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フォーエバー21、米国で200店以上閉鎖 2度目の破産へ ブランド存続の可能性は?

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フォーエバー21、米国で200店以上閉鎖 2度目の破産へ
DALL-Eで作成

かつてファストファッションブームを牽引した「フォーエバー21」が、再び経営危機に直面している。米国内で200店舗以上の閉鎖を進め、運営会社は3月にも2度目の破産手続きを開始する見通しだ。最盛期には米国で500店舗以上、世界で800店舗以上を展開していたが、近年の消費トレンドの変化や競争激化により売上が低迷。ブランドの存続可能性と、今後の展開に注目が集まる。

フォーエバー21、破産手続きと店舗閉鎖の詳細

米ブルームバーグによると、フォーエバー21の米国での運営会社は3月にも2度目の破産手続きを開始する見通しだ。この計画に基づき、200店舗以上の閉鎖が予定されており、買い手が見つからない場合は推定350店舗を抱えるチェーン全体が清算される可能性もある。

同ブランドの運営権を持つカタリスト・ブランズは、「米国でのブランドライセンスを供与されている運営会社は、売却の可能性も含め戦略的選択肢を模索しながら、コスト削減と店舗最適化に努める」との声明を発表している。しかし、最終的な決定には至っていない状況だ。

また、閉鎖が予定されている店舗の多くは長期的な赤字に苦しんでおり、ロイヤルティや家賃の未払いが発生していることも明らかになった。

フォーエバー21の成長とファストファッションの急拡大

フォーエバー21は1984年、韓国出身のドン・チャン氏とジンスク・チャン夫人が米ロサンゼルスで創業。当初は「ファッション21」として小規模なブティックからスタートしたが、トレンドを取り入れたデザインを低価格で提供するファストファッションビジネスモデルで急成長を遂げた。

1989年にはショッピングモールへの出店を開始し、1995年には全米へと店舗網を拡大。最盛期には米国で500店舗以上、世界で800店舗以上を展開するグローバルブランドへと成長した。

日本市場にも2009年に参入し、原宿に1号店をオープン。当時のH&Mブームと相まって、多くの消費者を惹きつけた。開店初日には1200人以上が行列し、2カ月で100万人以上の来店を記録するなど、一世を風靡した。

しかし、急速な拡大戦略が裏目に出たことや、ファストファッション市場の競争激化により、売上は次第に減少。日本市場では2019年に撤退し、経営不振が表面化していった。

経営不振の背景 なぜフォーエバー21は失速したのか?

フォーエバー21の経営不振には、複数の要因が絡んでいる。

① オンライン市場への対応遅れ

近年、EC市場の拡大により、消費者はオンラインでの購入を重視するようになった。しかし、フォーエバー21はオンライン戦略への対応が遅れ、競争力を失った。特に「ZARA」や「H&M」などの競合他社がオムニチャネル戦略を強化したのに対し、フォーエバー21のデジタル展開は後手に回った。

② サステナビリティ意識の高まり

ファストファッションは「安価でトレンドを追う」点が強みだったが、近年ではサステナビリティを重視する消費者が増えた。環境への影響を考慮し、長く使える高品質な衣服を求める傾向が強まり、フォーエバー21のビジネスモデルは徐々に時代遅れとなっていった。

③ 競争激化と市場シフト

フォーエバー21が急成長した当時は、ファストファッション市場が急拡大していた。しかし、ユニクロやGU、韓国発の低価格ブランド、ネット販売を活用するD2Cブランドが台頭し、市場の競争が激化。フォーエバー21は価格競争力を失い、消費者の支持を徐々に失っていった。

④ 運営の問題

フォーエバー21の海外展開は、本社主導の運営が基本だった。そのため、日本市場では現地ニーズに十分対応できず、品揃えやマーケティング戦略のミスマッチが生じた。こうした運営上の問題も、事業撤退の要因の一つとなった。

フォーエバー21の今後 ブランドは生き残るのか?

フォーエバー21の商標と知的財産は、アパレルブランドをライセンス展開する「オーセンティック・ブランズ」が所有している。同社は、ブランドを完全に清算するのではなく、ライセンス供与による運営継続を検討している。

過去にも「エアロポステール」や「ナインウェスト」など、経営破綻したブランドを再生させた実績があり、フォーエバー21も同様の道を歩む可能性がある。ただし、実店舗の大規模展開は難しく、今後はオンライン販売や他ブランドとのコラボレーションが主軸になると考えられる。

また、買収企業が現れる可能性もあるが、現在のファストファッション業界の低迷を考慮すると、大規模な復活は難しいだろう。

まとめ:ファストファッションの終焉と新たな消費トレンド

フォーエバー21の経営破綻は、単なる一企業の問題ではなく、ファストファッション業界全体の変化を象徴している。消費者の意識が変化し、持続可能なファッションやオンライン販売が主流になりつつある中で、従来の大量生産・大量販売モデルは成り立ちにくくなっている。

フォーエバー21のブランドは存続する可能性があるものの、今後の小売業界の動向を考えると、これまでのビジネスモデルのままでは再建は難しいだろう。

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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