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電動キックボードや電動アシスト自転車のシェアリングサービス「LUUP」が、浜松、仙台、福岡といった地方都市で相次いで導入される。各地の交通課題を背景に、新たな移動手段として注目されている。
LUUP、浜松・仙台・福岡でサービス開始
電動マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」を展開するLuup株式会社は、2024年2月から3月にかけて、静岡県浜松市、宮城県仙台市、福岡県福岡市で順次サービスを開始する。
浜松市では2月26日から約50カ所のポートで展開する。市内の公共交通機関利用率が低く、自動車依存が高いことから、LUUPが短距離移動の手段として期待されている。
仙台市では2月28日より、約60カ所のポートでサービスを提供開始する。市内では過去に実証実験が行われており、観光やビジネスの両面での利用が見込まれている。
福岡市では3月27日から利用可能となる。市内交通機関は発達しているものの、柔軟なルートでの移動ニーズに応える形でLUUPが導入される。
料金は3都市ともに、基本料金50円に加え、1分あたり15円の時間料金が発生する。
地方都市でLUUPが求められる理由
地方都市では公共交通機関の縮小や運転手不足が深刻な課題となっている。浜松市ではバス路線の減便が進み、仙台市でも「2024年問題」による影響が懸念されている。2024年4月1日より、トラックドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されるほか、月60時間超の時間外労働への割増賃金率が50%に引き上げられる。この規制により拘束時間を短縮する必要があり、ドライバー1人当たりの走行距離が減少し、長距離輸送が困難になるとみられる。さらに、労働時間の減少によるドライバーの給与低下も懸念されている。福岡市では自動車が主な移動手段となる一方で、中心部では駐車場不足が課題となっている。
LUUPの導入は、こうした都市の交通課題を補完する新たな手段となる可能性がある。特に短距離移動においては、従来のバスやタクシーよりも利便性が高いとされる。
LUUPの成長と都市部での展開状況
LUUPは2020年5月に電動アシスト自転車、2021年4月に電動キックボードのシェアリングサービスを開始した。その後、順調にポート数や展開エリアを拡大しており、現在は東京・大阪・横浜・京都・宇都宮・神戸・名古屋・広島・仙台・福岡を中心にサービスを展開している。
Luupによると、東京都渋谷区や目黒区などではコンビニエンスストアの店舗数よりもLUUPのポート数の方が多く、他社と比較しても最も「ポート密度」の高いサービスとなっているという。実際にLUUPのポートマップを見ると、特に東京では無数のポートが密集していることを実感できる。
これだけ多くのポートを設置しているLUUPだが、今後さらなる事業拡大を進めていくとしている。
LUUPのメリットと今後の課題
短距離移動の利便性向上やバス・タクシー不足の補完、環境負荷の低減といったメリットがある。また、今後労働者不足が深刻化し、公共交通機関の維持が困難になった場合でも、個人が自力で交通手段を確保できる可能性が高まる点も利点といえる。
一方で、交通ルールの遵守や事故リスクの管理、天候の影響を受けやすいといった課題が指摘されている。特に歩道や狭い道路での利用が増えることで、歩行者との接触事故や利用マナーの問題が懸念されている。また、自治体による規制の整備が不十分な地域では、安全基準の統一が求められる。各地ではサービス開始と同時に安全啓発イベントが開催され、交通ルールの講習が行われる予定だ。
では改めてLUUPの利用方法をおさらい
LUUPはスマートフォンのアプリを利用して簡単に利用できる。まず、App StoreまたはGoogle Playで「LUUP」アプリをダウンロードし、アカウントを作成する。その際、支払い方法を登録する必要がある。
次に、アプリ上で現在地付近のLUUPポートを検索し、利用可能な電動キックボードまたは電動アシスト自転車を確認する。利用したい車両を選んだら、そのQRコードをアプリでスキャンし、解錠することで走行が可能となる。電動キックボードの利用には運転免許証は不要である。ただし、16歳以上であることと、交通ルールテストに合格する必要がある。交通ルールを遵守しながら移動することが求められる。
利用後は、目的地近くのLUUPポートに車両を停め、アプリで返却処理を行う。適切な駐車スペースを利用し、次の利用者のために整理整頓を心がけることが推奨される。