
秋葉原の中華料理店「雁川」をめぐる路上スロープ撤去騒動が、店主の新たなX投稿で再び関心を集めている。千代田区の説明、道路法上の扱い、店側の最終対応を追う。
Xでスロープ早期撤去を報告
秋葉原の中華料理店「雁川」をめぐる路上スロープ撤去騒動が、再びX上で広がっている。発端となったのは、同店公式アカウント「がんちゃん」による投稿である。
投稿は「公開処刑、ネットリンチにあった悪人から今回のスロープの件について」と切り出した上で、ランチビュッフェ中に区職員が来店し、道路にはみ出していたスロープと鉄板について撤去を指導されたと説明。鉄板については即時対応し、スロープについては大型連休明けに撤去する方向で了承していたが、その後、ネット上の批判や無言電話が相次いだため、オーナーに無断で早期撤去したという。
店側は投稿のなかで、これまで車椅子利用者に対応するため、ガードレール撤去に協力してきた経緯にも触れた。あわせて、一連の騒動についての言及は終了する考えを示した。
店側の説明は、単なる行政批判ではなく、店の利用者対応、公道利用、SNS上の批判被害が重なった内容となっている。
千代田区側は「水たまり」と「排水阻害」を説明
この問題は、4月下旬に大きな議論となっていた。
千代田区広報は、建物入口と道路をつなぐスロープと鉄板の設置が原因で、近隣から「雨水桝まで水が流れず、水たまりができて困る」と相談があったと説明。職員が現地確認したところ、スロープと鉄板の下にごみがたまっていることなどが原因と判明し、道路法第43条に基づき撤去を要請したという。
一方で、店側は「水たまりの件は言われなかった」と主張。ここに、行政側の説明と現場で店側が受け取った内容のずれがある。店側は、ベビーカー、車椅子、台車を使う人の利便性を訴えていた。区側は、道路上の安全と排水機能の維持を理由に対応した。双方の主張は、バリアフリーと道路管理という別々の論点を抱えたままSNS上に流れ、議論が拡大した。
万世橋警察署、東京都第一建設事務所、千代田区が合同で指導
雁川への指導は2026年4月17日、実施主体は万世橋警察署、東京都第一建設事務所、千代田区安全生活課の合同でおこなわれた。対象エリアは秋葉原中央通り沿いの都道で、指導対象は店舗入口段差に置かれた移動式黒いスロープと鉄板だった。
東京都建設局の公式情報によると、第一建設事務所は千代田区、中央区、港区の都心3区を所管し、道路、河川、橋りょうなどの整備と維持管理を担っている。千代田区内の都道を扱う千代田工区は、秋葉原駅や末広町駅から近い神田松永町に所在する。秋葉原中央通り沿いの道路管理をめぐる対応に、東京都側の建設事務所が関わる構図は、この所管関係と符合する。
道路法第43条と第24条、店が取れる手続き
道路法第43条は、道路に関する禁止行為を定めている。同条では、みだりに道路を損傷、汚損することや、道路に物件をたい積し、道路の構造または交通に支障を及ぼすおそれのある行為を禁じている。路上に鉄板やスロープを置く行為は、通行や排水に影響すれば、この規定との関係が生じる。
段差解消そのものに道がないわけではない。千代田区公式ホームページによると、道路管理者以外の者が道路管理者の承認を得ておこなう道路工事は「自費工事」とされる。車庫の出入りのための歩道切り下げ工事やガードパイプ撤去が必要な場合は、自費工事施工承認申請書を提出し、計画内容や施工方法の審査を経て、申請者負担で工事をおこなう仕組みである。これは道路法第24条に基づく手続きである。
今回の件では、店側が利便性を重視して置いていたスロープが、行政側からは道路上の物件として扱われた。恒久的に段差を解消するには、可動式の物を置き続けるのではなく、道路管理者の承認を得た工事に進む必要がある。費用負担や審査期間が生じるため、店舗側に負担が発生するが、道路管理上はこの手続きが正規の選択肢となる。
「善意のスロープ」が炎上した理由
今回の騒動が広がった背景には、店側の投稿が「車椅子やベビーカーのためのスロープを行政が撤去させた」という受け止められ方をしたことがある。バリアフリーへの配慮として見ると、店側に理解を示す声は出やすい。しかし、写真や区側の説明が出るにつれ、公道上の設置物、排水、通行の妨げという別の問題が浮上した。
当初の投稿には店舗入口付近の写真が添えられ、建物入口と公道をつなぐスロープのほか、道路上の鉄板や植木鉢も確認された。Xでは「公道に物を常設してはいけない」といった批判も相次いだ。店側の善意が出発点であっても、公道は不特定多数が使う場所であり、近隣住民の生活や雨水処理にも関わる。そこが議論を大きくした。
雁川は営業継続、投稿では「この件は終わり」と表明
店主は今回の投稿で、無言電話被害やネット批判を受けたことを明かしつつ、営業継続にも触れた。騒動の中心だった鉄板とスロープは撤去対応に進んだが、店舗入口の段差、地下店舗という構造、利用者の利便性をどう確保するかという課題は残る。
「このツイートでスロープの件は終わりにします。」と記した店側だが、今後、自費工事の申請に進むのか、別の形で利用者対応をおこなうのかは明らかになっていない。



