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東京都北区でLUUP死亡事故か 公式発表タイトルは「お知らせ」のたった4文字。募る世論の不信感

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luupお知らせ
LUUP公式サイト「お知らせ」より(以下同)

街の風景として定着しつつある電動キックボードのシェアリングサービス「LUUP(ループ)」。その利用者が命を落とす痛ましい交通事故が東京都内で発生した。

次世代モビリティの普及に向けた重大な転換点となる出来事だが、サービスを提供する株式会社Luupの情報公開のあり方に対して、少なからぬ疑問の声が上がっている。警察の捜査が進むなかで、社会のインフラを担おうとする企業が取るべきコミュニケーションとは何か、改めて問われている。

 

都内初、公道での特定小型原付の死亡事故

乗りものニュースの報道によると、事故が起きたのは2日の22時10分頃。東京都北区王子3丁目の変則5差路の交差点である。29歳の会社員が運転する軽貨物車と、62歳のアルバイトが運転する特定小型原付が同じ方向へ走行中、交差点を右折しようとした軽貨物車と直進しようとした特定小型原付が衝突した。特定小型原付の運転者は約1時間後に死亡が確認されている。

2023年7月の道路交通法改正で「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」という区分が新設されて以降、東京都内の公道における同区分の死亡事故はこれが初めてとなる。警視庁は現在、直進と右折という状況下で両者がなぜ衝突に至ったのか、詳しい原因について捜査中だ。警察当局は当該車両が電動キックボードか着座式のペダル付原付か、あるいはシェアリングサービスか個人所有かについて明言を避けているが、株式会社Luupは自社サービスの利用者が事故に遭ったことを自ら公表した形である。

 

「お知らせ」という表記がもたらす情報の非対称性

警察が慎重な姿勢を崩さないことに歩調を合わせるように、株式会社Luupの対応も極めて抑制的であった。事故発生から1週間が経過した6月9日、同社は公式サイトに声明を掲載した。しかし、その公表手法にはいささか首を傾げざるを得ない。

LUUP公式サイト

公式サイトの「最新情報」一覧を見ると、この死亡事故に関するリリースには「お知らせ」という4文字のみが記されている。リンクを開いて初めて、それが利用者の死亡事故という重大な事案に関する報告であるとわかる仕組みだ。

もちろん、定型的なフォーマットに則った結果である可能性は十分にある。しかし、同じ一覧ページにある他のニュースに目を向けると、情報開示の非対称性が際立って見える。「北海道利尻郡利尻富士町で『LUUP』の電動キックボードがご利用可能に」といったエリア拡大のポジティブなニュースや、直近に出された「首都高速道路への進入について」という注意喚起は、タイトルを一目見ただけで内容が把握できるようになっている。

人命に関わる最も重い事象が、無機質な「お知らせ」というタイトルに収められている現状は、リスクコミュニケーションの観点から見て最善とは言いがたい。「不都合な情報を目立たせないようにしているのではないか」という利用者の疑念を招きかねないアプローチであると言える。

 

高まる社会の不安と、相次ぐ危険走行の報告

こうした情報公開のあり方が問われる背景には、特定小型原付という新しい乗り物に対する社会的な不安が、いまだ払拭されていないという事実がある。

SNS上では日常的に、利用者の危険な運転に対する懸念が投稿されている。元足立区議会議員の松丸まこと氏は自身のXアカウントで、米ニューヨーク市警が違法な電動バイクをショベルカーで破壊する映像を引用し、「日本もこれぐらいの取り締まりをするべきだ。モペットやLUUPは危なくてしょうがない」と厳しく指摘していた。

また、一般のユーザーからも「イヤホン装着、並列走行、信号無視、右折車両への突撃」など、目に余る運転実態が次々と報告され、「主要幹線道路で使わせたくない」といった切実な声が聞かれる。6月上旬には首都高速道路への電動キックボード進入という極めて危険な事案も発生し、首都高の公式アカウントが直接警告を発する事態となった。これに対しても、違反者のアカウント凍結など、具体的な事後対応の報告が見えないことへの不満がSNS上で漏れ聞こえている。

 

沈黙がもたらすもの、インフラ企業としての覚悟

利用者の死亡という取り返しのつかない悲劇と、相次ぐ安全管理への疑問。こうした状況下において、同社の経営トップや公式SNSが沈黙を保っていることは、企業としての姿勢に疑問符を投げかけている。

6月10日現在、株式会社Luupの代表取締役社長である岡井大輝氏のXアカウントからは、この事故に関する哀悼の意や、今後の安全対策に向けた具体的な言及は発信されていない。フォロワー数3万5000人を超える公式Xアカウントも同様であり、5月下旬のキャンペーン情報を固定表示したまま、静観の構えを見せている。

むろん、警察の捜査が進行中であり、不用意な発信を控えるという法務・広報的な判断があることは想像に難くない。憶測で情報を錯綜させるべきではないという配慮もあるだろう。

しかし、「街じゅうを駅に」というビジョンを掲げ、都市の交通インフラの一翼を担おうとする企業であれば、社会の不安に寄り添う姿勢を自ら示すこともまた、重要な責務ではないか。イノベーションには常にリスクが伴う。大切なのは、痛ましい事故が起きた際に、その事実から目を背けず、透明性をもって社会と向き合うことである。

次世代モビリティが本当の意味で社会に受け入れられるためには、便利なサービスの提供だけでなく、誠実な対話が不可欠である。株式会社Luupがこの悲劇をどう受け止め、いかにして安全な交通環境の構築に寄与していくのか。経営トップからの、自らの言葉による発信が待たれている。

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ライター:

Sacco編集・ライター。企業に直接出向く取材が中心。扱う記事はサステナビリティ、エンタメ関係が多め。

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