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大阪・関西万博の工事現場で未払いトラブル発生 サブコンの資金繰り難が背景か

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資金ショート間近 大阪・関西万博

4月に開催が迫る大阪・関西万博で、工事現場の深刻な問題が浮上している。サブコン(下請けを管理する中間業者)が、施工業者に工事代金を支払わず、一部の下請け業者が撤退を余儀なくされる事態となっている。この問題を巡り、大阪府知事に対して助けを求める声が上がり、SNS上でも炎上する事態に発展している。

 

万博工事でサブコンが「トンズラ」か

建築エコノミストの森山高至氏は、自身のSNSで「大阪万博の工事でサブコンが下請けに金を払わずにトンズラしようとしている」と指摘。このままでは万博関連の工事を請け負った企業が倒産しかねないと警鐘を鳴らした。

実際、大阪府の公式ウェブサイトには3月28日付で、ある建設業者からの「サブコンから工事代金が未払いのまま放置され、倒産の危機に瀕している」との訴えが公開された。その業者によると、外国のパビリオン工事を請け負う○○という会社が工事代金を支払わず、未払い被害に遭っている業者は複数に及ぶという。

この事態を受け、大阪府は「博覧会協会の通報窓口を案内する」という対応にとどまり、具体的な救済策については明言を避けている。

 

SNS上で広がる怒りと困惑

今回の問題を受け、SNS上では多くの批判や懸念の声が上がっている。

「サブコン代金未払いは厳しい。どうせそのサブコンも資金繰りがうまくいっていないのだろう。そもそも発注者の外国が金払いをしているのかも怪しいし。万博協会や府は債務保証をしないから、こうやって苦情が出てくるのではないか。」

「後輩のやっている警備会社が『パビリオンから仕事もらえる!』と喜んでキャバクラに行く算段をしていたけど、代金未払で会社がお星様にならないように気をつけてよ……。」

「万博の工事に関わったばかりに倒産する会社が出るとか、これもう国際イベントとして終わってないか?」

「大阪府も政府も、問題の本質を理解していない。サブコンを叩くだけではなく、なぜサブコンが支払いできなくなっているのかも考えるべきだ。」

多くの投稿が、サブコンの責任を問う一方で、万博協会や大阪府の対応の不備も指摘している。特に、外国発注者の支払い遅延が影響している可能性や、万博の契約構造そのものに問題があるのではないかという意見が相次いでいる。

 

サブコンの未払い、資金繰りが要因か

建設業界関係者の間では「サブコン自身も資金繰りに苦しんでいるのではないか」との指摘がある。万博関連の建設工事では、資材高騰と人件費上昇が続いており、業界全体の財務状況が悪化している。

特に海外パビリオンの工事では、発注者である外国政府や組織の支払いスケジュールが不透明な場合も多く、資金が回らなくなるケースも少なくない。

ロンドンオリンピックの支払い保証制度との比較

国際イベントにおいて、未払いリスクへの対策がどのように取られているかは重要な視点である。2012年のロンドンオリンピックでは、建設プロジェクトのリスク管理と財務監視を強化するために「3層の防護壁」と呼ばれるフレームワークが導入された。

この仕組みでは、オリンピック開発公社(ODA)が中心となり、デリバリーパートナー(DP)や元請けサプライヤーとの間で厳密な財務監視を行うことで、資金の流れを可視化し、未払いリスクを最小限に抑えていた。また、サプライヤーの経営状況が悪化した場合に備え、迅速に対応できるコンティンジェンシープランが策定され、2700のクリティカルワークパッケージが抽出されるなど、倒産リスクへの備えも万全だった。

発注者の責任と構造的問題

大阪・関西万博では、こうしたリスク管理体制が導入されておらず、支払い遅延が発生する土壌がある。何より、日本の建設業界は多重下請け構造が常態化しており、資金の流れが不透明な部分が多い。今回のような問題が起きた場合、下請け企業が泣き寝入りせざるを得ない構造となっている。

今後の国際イベントや公共事業においても、発注者が直接支払い管理をするシステムの導入が求められる。

 

今後の展望

大阪・関西万博の海外パビリオンは、開催期間中の目玉の一つとなるはずだった。しかし、サブコンの資金繰り悪化による未払い問題、工期遅れ、労務費高騰といった課題が山積しており、開催直前になっても混乱が収束する気配はない。

万博協会は、サブコンの財務状況や支払いスケジュールを監視し、未払いリスクのある業者への対応を強化する必要がある。これ以上のトラブルが発生すれば、万博全体の信頼性に関わる問題となりかねない。

大阪府や万博協会が今後どのような対応を取るのか、引き続き注視していく必要がある。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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