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福岡県議会ハワイ視察問題 1泊11万円ホテルより重い、蔵内勇夫議長の「海外旅行」発言

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福岡県議会
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福岡県議会の海外視察をめぐる批判が収まらない。ハワイ視察では1泊11万円超のリゾートホテルに宿泊し、県議1人あたり約300万円が使われたと報じられた。会見した蔵内勇夫議長は視察継続を強調したが、途中で「海外旅行」と言い間違えた。その一言は、県民の胸にたまっていた疑念をそのまま言葉にしてしまった。

 

 

「海外旅行」と言い直したくなる会見だったのか

会見場で本当に怖いのは、用意してきた説明が崩れる瞬間である。長い答弁や丁寧な言い回しではなく、ふと漏れた短い言葉が、その人の立っている場所を照らしてしまうことがある。福岡県議会の高額海外視察問題で、蔵内勇夫議長が口にした「海外旅行は続けます」は、まさにその類いの発言だった。

すぐに「あ、海外旅行じゃありません、海外活動です」と訂正した。単なる言い間違いだと見ることもできる。だが、公費で行われた海外視察に高額すぎるのではないかという批判が集まり、報告書の少なさや契約の不透明さまで問題になっている中で、その言葉はあまりにも間が悪かった。言い間違えたから批判されたのではない。すでに多くの県民が「これは視察なのか、旅行なのか」と疑っていたところへ、本人の口からその言葉が落ちてきたのである。

FNNプライムオンラインなどによると、2025年1月のハワイ視察では、県議4人と同行職員らがホノルルの「シェラトン・ワイキキ ビーチリゾート」に宿泊した。宿泊費はスタンダードで1泊11万4600円。視察費用は総額1190万円あまり、県議1人あたりでは約300万円に上ったという。ワイキキの海、ヤシの木に囲まれたホテル、ビジネスクラスの航空券。自分の財布で行く旅なら、誰に遠慮する必要もない。だが、これは県民の税金でまかなわれた視察である。そこで求められるのは、旅の快適さではなく、県政に持ち帰った中身だ。

 

「知らない」で済ませるには、金額が大きすぎる

蔵内議長は会見で、宿泊先や部屋について自分たちから希望したことはないと説明した。契約についても、議会には権限がなく、内容は分からないという趣旨の発言をしている。たしかに、旅行会社との契約手続きを議員本人が直接担っていないという説明は、手続き上はそうなのかもしれない。だが、県民が引っかかっているのはそこではない。

公費で海外へ行く人間が、その費用にどこまで目を向けていたのか。宿泊費が1泊11万円を超えると知ったとき、高すぎないかと誰かが声を上げたのか。視察の手配が膨らみ続ける中で、費用に見合う成果をどう残すのかを考えたのか。ここが見えないから、会見での「分からない」という言葉が、責任から身を引くための便利な盾のように響いてしまう。

報道では、福岡県議会の海外視察をめぐり、特定の旅行会社との随意契約が繰り返され、契約後に費用が大きく増えるケースも指摘されている。県は今後、旅行会社との契約を原則として競争入札に見直す方針だという。見直すということは、これまでのやり方では県民に説明しきれない部分があったということだ。制度の穴なのか、慣例の甘さなのか、誰も止めなかった空気なのか。そこを曖昧にしたままでは、次も同じことが起きる。

海外視察そのものを悪だと決めつけるのは簡単だ。だが、それでは話が薄くなる。海外へ行かなければ見えない行政課題もある。観光、環境、教育、防災、経済交流、地域外交。福岡県が海外とのつながりを広げていくなら、現地で人に会い、空気を吸い、制度の動きを肌で知る意味はある。だからこそ、なおさら説明が要る。必要な視察なら、堂々と出せばいい。出せないから、旅行と呼ばれる。

 

報告書が薄ければ、成果も薄く見える

今回の問題で、ホテル代以上に重いのが報告書の少なさである。2024年1月から2026年までに少なくとも18回の海外視察が行われ、約1億5000万円の公費が使われた一方で、公開されていた報告書は2件にとどまっていたと報じられている。さらに、2023年度から3年間では海外視察が25回、約2億8000万円に上ったとの報道もある。

これだけの金額が動いていながら、県民が読んで判断できる材料が乏しい。どの国で誰と会ったのか。どんな課題を見たのか。福岡県の政策にどう結びつけるのか。視察後に予算や条例、事業として形になったものはあるのか。そこが見えなければ、視察という言葉だけが空回りする。

報告書は、行ってきましたという証明書ではない。視察先で撮った写真や、訪問先の概要を並べるだけなら、観光パンフレットと大きく変わらない。県民が知りたいのは、県議が現地で何を見て、何を考え、福岡に何を持ち帰ったのかである。公費で移動し、公費で泊まり、公費で通訳や車を手配したなら、その一日一日に意味を持たせなければならない。

会見では、費用対効果や報告のあり方を見直す考えも示された。だが、県民の不信は、これから気をつけますという言葉だけで消えるほど浅くない。すでに使われた公費があり、すでに行われた視察があり、すでに公開されていない報告がある。まず過去の視察について、目的、旅程、費用、成果を洗い直して出すべきだ。それがなければ、改革という言葉も、また耳触りのいい飾りに見えてしまう。

 

「続ける」なら、県民に見える形で

蔵内議長は、海外視察を今後も続ける考えを示した。高額だったから必要ではないとは考えない、という趣旨の発言もあった。たしかに、安ければ正義という話ではない。意味のある調査には費用がかかることもあるし、国際交流には時間も手間もかかる。だが、その理屈が通るのは、目的と成果を人前に出せる場合だけだ。

続けるなら、先に変えることがある。視察前に目的、参加者、旅程、概算費用を公開する。帰国後には、実際の費用、面会先、視察内容、政策への反映方針を示す。数カ月後には、何が実行に移されたのかを検証する。これくらいの仕組みがなければ、どれほど「海外活動」と呼び直しても、県民の疑念は消えない。

会見での言い間違いは、ただの失言として処理されるかもしれない。だが、あの一言がここまで響いたのは、県民の中にすでに同じ言葉があったからだ。税金で行くのに、なぜそこまで高いのか。行った後に、なぜ成果が見えないのか。誰も止めなかったのか。その問いに答えないまま、次の海外視察だけは続けるというのなら、批判はまた戻ってくる。

福岡県議会が示すべきなのは、言い換えのうまさではない。旅行ではないと言うなら、旅行ではないだけの中身を出すことだ。それができない視察を、人はやはり旅行と呼ぶ。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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