
3月22日午後、東京都内で「第6回日中ハイレベル経済対話」が約6年ぶりに開催された。日本側は岩屋毅外務大臣、中国側は王毅(おう・き)中国共産党中央政治局委員兼外交部長が議長を務め、約2時間45分にわたり議論が交わされた。
対話の冒頭で岩屋外相は、「日中経済関係の強化には双方の国民の理解と、現地駐在員や家族の安全確保が前提条件である」と強調。さらに、日本産農水産物の輸入規制撤廃も重要課題として位置づけ、「今回の対話を通じて課題を減らし、協力関係を深めたい」と述べた。
経済政策・環境分野での連携強化へ
日中双方は経済状況やマクロ経済政策を共有し、グリーン経済の推進に向けて昨年11月に東京で行われた「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」の成果を評価。今年中に北京で次回フォーラムの開催を決定した。
また、「日中環境ハイレベル円卓対話」や横浜市での開催が決まった「GREEN×EXPO 2027」の成功に向け協力を確認。環境分野における具体的な協力を進める。
医療・介護・第三国市場でも協力拡大
医療・介護・ヘルスケア分野での連携強化も議論され、第三国市場での日中民間企業による経済協力を推進していく方針でも一致した。さらに大阪・関西万博を契機とした人的・ビジネス交流、観光振興を進めることを確認し、技能五輪国際大会の2026年(中国・上海)と2028年(日本・愛知)の相互協力についても合意した。
日本産農水産物の輸入再開に向け協議
注目される日本産水産物の輸入規制については、2024年9月に発表された「日中間の共有された認識」が着実に履行されていることを評価。日本側は輸入再開を早期に実施するよう改めて求め、中国側はIAEAの監視枠組みに基づく追加モニタリング結果が正常であれば、再開に向けて協議を進めることで合意した。また、日本産牛肉と精米の輸入再開・拡大についても議論が行われ、解決可能な課題から優先的に対応する方向で一致した。
邦人拘束問題やビジネス環境の改善を要請
日本政府は、中国国内での邦人拘束や「反スパイ法」の運用が不透明であることを指摘し、早期解決を強く求めた。さらにビジネス環境の公平性、透明性の向上を求め、中国による重要鉱物の輸出管理や対日アンチダンピング調査、データ規制、政府調達における内資企業優遇措置についても懸念を伝達。日中双方は輸出管理対話を継続し、ビジネス環境円滑化ワーキンググループや知的財産権保護の連携強化を進めることを確認した。
地域・国際社会における協力も推進
地域や国際社会における協力も話題となり、日中は生物多様性や気候変動対策、プラスチック汚染の防止に向け連携を確認。さらにAPECの2026年中国議長、2031年日本議長への相互支持を歓迎し、WTO改革やG20、ASEANなど多国間の場での協力も進めていくことを決定した。
次回、第7回日中ハイレベル経済対話は中国で開催することが合意された。