化粧品ブランド「リージュ化粧品」が、アイドルグループ「Number_i」への誹謗中傷を含むXへの投稿で炎上し、謝罪後に廃業を表明した。年末年始の芸能ニュースを騒がせたこの騒動は、企業のSNS運用におけるリスクを改めて浮き彫りにした。
紅白歌合戦出演めぐり「裏切者」「目と耳が腐る」
リージュ化粧品の公式Xアカウントは2025年1月1日、大晦日の紅白歌合戦にNumber_iが出演したことに対し、批判的なコメントを引用する形で「カッコいいの基準が違いすぎて意味が判らん あのタイミングで出てった裏切者たちを見てカッコいいなんて絶対に思わん 目と耳が腐る」と投稿。この投稿は後に削除されたものの、スクリーンショットが出回り拡散、「裏切者」「目と耳が腐る」といった表現がNumber_iのファンを中心に大きな反発を招いた。
過去の投稿にも批判集中、TOBE代表も対応表明
炎上を受け、過去の投稿にも注目が集まり、「ジャニーズアンチ企業の怨念とゴリ押しで生き残ってるだけ サントリーとマクドナルドとかね」など、具体的な根拠のない憶測を含む投稿が複数見つかった。批判の高まりを受け、リージュ化粧品は3日に謝罪文を掲載。さらに、TOBE代表の滝沢秀明氏も4日、Xで「事実と異なる投稿などが一部ある事を確認しました」と表明し、然るべき対応を示唆した。
廃業という重い決断、背景に何があったのか
騒動を受け、リージュ化粧品は5日に改めて謝罪文を公開。投稿を行ったのは代表取締役の宮内厚郎氏であることを明かし、「今回不適切な投稿をしたことに対する責任を取るべく、弊社は廃業することとさせていただきました」と表明した。Yahoo!ショッピングからも退店となり、公式サイトは謝罪文のみの掲載となった。
リージュ化粧品とは
廃業となったリージュ化粧品だが、どういった会社だったのだろうか。リージュは2010年12月設立したと報道されているが、1月5日にはHPに廃業を伝える謝罪文のみが掲載され、過去情報はわからない状態だ。アットコスメなどのサイトを見ると、「花と果実の化粧水」という商品を出していたらしいことがわかる。
説明文には、「富山県産の温泉水や青森県産のリンゴ果実水など、国産天然美肌水と、花から抽出される美容成分を配合した、うるおい豊かな保湿化粧水とある。
いずれにしろ、ネットの炎上一つで廃業を決めるような会社だ。社員がいる規模かわからないが、取引先や顧客、多くのステークホルダーへの責任を軽視しているとしか言いようがない。
SNSの反応は驚きと疑問の声
この騒動に対し、SNSでは「心の中で思っていても何故SNSで発信してしまうのか」「社名変えて商売続けるんだろ」「従業員の生活はどうなるの?」など、驚きや疑問の声が多数上がった。企業公式アカウントにおける不用意な発言が、企業の存続を脅める事態に発展した今回のケースは、企業のSNS運用におけるリスク管理の重要性を改めて示す事例となった。
企業活動におけるSNS運用の教訓
今回のリージュ化粧品のケースは、企業がSNSを活用する上で、以下の点に留意すべきであることを示唆している。
- 表現の慎重さ: 感情的な言葉や、根拠のない憶測に基づく発言は避けるべきである。
- 責任の所在明確化: 企業アカウントの運用責任者を明確にし、適切な管理体制を構築する必要がある。
- 炎上発生時の対応: 迅速かつ誠実な対応が求められる。必要に応じて専門家の助言を得ることも重要となる。
リージュ化粧品の廃業という重い決断は、軽率なSNS運用が企業活動に及ぼす影響の大きさを物語っている。企業は、今回の事例を教訓として、SNSとの適切な付き合い方を改めて考える必要があるだろう。