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米ディズニー、経済効果を発表 米国内で6.7兆円 日本ではチケット価格見直しを検討か? 

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ディズニーランド
pixabayより

アメリカのウォルト・ディズニー・カンパニーが、自社のテーマパーク事業による年間6.7兆円規模の経済効果を発表した。巨大な雇用創出と地域貢献が明らかになる中、東京ディズニーリゾートではチケット価格の見直しを検討しているという。世界的なディズニーの動きは、果たして日本のテーマパーク運営にどのような影響を及ぼすのか。

 

米ディズニーが発表した経済効果とは?

ウォルト・ディズニー・カンパニーは現地時間6月5日、同社のテーマパーク事業が米国経済に与える影響に関する最新の経済レポートを発表した。調査を行ったのは、観光経済専門の調査機関「Tourism Economics(ツーリズム・エコノミクス)」。レポートによれば、ディズニーのテーマパークは米国内で年間670億ドル(約6.7兆円)規模の経済効果を生み出しており、全米50州にわたって約40万3000人の雇用(直接・間接)を支えているという。

同社の発表によると、この経済効果にはカリフォルニア州のディズニーランド・リゾート、フロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートの運営による影響が含まれている。ディズニーのテーマパークは単なる観光施設ではなく、アメリカの経済インフラとも言える存在になっていることが数字でも裏付けられた形だ。

カリフォルニアとフロリダで巨大な経済インパクト

報告書の詳細によれば、カリフォルニア州アナハイムにあるディズニーランド・リゾートは、南カリフォルニア地域だけで年間161億ドル(約1.6兆円)の経済インパクトをもたらし、10万2000人以上の雇用を支えているという。フロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートは、同州全体にわたり400億ドル(約4兆円)を超える経済効果をもたらしており、フロリダ州内の32人に1人がディズニーに関係する雇用に従事している計算になる。

さらに、ディズニーは米国内で数千の中小企業とも取引を行っており、全米規模での経済的波及効果は小売、物流、宿泊業、飲食業など多岐にわたっている。この点についてディズニーは「持続可能な経済成長と雇用創出を担う存在として、今後も地域との連携を深める」としている。

【参照】Disney Economic Impact 2025

東京ディズニーリゾートではチケット価格見直しの動き

 

一方で、東京ディズニーリゾートでも価格戦略に変化の兆しが見え始めている。

6月6日、オリエンタルランドの高橋渉社長は、報道陣の取材に応じ、東京ディズニーランドおよびディズニーシーのチケット価格について「見直すことも考えている」と発言した。これは2021年から導入された変動価格制(曜日や時期に応じて価格が変動)について、価格帯の幅や設定内容を再検討することを意味しているようだ。

価格の見直しは「値上げ」だけではない

現在、東京ディズニーリゾートのパークチケット価格は大人1日券で7900円〜1万900円の6段階で設定されている。高橋社長は「単純に値上げするつもりはない。多様な券種を導入することも検討している」と話しており、チケット価格戦略を柔軟化する方針を示した。

また、2020年以降休止中となっている「年間パスポート」の再導入についても、「コアなファン層を取り込むためにさまざまな形を考えている」と言及。これにより、頻繁に来園する顧客層への訴求も図っていく可能性がある。

価格見直しの背景にあるのは「物価高と節約志向」

オリエンタルランドが価格見直しを検討する背景には、国内の物価高騰と消費者の節約志向がある。実際、2025年3月期の客単価は1万7833円となり、前の期と比較して約7%増加している。入園者数は前年同期比で0.2%の増加にとどまり、「価格の高さが来園のハードルになっている」との指摘もある。

高橋社長は「満足度を伴った来園体験を提供したい」と述べ、今後は単なる集客数だけでなく、顧客体験価値の向上を重視する姿勢を明確にした。

ディズニーの存在は“経済インフラ”へ

 

今回の米ディズニーの経済効果レポートは、テーマパークが単なるエンターテインメント施設ではなく、都市や国家の経済を支える「インフラ」の一部となりつつあることを強く印象づけた。

観光、雇用、小売、交通、サービス業といった複数の産業と密接に結びつくテーマパークは、まさに地域経済の心臓部として機能している。特にコロナ禍以降、娯楽施設の役割は「日常からの解放」だけではなく、「生活を支える産業」としての側面がより鮮明になってきている。

経済効果と顧客体験の両立に期待

ウォルト・ディズニー・カンパニーが米国で示した「経済インフラ」としての成功事例は、日本のディズニー運営にも多くの示唆を与える。単なる値上げや施設拡張だけでなく、ファンとの関係性や地域との共存をどう築くか。

東京ディズニーが価格見直しを進める先には、より高い「来園者満足度」と「持続可能な運営」が求められている。夢の国が経済を支える存在として、どのように進化していくのか。今後の動きに注目が集まる。

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ライター:

女性向け雑誌にて取材・執筆及び編集に従事。独立後は、ライフスタイルやファッションを中心に、実体験や取材をもとにリアルな視点でトレンドを発信。読者が日々の生活をより豊かに楽しめるような記事を提供し続けていることがモットー。

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