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大阪カウンセリングセンターBellflower

https://counseling-bellflower.com/

〒572-0839大阪府寝屋川市平池町33番5号

臨床心理士が解説!うつ病の理解と企業の対策

コラム&ニュース コラム
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写真ACより

精神疾患のなかでも、私たちの一番身近な病気と言っても過言ではないほど広まってきている「うつ病」。周囲に通院をしたり休職したりしている人が少なからずいるのではないでしょうか。

厚生労働省が定期的に行っている「患者調査」によれば、その数はここ数年の間に倍増しており、世界保健機構(WHO)は世界中のうつ病の人は推計3億2,200万人、全世界人口の4%を超えるといわれています。

世界的に早急な対策の必要性が訴えられている昨今、大阪カウンセリングセンターBellflowerでは、企業におけるメンタルヘルス支援、うつ病予防の人事施策をサポートしています。

現場で働く臨床心理士、こころの専門家の観点からうつ病について解説します。

うつの定義とその影響

厚生労働省によると,うつ病は“「気分がひどく落ち込んだり何事にも興味を持てなくなったりして強い苦痛を感じ、日常の生活に支障が現れるまでになった状態である。

こうした状態は、日常的な軽度の落ち込みから重篤なものまで連続線上にあるものとしてとらえられていて、原因についてはまだはっきりとわかっていない。”と定義されている。

うつ病は極めて重篤な健康問題として捉えられており,厚生労働省や警察庁など公的機関をはじめ様々な期間や企業が,メンタルヘルス支援対策においてうつ病の対策を中核としている。

厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設に対して行なっている「患者調査」によると,調査を開始した平成8年から,平成20年には12年間で,うつ病の患者数は約2.4倍に増加しているという。

うつ病患者における医療機関への受診率は低く,実際には調査数値よりも多くの患者がいることも示唆されている。

多様性がさけばれる近年,ストレス社会の問題だけでなく,多様な価値観や働き方に翻弄されることもうつ病増加の背景として考えられる。

令和4年に厚生労働省が実施した労働安全衛生調査(実態調査)によると,過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休職した労働者または退職した労働者がいる事業者は全体の10.6%にのぼる。

さらに,全体の63.4%の企業がメンタルヘルス対策に取り組んでいるおり,その割合は年々増加をしていることから,企業におけるうつ病対策の重要度の高さが推測される。

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令和4年に厚生労働省が実施した労働安全衛生調査(実態調査)より

鬱の主な原因

うつ病はあるひとつの出来事がきっかけに引き起こされることも多くありますが,ひとつの事柄が原因で引き起こされるのではなく,様々な出来事が重な里,複雑に絡み合って原因となります。

正義感が強く,仕事熱心,他人への配慮ができる,といった,いわゆる“真面目”な性格傾向もうつ病が引き起こされる原因の一つです。

職場や友人関係における人間関係のトラブルや家庭内のトラブルはもちろん,昇格や結婚,妊娠といった社会的な節目もうつ病になりやすい環境要因です。

鬱の兆候や警告サイン

うつ病には、以下のような様々なサインが認められる。

  • 悲しみや喜びを感じず,むしろ疲労感ばかりを感じる
  • 良いことが起きても気分が晴れない
  • 眠れない・食事の変化


また、職場においてはうつ病の警告サインとして以下のようなことがあげられる。

  • 仕事にミスが増える
  • 土日休んでも疲れが取れない
  • 身体のコリや痛みを感じる
  • 眠れない
  • 落ち着かない
  • 突然涙が出てくる


うつ病は早期発見・早期治療が大切であり,職員が働きやすい職場の環境づくりをはじめ,定期的なストレスチェックの実施など,企業において,様々なメンタルヘルス対策が実施されている。

うつ病対策 企業の取り組み事例

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(写真ACより)

関西を拠点とする,とあるメーカー企業A社は,年に1回のストレスチェックを実施。

一定基準を上回った社員に対し,産業医面談の実施だけでなく,臨床心理士によるカウンセリング費用の助成を行なっている。

うつ病の早期発見・早期治療への効果を実感されており,現在は休職中の社員を対象としたカウンセリング費用の助成も始めた。

福祉サービスを展開するB社は,環境づくりの一環として,風通しの良い職場づくりを行なっている。

年齢や職歴問わず,日頃から様々なアイデアを募集し,キラリと光るアイデアには,発案者を中心に実業務へ展開させるなど,従業員が積極的に発言や意見交流がしやすい風土を作り上げ,休職率や離職率の減少を実感しているという。

人事担当者としての対応策

厚生労働省が平成22年より報告している「自殺・うつ病対策プロジェクトチーム報告」では,職場におけるメンタルヘルス対策・職場復帰支援の充実を図るために,「一人一人を大切にする職場づくりを進める」をキーワードに,管理職や産業保健スタッフへの教育促進や,職場における情報提供の充実やメンタルヘルス不調社の把握及び対応,長時間労働の抑制,うつ病等による休職者の職場復帰のための支援の実施など,様々な施作の実施が提案されている。

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(画像提供:大阪カウンセリングセンターBellflower)

人事担当者としてはまず,職場づくり・早期発見と対応・求職者への支援や予防といったメンタルヘルス不調を予防するための制度の見直しを行うことを進める。

その中で,医療機関の紹介や付き添い,家族への連絡など,どこまで介入するのかといった社内規定の整備は,実務上重要である。

また,ハローワークなど公的機関が行う休職・復職支援プログラムについても知っておくことで,福祉の分野でも大切な従業員を守るための支援へと繋ぐことができ,包括的な社員のメンタルヘルスサポートが実施できる。

◎執筆者プロフィール
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氏名:町田奈穂
同志社大学大学院 心理学研究科修了。在学時より滋賀医科大学附属病院にて睡眠障害や発達障害に苦しむ人々への支援や研究活動を行う。修了後はスクールカウンセラーやクリニックの臨床心理士を経験。2020年、父の病気を機に父が経営する機械工具の卸売商社へ入社。そこで多くの企業のメンタルヘルス問題に直面し、大阪カウンセリングセンターBellflowerを設立。現在は、父の後を継ぎ機械工具の卸売商社の代表を務めるほか、公認心理師・臨床心理士として、精神・発達障害の人が活躍できるインクルーシブな職場づくりをサポートする人事コンサルタントとしての活動や支援者支援をテーマとした研究や臨床活動を行っている。

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