![豪州、鉄鋼・アルミ関税免除を模索](https://coki.jp/wp-content/uploads/2025/02/anime_trade_tensions_resized.jpg)
オーストラリア政府は、鉄鋼・アルミニウムの対米輸出が「高賃金の米雇用」を創出していると主張し、関税免除の確保に向けた交渉を進めている。ロイター通信によると、トランプ米大統領が米国に輸入される全ての鉄鋼・アルミニウムに対し、新たに25%の関税を課す方針を示したことを受け、アルバニージー首相やファレル貿易相が対応を強めている。
オーストラリアの主張
ファレル貿易相は10日、「オーストラリアの鉄鋼とアルミニウムの対米輸出は、米国の高賃金雇用を支えている」と指摘し、関税免除の必要性を強調した。オーストラリア政府はすでに米政府に対し、2018年のトランプ政権時に得た関税免除と同様の措置を求めており、今後の交渉が焦点となる。
アルバニージー首相も、トランプ氏との会談でこの問題を提起する意向を示しており、「オーストラリアが関税免除を受けられるよう、引き続き米国と協議していく」と述べた。
トランプ氏の新たな関税方針
トランプ氏は9日、大統領専用機内で記者団に対し、「全ての国を対象に、輸入鉄鋼・アルミニウムに25%の関税を課す」と発表した。さらに、11日か12日に「相互関税」についての詳細を明らかにするとし、「他国が米国製品に課す関税と同率の関税を課す」と述べた。
同氏は1期目にも鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課したが、カナダやメキシコ、ブラジルなどの国々に無関税枠を認めた。しかし、バイデン前政権が無関税枠を英国、日本、欧州連合(EU)にも拡大したことで、米国内の製鉄業の競争力が低下したと主張している。トランプ氏は、「関税によって米国の鉄鋼業界が再び繁栄する」と述べており、今回の措置が国内産業保護の一環であることを強調した。
日本企業への影響
今回の関税強化が、日本の鉄鋼業界に与える影響は大きい。特に、日本製鉄やJFEスチールなどの大手企業にとって、米国市場は重要な輸出先の一つだ。関税が強化されれば、価格競争力が低下し、米国内の需要が減少する可能性がある。
日本製鉄は近年、米国市場でのプレゼンスを強めるために、USスチールの買収を進めていたが、今回の関税措置が影響を及ぼす可能性がある。トランプ氏は「USスチールの過半数株を外国企業が持つことは許さない」と述べ、買収阻止を示唆している。これにより、日本製鉄は対米戦略の見直しを迫られることになる。
一方、JFEスチールや神戸製鋼も、米国市場への輸出依存度が高いため、今後の対応が焦点となる。特に、日本製鉄の買収計画に関する不透明感が高まれば、日系企業全体の投資判断にも影響を与える可能性がある。
外交的な視点
今回の関税措置は、日米関係にも影を落とす可能性がある。石破首相は日米首脳会談後、「やれることはすべてやった」と述べたが、関税免除を勝ち取ることはできなかった。これは、日本政府にとって外交的な課題となりそうだ。
米国は、日本製鉄のUSスチール買収に対して慎重な姿勢を示しており、関税措置と併せて日本企業に圧力をかけているとの見方もある。トランプ氏が日米会談後に関税方針を発表した点について、SNSでは「石破首相が帰国するのを待って発表したのではないか」との憶測が広がっている。
日本政府は、関税措置による影響を最小限に抑えるため、今後も米国と協議を続ける見通しだ。しかし、トランプ氏の貿易政策が「アメリカ第一主義」に基づくものである以上、日本にとって厳しい交渉が続くことは避けられない。