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EU、ハンバーガー包み紙などPFAS使用禁止に向けた計画を発表

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分解されない「永遠の化学物質」、環と健康への影響懸念

PFASのイメージ画像。ハンバーガーの包装紙
DALL-Eで生成

欧州連合(EU)は、いわゆる「永遠の化学物質」と呼ばれるPFAS(ピーふぁす・有機フッ素化合物)の消費者製品への使用を禁止する計画を進めていることを発表した。この決定は、環境問題に加え、人体への深刻な影響が懸念される中での動きとして注目されている。

分解されず、環境中に残留

PFASは1940年代から防水スプレーやフライパンのコーティング、耐油性の包装紙など、生活用品や工業製品に幅広く利用されてきた。しかし、この化学物質は自然界で分解されにくく、「永遠の化学物質」とも呼ばれるほど環境中に長く残留する特性がある。その結果、土壌や地下水を通じて水道水への汚染が広がり、人体にも蓄積されることが分かっている。

EUの環境問題担当であるロスウォル委員はロイターのインタビューで、「消費者製品での禁止を検討している」と述べ、さらなる規制に向けた取り組みを強調した。ただし、一部の製品については「必要不可欠な適用除外」が設けられる見込みで、提案の最終決定は2026年以降になると見られている。

健康リスクと法整備の課題

PFASが人体に与える影響としては、肝疾患や腎臓がん、出生体重の低下、精巣がんなどの関連性が複数の研究で指摘されている。また、PFASが高濃度で検出される地域では住民の健康被害が懸念されており、特に妊娠中の女性や子どもへの影響が大きいとされる。

一方で、EU加盟国のデンマーク、ドイツ、スウェーデンなどが積極的に禁止を支持しているものの、代替品の普及や規制の具体化には課題が残る。デュポン社や3M社といった化学メーカーの対応が世界的な規制の転機となったが、各国での規制の進展には差がある。

日本におけるPFAS汚染の現状

日本でもPFAS汚染の影響は深刻で、環境省の調査によれば2022年時点で111地点の河川・地下水から基準値を超える濃度が検出されている。特に沖縄県や東京都多摩地域では、PFAS濃度が高い地域の住民に健康リスクが確認されているという報告がある。

PFASは分解されにくいだけでなく、一度汚染された環境を回復させるには長期間を要する。日本政府は目標値の設定や調査の実施を進めているが、法的拘束力のある規制には至っていない。

2024年3月には、ダイキン工業やAGCなど日系企業を含む大手化学製品メーカーは、米食品医薬品局(FDA)の要請を受け入れ、PFASを含んだ食品包装容器向け製品の米国内での販売を中止してもいる。

米国や欧州では人体に有害なPFASをサプライチェーンから追放する動きが急速に広がっており、この問題をめぐる日本の規制当局との温度差があるようだ。

消費者の選択が未来を左右する

専門家は、PFASフリー製品を選択することで、汚染を抑える取り組みに貢献できると指摘している。また、行政や企業に対して規制の強化を求める声を上げることも重要だ。

PFAS問題の解決には、科学的な研究の深化と、国際的な協力が不可欠である。EUの動きが各国に波及し、持続可能な環境保全のための転換点となることが期待される。

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サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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