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2024年、東京都内で届けられた落とし物の数が過去最多を更新した。特に現金の拾得額は約45億円に達し、前年の記録を大きく上回った。持ち主が見つからない現金の一部は東京都の歳入となるが、その額は約6.6億円にも及ぶ。この増加の背景には何があるのか。2023年のデータと比較しながら、最新の落とし物事情を詳しく見ていく。
2024年、東京都の落とし物が過去最多を記録
警視庁の発表によると、2024年に東京都内で警察に届けられた落とし物は約440万件に達し、前年の記録を大幅に更新した。これは、前年(2023年)と比較して約8%の増加となる。落とし物の中でも、特に現金の拾得額が目立ち、約45億円と過去最多を更新した。
また、届けられた現金のうち、持ち主が判明せず拾得者も受け取りを辞退した約6.6億円が東京都の歳入となった。これは、前年度の約5.9億円を上回る額であり、落とし物の増加とともに、都の歳入としても影響を及ぼしている。
2023年と2024年の落とし物統計を比較
以下の表は2023年と2024年の落とし物の件数と拾得現金の比較を示したものである。
年 | 落とし物件数 | 拾得現金(円) |
---|---|---|
2023年 | 3,433,846件 | 3,996,524,634円 |
2024年 | 4,087,355件 | 4,406,367,594円 |
2023年には、東京都で警察に届けられた落とし物の件数は約343万件だった。現金の拾得総額は約39億円で、2024年と比較すると約4.4億円増加している。落とし物の件数自体も2023年より増えており、拾得件数は2023年と比較して約19%増加した。
特に、ワイヤレスイヤホンや小型電子機器の落とし物が顕著に増加している。これは、近年の電子機器の小型化や、持ち運びが容易になったことが要因と考えられる。加えて、2023年と2024年では、落とし物の中で「エコバッグ」や「モバイルバッテリー」などのアイテムも増加しており、日常生活における持ち物の変化が落とし物の傾向にも影響を与えている。
落とし物の処理と東京都の歳入
警視庁によると、2024年に届けられた現金約45億円のうち、約32億円は持ち主に返還された。拾得者が受け取ったのは約5億円で、持ち主が見つからず拾得者も辞退した約6.6億円が東京都の歳入となったようだ。
東京都の歳入となる落とし物は、都の財政の一部として活用される。過去の事例では、こうした歳入が公共施設の整備や福祉事業の財源として充てられることがある。ただし、落とし主が現れなかった現金が都の歳入となることに対しては、「拾得物は本来持ち主に返還されるべき」という意見もある。
落とし物が増加している背景
近年、落とし物が増加している背景には、いくつかの要因がある。
1. コロナ禍の収束による人流の増加
2020年からの新型コロナウイルス感染症の影響で、人々の外出が大幅に減少していた。しかし、行動制限が解除された2023年以降、人の流れが回復し、それに伴って落とし物も増加したと考えられる。
2. 小型電子機器の普及
ワイヤレスイヤホンやスマートウォッチなどの小型電子機器の普及が進み、これらの落とし物が急増している。これらのデバイスはコンパクトで持ち運びしやすい一方で、紛失しやすいという特徴がある。
3. キャッシュレス時代でも現金を持ち歩く人が多い
キャッシュレス決済が広がる中でも、現金の落とし物は増加している。警察庁によると、財布の中に現金が残ったまま落とすケースが多く、キャッシュレス化が進んだことで、むしろ現金の管理意識が低下している可能性が指摘されている。
まとめ
落とし物の増加が続く中、所持品の管理がより重要になっている。特に、貴重品を持ち運ぶ際には、紛失しないよう注意を払う必要がある。
警視庁では、落とし物をした場合に備え、オンラインでの遺失届の提出を推奨している。東京都内の警察署や交番では、従来の窓口での手続きに加え、ウェブサイトを通じて遺失届を提出することが可能だ。
また、拾得物の返還についても、夜間や休日でも受け取れる専用ロッカーが設置されるなど、利便性が向上している。こうしたシステムを活用し、速やかに落とし物を探すことが重要だ。
今後も落とし物の傾向や対策についての情報を注視し、自己管理を徹底することが求められる。
参照:遺失物取扱状況(令和5年中)(警視庁)