
被害の詳細 iPhone17eを5万円で購入も空箱のみ到着
事件は2026年3月29日頃に発生した。被害者(Xアカウント名)デヴィ布陣さんは、メルカリでiPhone17e(256GB)が出品されているのを発見し、定価の半額程度となる5万円という安さに魅力を感じ、怪しみながらも購入を決めた。2日後、商品はネコポスで届いた。しかし梱包はほとんどなく、箱を開封すると中身は空だった。本体はなく、代わりに手書きの手紙が2枚入っていた。
一枚目には「商品せつめいを全てよんでください」とあり、裏面には「なお今回はより全ての人にみていただけるようモールス信号も使っています」と記されていた。デヴィ布陣さんは開封の様子を動画で撮影しており、箱の軽さにすぐに違和感を抱いたという。被害額は5万円だったが、メルカリ運営に連絡した結果、取引の強制キャンセルと返金対応が行われた。
それでも事件の悪質性に納得できず、4月2日に最寄りの警察署へ被害届を提出。受理され、正式に捜査が開始された。出品者は当初、在日中国人を装うような対応を見せたが、後に自称15歳(2010年生まれ)と名乗り、親の同意を得て取引していると主張した。取引メッセージでは幼稚な表現や汚い字が目立ち、被害者は冷静にやり取りを記録していた。
モールス信号の謎 説明欄に隠された「ハコノミ」の意味
事件の核心となったのは、商品説明欄に記された点(・)と線(-)の組み合わせだった。これが国際モールス信号であることに気づいた被害者は、総務省の公式モールス信号体験サイトで解読を試みた。入力した信号を変換した結果、「ハコノミ」という文字が浮かび上がった。これは「箱のみ」を意味する隠語で出品者は多言語表記を併用しつつ、モールス信号で「箱のみ」と説明したと主張。
普通の日本語で明確に記載していなかった点が、詐欺の意図を感じさせる部分だ。モールス信号は本来、海上で遭難信号として使われた歴史的な通信手段で、1999年に国際的に廃止された。短い点と長い線の組み合わせでアルファベットを表し、被害者はコピー&ペーストで簡単に解読できた。総務省サイトは小中学生向けの体験コーナーとして公開されており、誰でも無料で試せる。
この手口は「読める人だけわかる」という意図的な隠ぺいと指摘され、悪質性が高いと評価されている。被害者は「むかつくではなく失笑した」と冷静に振り返り、抑止力になればとメディア取材に応じている。
メルカリの悪質取引 空箱詐欺の背景と運営対応
メルカリでは以前から「空箱のみ」や「付属品のみ」を本体のように装う詐欺が問題化している。人気のiPhoneやゲーム機を安価で出品し、タイトルや画像で本体を連想させる一方、説明文の目立たない部分に「箱のみ」と小さく書く手口が典型的だ。
今回のケースはさらに進化し、モールス信号という暗号を活用した点が新しく、従来の空箱詐欺を超える悪質さとされる。メルカリ運営は被害者からの連絡を受け、即座に取引をキャンセルし返金処理を行った。高額商品の取引では注意喚起を強化しており、利用者に対し「価格が相場より大幅に安い場合や説明が不明瞭な出品は避ける」よう呼びかけている。
しかし、被害者側からは「運営の対応は迅速だったが、根本的な防止策が不十分」との声も上がる。メルカリは個人情報開示請求に応じる可能性があり、警察の捜査で出品者の特定につながると期待されている。フリマアプリ全体の信頼を守るため、AIによる不審出品の監視強化が求められている。
出品者の主張と被害者の対応 自称15歳の開き直り
出品者は被害者からの問い合わせに対し、「商品説明欄にモールス信号で記載していたので問題ない」と開き直った。最初は在日中国人を装っていたが、後に自称15歳と明かし、親の同意を得ていると説明。LINEなどのやり取りでは責任を回避するような内容が続いた。
被害者はこれを冷静に記録し、弁護士に相談。知り合いの弁護士からは「被害届で十分対応可能」とアドバイスを受けた。4月2日のフジテレビ「ニュースイット」で顔出し取材を受け、事件を広く公表。4月22日時点で、被害届提出後初めて警察に電話確認を行ったところ、「捜査は進行中だが進捗状況は答えられない。犯人特定時などに連絡する」との回答だった。
デヴィ布陣さんは「犯人が特定されるまで報告は難しいが、逮捕の連絡を待つ」と述べ、責任を取らせる意向を強く示している。X(旧Twitter)ではアカウントを凍結されながらも新アカウントで続報を投稿し、支援の声が集まっている。
ネットとメディアの反響 詐欺抑止への期待高まる
この事件はX上で急速に拡散され、Togetterまとめやニュースサイトで大きく取り上げられた。フジテレビの報道以降、読売テレビ「ミヤネ屋」での取材も行われたと投稿。視聴者からは「手口が斜め上すぎる」「子どもだから許されない」との意見が多く、悪質性を指摘する声が相次いだ。ネット上の反響では、メルカリ利用者から「安さに釣られず説明をしっかり読もう」という注意喚起が広がった。
一方で、「自称15歳の責任能力はどうか」「メルカリの審査を厳しくすべき」との議論も活発だ。被害者の積極的な行動に対し、「応援する」「抑止力になる」とのエールが寄せられている。警察捜査の進展が注目されており、メルカリからのアカウント情報開示が鍵になるとの見方が強い。類似の空箱詐欺被害を防ぐため、利用者は価格の異常さや説明の不明瞭さに警戒する必要がある。この事件は、デジタル時代の取引リスクを改めて浮き彫りにしたと言える。



