する。そのために、社業を通じて、人と事業の可能性を探求し、自然と環境を護る。これを未来へ継承する」というものです。

それぞれのステークホルダーを尊重しながら経営をすることが、企業の持続可能性を高めるだけでなく、地球や自然環境を護り、未来に継承することができると考えています。

大塚実業株式会社の経営理念を紹介

大塚実業のホームページには、当社の存在意義として、家族への想いが筆頭に掲げられています。

 

大塚実業のステークホルダー

全てのステークホルダーを尊重する大塚実業さん。はたして、彼らが日頃お世話になっているステークホルダーにはどんな方たちがいるのでしょうか。大塚さんに感謝の想いを聞かせていただきました。

社員・家族との向き合い方
大塚麻記子専務へ

まず専務である妹は、会社のために献身的に頑張ってくれています。彼女が経理をはじめとした管理部門をしっかりと見てくれているので、安心して背中を預けることができると言いますか、私が当社の青写真を描くことや攻めの姿勢に出ることができているんです。なかなか、感謝を伝える機会はないですが、本当にありがたいと感じています。

また、工場のマネジメントにも関わってもらい、人間関係が難しいところをうまく回してもらっています。

 

ただ、仕事に全力になって一生懸命頑張ってくれていることには感謝しかありませんが、家族として見たときには、会社のことだけではなく、もう少し自分のプライベートにも気を配ってくれていいんだよ、とは言いたいですね。やはり妹なので(笑)

松田営業部長へ

松田は、私が初めて採用した社員です。約20年前に入社し、私と大阪で十数年間、2人で一緒に仕事をしてきました。私が東京に来てからは大阪で孤軍奮闘してくれています。リーマンショックの頃に、いったん大阪営業所を閉めたのですが、その後も今日に至るまで松田が1人で大阪を守り抜いてくれています。本当によく頑張ってくれたと思います。

ただ、ここにきて2021年は、海外展開も見越してさらに攻めていくことを想定しています。そこで、2021年4月から東京支店に呼び、また一緒に頑張っていければと考えています。松田のご家族には彼が単身赴任になるので、ご迷惑をおかけするのですが、会社にとっても、彼自身にとっても、ここが一番の踏ん張りどころです。必ず、報いますので、ご苦労をおかけすることをお許しください。

 

彼に言いたいことは、もっと頼ってくれていいんだよ、ということですね。私が忙しく見えても、昔みたいに遠慮せずに、頼って話しかけて欲しいんですよ。

東京支店 総務部 石原部長へ

 

石原は、大学時代に所属していたサークルの後輩です。私が抱えている業務があまりにも多かったので助けてもらいたいということで、6年ほど前に参画してもらいました。畑違いのところから来て、何も分からないのに本当によくやってくれていると思います。深く感謝しています。私の考え・想いを多く理解しているので支店、部署の垣根を超えて、もっと多くの社内の人間と関わって欲しいと願っております。

小林工場長、浅宮副工場長へ

小林と浅宮は、二人とも入社して20年以上のベテランです。小林はフィルターを縫う縫製の出身で、浅宮は、それを切ったり穴を開けたりする加工の出身です。2人がうまく融合することで工場全体が回るのですが、本当によく考えながらマネジメントしてくれています。お互い協力しながらやさしく部下を導いてくれると思っております。本当にありがとう。

機械の仕様に合わせてフィルターを裁断~縫製している作業の写真

製織から加工までワンストップ製造、お客さまの機械の仕様に合わせてフィルターを裁断~縫製

社員・家族との向き合い方
社員の家族に対する想い

弊社の社員全員に言いたいことは、一人ひとりが仕事をしっかりやってくれているから、いまの会社があるんです、ということへの大きな感謝です。お客さまの要望に応えるために、ときには遅い時刻までよく頑張ってくれています。そして、それは社員を支えてくださる家族の皆さまがいるからこそ、成し得ていることなのだと想いを馳せると、皆さまには、本当に感謝しかありません。

 

日頃支えていただいている家族の皆さまに、会社のことをより深く知っていただくために去る2020年11月に完成した新工場に、家族を招いて見学会をしたかったのですが、コロナ禍のいまという時勢柄、それが叶わないことが悔しいです。一人ひとりに行動変容が強いられているいまのタイミングでできることを考えると、ご家族の皆さまに向けて「お父さんお母さんは、こうして働いています!」ということを写真付きのレポートにして配布したいと思っています。

大塚実業株式会社大塚社長のインタビューカット
 

お客様との向き合い方

今日の弊社があるのは全てお客さまのおかげです。お客さまの期待に応えようとしてきたからこそ、今日の地歩を築くことができました。お客さまが、難しい課題を依頼してくださるからこそ、私たちは経験値を積むことができ、それが私たちの血肉となり、今日の大塚実業の評価へとつながっています。個人的に思うのは、モノづくりの喜びは、お客さまの要求水準を超えることにあります。「そこまでやってくれるの?」と、お客さまに驚いていただけるモノが作れると、最高に嬉しいんです。
弊社はお客さまに育てていただいている会社であることをいま一度認識しながら、この場をお借りし、あらためて感謝を申し上げたいと思います。

取引先との向き合い方

全てのサプライヤーの名前を明かすことは難しいのですが、材料を供給してくださる企業の中で、特注で糸を100回、300回とねじる、撚糸(ねんし)という作業をしてくれるあるサプライヤーさんがいます。弊社の特殊なオーダーにも付き合ってくださり、本当に細かいところまで弊社のことを理解していただいている技術力に長けた会社です。

そのサプライヤーは、父の時代から数十年間のお付き合いがあるのですが、物価は大きく変わっているというのに、その間一度も値上げの要求をしてこないのです。お金を支払う側の私たちにしてみれば、それは助かることではありますが、サプライヤーとの持続的な関係を考えた際には、どうにもマズイわけです。

あるとき、感謝の気持ちを込めて、弊社のほうから20%値上げをさせてくださいとお伝えしました。そういった方々に支えられていまの弊社があるのだと思っています。取引先の皆さまにあらためて感謝申し上げる次第です。

帝人フロンティア株式会社さんへ

 

糸のことをはじめ、弊社の営業先、海外進出など、さまざまなサポートをしてくださいます。中島本部長、池端部長、内山課長、そして弊社担当の佐藤さんには、大変お世話になっています。佐藤さんは大変フットワークが軽く、私たちの事業を大きく支えてくださっています。

 

もともとは部材の仕入れがメインのお付き合いだったのですけれども、担当の佐藤さんがきっかけでお付き合いの幅が広がりました。一時、先方の事情で資材系部署を大阪に統合するという話が出たことがあったのですが、私たちとしては佐藤さんがいなくなってしまうのは、とても困るというわがままを言わせていただき、そのまま佐藤さんに担当をしていただきました。

 

関係が急激に近くなったのは、5年ほど前からでしょうか。弊社が海外進出を意図し始めた際に、帝人フロンティアさんはもちろんグループとして広範な海外のネットワークを築いていらっしゃったので、協力をお願いいたしました。一例を申し上げれば、弊社にはベトナム法人が本来ないのですが、帝人フロンティアさんのベトナム法人を通して、お客さまにアプローチしていただいています。

 

帝人フロンティアさんに新しい商材の相談をすると、しっかり反応いただいて、常に寄り添って検討してくださいます。弊社にとっては、「困ったときのよりどころ」といった要の立ち位置にいてくださるので、とても心強いです。本当に気持ち良くお付き合いさせていただいていることを深く感謝いたします。これからも、ずっとご一緒させていきたいと勝手ながら思わせていただいております。

 

お聞きしたいこととしては、なぜ弊社のことをこれほどまで気にかけてくださるのか、そこがとても気になります。

何より大塚社長が抱かれている大きな志です。事業の拡大のみならず、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の活動にも積極的に取り組んでいます。帝人グループである弊社でもなかなかできていないようなことを、大塚社長ご自身が率先して活動されています。

また、大塚実業さんは国内ろ過布フィルターのニッチな市場の50%のシェアを占めていますので、事業基盤は確立されているのですが、さらなる取り組みとして、SDGsの『目標6:安全な水とトイレを世界中に』を推進するために積極的な海外展開を目指しておられます。

同時に国内市場でも、これまでハイエンド中心だったポジショニングを、ミドルハイからハイエンドまでに拡大するなどして、一層の企業価値の向上を図る努力をされています。そのような社会性、独自性、経済性の最適バランスを追求しようとする事業構想にも大変感銘を受けています…

水上会計事務所さんへ

>弊社と創業が同時期で、所長さんと父が友達でした。担当は原田先生です。ある意味、水上会計事務所のことは、家族だと思って接しています。きめ細かくいろいろなことを見てくださいます。税務関係は分かりにくいことが多いですが、どんなことも電話一本で気軽に教えてくださいます。原田先生は物腰が柔らかく、的確にアドバイスをくださいます。駄目なものは駄目だと、きちんと言ってくれるところも、伴走者として心強いです。
 
月次決算などで、弊社の提出書類が遅れてしまうことが多々ありましたが、そういうときも、ご配慮いただいています。同じく、なぜ私たちをそこまで気にかけてくださっているのか伺ってみたいです。

 

足利銀行足利支店さんへ

今回、新工場の建設に際し、大変尽力していただきました。足利銀行さんがいなければ、この大きな一歩である新しい工場を造ることはできませんでした。本当に感謝しかありません。弊社にとっては少々背伸びした計画でしたが、弊社の伸びしろをしっかり見てくださったのだと思います。
 
当時の支店長だった星野さんと担当の佐藤さんが親身に相談に乗ってくださり、現支店長の本橋支店長に引きついでくださっております。足利銀行の皆さんにはお世話になっていて、コロナ禍でも手厚くサポートしてくださいました。

 

今後は、地域が良くなるようなことを意識的に行っていき、地域を守ってくださる金融機関に、そして地域全体に少しでも恩返しをしていければと考えています。これからも見守っていてください。

 

地域社会・地球環境との向き合い方
一般社団法人公益資本主義推進協議会(PICC)さんへ

6年前にPICCの大久保秀夫会長に出会えなかったら、弊社はいま、倒産の危機にあったかもしれません。経営理念の浸透のさせ方、中期経営計画の立て方、海外を視野に入れた事業展開の在り方、世の中の動向をどう読み、どう考えるのかというモノの見方まで、本当にあらゆることを教えていただき、鍛えていただきました。
 
微力ながら、現在は私もPICCの東京支部長を務めさせていただいていますが、公益資本主義の理念を広めていくことを通して、恩返しをしたいと考えています。

PICCに入って暫く経った頃、私なりに咀嚼して社内の改革にあたったのですが、ちょっとしたコンフリクトが起きたことがありました。そのときも、会長室の須田さんに「そういった事象が起きるのは改善されつつある証拠だ。あなた自身が変わってきているので自信を持ったほうがいい」と励ましていただきました。

 

あの言葉があったからこそ、途中で挫折することなく改革を進めることができたのだと思います。気づけば、会社も自信を持っていい会社だと言える内容に変わってきました。

PICCの成果を感じたエピソードがあります。5年前に初めて中期経営計画を策定したのですが、当初の計画では、工場の建設予定は2022~2023年としていたのです。ところが、理念が社内にきちんと浸透していたからでしょう、組織が一丸となって同じ方向を向けたことで、改革のスピードが劇的に加速して2020年11月に前倒しして完成にこぎつけることができました。

これは偏にPICCのおかげです。PICC事務局本部の方々に感謝します。大久保会長をはじめ、寺田さん、須田さんや田村さん、當間さんの5人に多くのサポートをしていただきました。会長や事務局の皆さんには、私が会長の教えのとおりきちんとやれているか、何が足りないか、聞いてみたいです。東京支部に対しても意見を伺いたいです。

 

PICCにはたくさん優秀な経営者が属していますが、その中でも彼はPICCの理念が意味するものをしっかりと理解しているということ、その理念を自社の経営で実践してきたことが大塚さんに東京支部長に就くようにお願いした理由です。

大塚さんは、2021年3月18日に行われた第5回PICC優秀事例発表会で「2020 PICC MVP賞」を受賞され、東京支部にも「2020年度 最優秀支部賞」が贈られています。大塚さんはPICCの日本全国の会員の中で最も優秀な存在なのです。

AEEF-J主催 Asia Golden Star Award 2017授賞式の様子

AEEF-J主催 Asia Golden Star Award 2017授賞式にて

 

株式会社FISソリューションズ山口勝宏さん、株式会社トライキッツ河合広介さんへ

PICC東京支部の副支部長である山口勝宏さんと河合広介さんがいなければ、PICCの活動自体もうまくいきませんでした。河合さんは株式会社トライキッツの代表取締役、山口さんは株式会社FISソリューションズの代表取締役です。

 

河合さんの会社も製造業です。弊社は千葉大学の水耕栽培プラントの中で使用されているものを製作しておりますので、河合さんにも一緒に水耕やいろいろな開発をしようと話をしています。

 

山口さんは、多いときは週5回お会いしていました。最近はコロナ禍で頻度は減りましたが、Zoomで最低週1回は会っています。本当にさまざまな面でサポートしていただいています。

彼らにお聞きしたいことは、なぜ私と一緒にやってくれて、ここまでと思う以上にサポートしてくれるのか、という点ですね。

特定非営利活動法人テラ・ルネッサンスさんへ

アフリカの元少年兵の自立支援をしている団体です。弊社は寄付で支援をしている立場ですが、関わらせていただくことによって、逆に教えてもらうことがとても多いのです。世界では、私たちが知らないさまざまなことが起きていることを学ぶことができます。経営者としての見聞が広まりました。創設者の鬼丸さんには本当に色々とお世話になっております。

弊社は、日本やカンボジアで孤児院を訪ねて炊き出しをしていますが、やはり逆に教わることが多いです。本当にありがたいです。

大塚実業株式会社さんはテラ・ルネッサンスにとって、かけがえのない社会変革のパートナーです。第1は、その事業の社会貢献性の高さです。「遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」という言葉がありますが、大塚さんはまさに「遠きをはかる」ことのできる稀有な経営者だと思います。…

元気居酒屋 幸多-こうた-さんへ

有楽町にある店で、よく利用させていただきます。海鮮がメインで、お造りがおいしいんですよ。米倉マネジャーと鈴木料理長からは、いつも元気をもらっています。

コロナ禍で大変な中、経営的には店を閉めたほうがいいのですが、ずっと頑張って営業を続けていました。なぜかと聞けば、「周りが閉めてしまっているから、来た人がお昼を食べるところがない。私たちが店を開けなくてどうするんですか」と言うのです。

利益目的でなくて、彼らは「想い」でやっています。私は、こういった店は絶対になくなってはいけないと思います。いまは業態変更をして営業を続けています。自分たちが作る料理を提供することによって、皆を元気にしたいという2人の想いを心から応援したいと思います。

大塚実業さんは、ポジティブな提案をくださる大切な存在です。そういったアドバイスは、私たちにとって「成長の糧」になっているので、本当にありがたいですね。大塚社長はとても人間味があり、何か相談をしても、非常にプラス思考で前向きな言葉をいただけます。本当に人が集まる方だなと思います…

 

 

地球環境保全に対する想い

弊社は排水処理設備に携わっていますので、事業がリアルに環境保全につながっています。そういう立場で思うことは、海は世界とつながっているので、私たちも途上国のことも考えた経営をしなければならないということです。日本だけで考えては駄目だと思っています。

弊社の経営理念にも、「自然と環境を護る」と明文化しています。「守る」ではなく「護る」という字にしている理由は、これ以上絶対に悪くしてはいけないという想いを込めているためです。弊社が持っている技術やノウハウを使って世の中に貢献していきたい。フィルターを徹底的に研究・分析して、周辺機器も学ぶことによって、最終的には液体に関するコンサルタントになるという、さらに上のステージを目指しています。

PICCで関わりのある公益財団法人CIESEF(シーセフ)がカンボジアで、未来の国のリーダーを育てることを目的とした一貫校「CIESF Leaders Academy」を設立しました。ここにはまだ水道がありません。弊社の布のフィルターでは飲料水のプラントは造ることはできませんが、竣工式に行ったときに「井戸を掘って飲料水のプラントを造ります」と約束しました。大塚実業の将来の夢です。実験レベルでは実現できています。これから検証段階に入りますので、大学の先生の協力も得て進めています。

また、環境や衛生という部分では、PICCの山口さんなどと組んで、アンコールワットの山奥の小学校のトイレを建て直しや、雨水利用にもチャレンジしています。

大塚実業のオフィスの様子

株主に対する想い

株主は私と専務である妹です。もともとの株主は創業者(現会長)の父です。本当にいい事業基盤をつくってもらったと感謝しています。父が築いてくれたベースの上に、私が一つ柱を立てる段階になっています。そこに次の世代、さらにその次の世代が、壁や屋根を造っていくという見通しが朧気ながらも立っています。本当にこのビジネスモデルを構築することができて良かったと考えています。

私が中学生ぐらいのときに、父は「うちの会社は1,000年企業になる」と言いました。シュリンクしてしまう可能性のある日本のマーケットだけではなくて、今後展開できるASEAN、さらに広がってグローバルへ挑戦していくことができる状態をいかにつくり上げるか。これが私の課題です。人を育て、技術と設備をしっかり整えることによって、100年企業は間違いなく目指せると思っています。その先に1,000年を見据えていきたいですね。

弊社は現在48期です。51期には、50周年の記念式典を開催したいと思っています。父はいま、石垣島で生活していますが、パーティーへの参加はもちろん、50周年の社史も作りたいので協力して欲しいですね。

未来世代に対する想い

弊社では社員の手当で、他社にはない「給食費手当」という制度を設けています。義務教育のお子さんがいる家庭には、1人あたり月5,000円を支給しています。子どもは地域で育てるものだと思っているからです。子どもが義務教育で学ぶ間は、会社も含めた地域社会が食費もある程度負担するべきではないかと思っています。

今回建てた工場では食堂を広く確保しましたので、そこを自習室として開放して、子どもたちが集まることができる場所にしたいと考えています。何かのときにはイベントを開催して、地域の人々がコミュニケーションを取ることができる環境をつくっていきたいと思っています。コロナ禍が明けないと難しいのですが、ぜひ実現したいです。

弊社は数年前に岐路を迎えていました。日本のマーケットが縮小する可能性もありますから、事業規模を維持する戦略も取れたのですが、そうせずに拡大する道を選びました。いまいる若い社員が、いまの私と同じぐらいの年齢になったときに、大塚実業を選んで良かったと思える会社にすることが私の責任だと考えたからです。

はたから見ると、安定したビジネスモデルを壊さなくてもいいではないかと思うかもしれませんが、それではいまの自分さえ良ければいいということになってしまいます。そういう考えでは、未来につながりません。若手社員がいるから、次の時代につながっていくのです。

──2020年暮れから、企業にはサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)が求められると言われていますが、御社は既に実践されているのですね。

本来、政府は自国の企業が海外へ行くことを止めたいはずです。しかし、日本の場合、後押ししています。それは日本の中小企業を守るためです。そうしないと、中小企業が国内で生き残れないことが分かっているのです。ですから、国際協力機構(JICA)や日本貿易振興機構(JETRO)などのように、税金を使ってでも応援するという形になっているわけです。それが分かれば、もう動かなければ駄目ではないでしょうか。

ある意味、弊社のような業種は海外進出がしやすいのですが、難しい業種もあります。例えば士業です。しかし、士業の人たちが国際免許を取得し、パートナーを探すなど、考え方次第ではやれないことはないと思っています。いかに仲間を巻き込むかということでしょう。PICCの大久保会長は「まず動け」と言っています。自分ができないことだと思っても、動いてみることで、人と出会い、意外とできてしまうこともあります。

いまの私たちがやるかやらないかということで、未来世代の在り方も変わってくると考えています。

大塚実業株式会社のエントランスで撮影された大塚社長の写真

<企業情報>

大塚実業株式会社
https://www.ohtsuka-jitsugyo.com/
本社/本社工場 〒326-0338 栃木県足利市福居町1745-1
東京支店 〒101-0044 東京都千代田区鍛冶町2-4-8 
大阪営業所 〒530-0044 大阪府大阪市北区東天満1-10-15
設立:1973年3月6日
代表者:大塚雅之

WRITER
サイエンスジャーナリスト
小林 浩
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1964年生まれ、群馬県出身。国立群馬高専卒。専攻は水理学と水文学。卒業後、日刊紙『東京タイムズ』をはじめ、各種新聞・雑誌の記者・編集者を務める。その後、映像クリエーターを経て、マルチメディア・コンテンツ制作会社の社長を6年務める。現在は独立し、執筆と映像制作に専念している。執筆は理系の読み物が多い。 研究論文に『景観設計の解析手法』、『遊水モデルによる流出解析手法』、著書に科学哲学啓蒙書『科学盲信警報発令中!』(日本橋出版)、SFコメディー法廷小説『科学の黒幕』(新風舎文庫、筆名・大森浩太郎)などがある。

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