
4月6日未明、NEXCO中日本管内の複数の高速道路で大規模なETCシステム障害が発生し、首都圏を含む広範囲で通行に支障が生じている。東京、神奈川、山梨、静岡、愛知、岐阜、三重の1都6県、13路線で80か所以上のETCレーンが利用できない状況が続いており、スマートインターチェンジ17か所は完全閉鎖となった。復旧の見通しはいまだ立っておらず、現場では混乱が拡大している。
一部区間で深刻な渋滞 「なぜ無料開放しないのか」と不満の声も
システム障害は6日午前0時半ごろ、中央自動車道で最初に確認された。NEXCO中日本によると、その後、東名高速や新東名など他路線にも拡大。午前10時30分時点でETC専用レーンの多くが利用不可能となり、現地では係員が一般レーンで手作業による料金収受を行っている。
この影響で、中央道上りの八王子料金所付近では約7キロ、東名高速上りの東京料金所付近では約9キロの渋滞が発生。平日朝の通勤時間帯と重なり、混雑は周辺の一般道にも波及している。
SNS上では「なぜ無料開放しないのか」といった怒りや疑問の声が相次いでいる。ある利用者は、「お金を払って高速を使っているのに、何時間も拘束されるのは理不尽だ」と投稿。さらに「高速が使えない人が一般道に流れて、通常の道路まで渋滞が広がっている。早期の無料開放が必要ではないか」と訴えた。
また、トラブルの周知が不十分であったことも指摘されている。「電光掲示板にもアナウンスがなく、出入口で初めて知った」「交通情報でも告知されず、戸惑った」との声が複数寄せられており、有事対応のマニュアルが十分に整備されていないのではないかと疑問視する声もある。
スマートICは全面閉鎖 混乱回避へ国の関与求める声も
今回の障害では、ETC専用のスマートインターチェンジ17か所が閉鎖されており、これが利用者の選択肢を著しく狭めている。「スマートICだけしか出入り口がない地域もある。迂回するにもルートが限られ、地域生活にも支障をきたしている」と、地方在住の利用者は憤る。
一部の専門家や交通政策に詳しい識者からは、NEXCO中日本や首都高速だけに対応を任せるのではなく、国土交通省など関係省庁が主導し、危機対応の全体最適をはかるべきとの意見も出ている。
現場では24時間対応 復旧作業続くも見通し立たず
NEXCO中日本によると、現在も原因の特定と復旧作業が続いているが、6日午後の段階で復旧の時期は明らかにされていない。担当者は「ご不便をおかけしており申し訳ない。原因の調査と対応に全力を尽くしている」とコメントしている。
一方で、現場で対応に当たる職員たちの疲労も深まっている。「手動対応は限界がある」との声も聞かれ、長引けば長引くほど、現場の負担と利用者の不満が積み重なることは避けられない。
障害の長期化に備え、今後の対応策や料金補填の有無、そして一時的な無料開放の是非について、政府およびNEXCO側がどのような判断を下すのかが注目される。