読売新聞の報道によると、中国海軍と海警局が2024年12月、沖縄本島と宮古島間の宮古海峡などで海上封鎖を想定した活動を行った。さらに、重武装した海警船団を沖縄県・尖閣諸島周辺に派遣していたことが確認された。
いずれも初めての活動で、台湾有事への備えを強化していると見られる。
宮古海峡で初の封鎖演習
12月22日、中国海軍のフリゲート3隻と海警船3隻の計6隻が宮古海峡を太平洋側から東シナ海に向けて航行したことが伝えられた。海警船のうち2隻は軍艦並みの76ミリ砲を搭載していた。政府関係者は、この共同航行は海上封鎖を示唆する特異な動きだと分析している。
尖閣周辺に重武装海警船団
同時期、尖閣諸島周辺では76ミリ砲を搭載した海警船4隻が日本の接続水域を航行した。4隻全てが76ミリ砲で重武装化されたのは初めてのことだ。中国は台湾周辺にも多数の艦艇を派遣しており、尖閣周辺の海警船も連携して行動していた可能性がある。
海警船の重武装化が常態化
読売新聞の調査によると、尖閣諸島周辺の海警船は2024年6月以降、全4隻が機関砲や76ミリ砲で武装するようになった。これは、台湾の頼清徳氏が5月に総統に就任した時期と重なる。中国は頼氏を「独立工作者」と敵視しており、就任を機に尖閣を含む台湾周辺海域での圧力を高めたとみられる。
海警船の76ミリ砲は海上保安庁の巡視船の機関砲よりも射程が長く、中国は海保を上回る火力を備えた船を送り込み、威嚇を強めていると言える。
岩屋外相発言が波紋――「台湾有事は日本の有事」戦略断念に批判噴出
こうした日中関係が緊張するなか、岩屋毅外務大臣が、安倍晋三前首相が提唱した「台湾有事は日本の有事」という戦略を断念する考えを示したらしいことが、波紋を呼んでいる。岩屋氏は海外メディアとのインタビュー動画で、インタビュアーから「台湾有事は日本有事という考え方が日本でされるが、石破政権の基本的なスタンスは?」と問われた際に、「台湾有事という言葉は好きでない。台湾は無事でなければならないが、日本と台湾は非公式な関係にあり、『一つの中国』の原則を理解し尊重している」と述べ、日本が台湾問題への直接的な関与を回避する姿勢を示した。
SNS上の反応は?
この報道を受け、SNS上では様々な声が上がっている。
他にも、「中国に対する危機感が欠如している」「日本の安全保障政策が揺らいでいる」といった批判が相次いだ。特に、中国が沖縄県の宮古海峡で封鎖演習を行い、尖閣諸島周辺で重武装海警船を展開しているという報道がなされた直後だけに、岩屋氏の発言は多くの懸念を引き起こしている。
経済への影響は?
中国の軍事活動の活発化は、地政学リスクを高め、経済にも影響を与える可能性がある。サプライチェーンの混乱や投資意欲の減退、市場の不安定化など、様々なリスクが考えられる。今後の中国の動向を注視していく必要がある。
日本と中国の関係を考える視点
2025年は第二次世界大戦終結80周年を迎え、中国では抗日戦争勝利80周年として大規模な記念行事が計画されている。この節目を前に、中国国内で反日感情が高まる可能性があり、日中関係はより複雑化する見通しだ。さらに、中国が台湾有事を見据えた軍事的活動を強化していることは、日本の安全保障環境に深刻な影響を及ぼしている。
特に、2024年末に行われたこの宮古海峡での初の封鎖演習や、尖閣諸島周辺での重武装海警船の展開は、地域の緊張をさらに高めることにしかならない。これらの動きは、日本政府にとって歴史認識や経済交流といった課題に加え、安全保障政策の強化を迫るものである。
一方で、日中両国は経済的な相互依存が深い関係にあり、安易な対立は双方にとって多大な損失をもたらす。サプライチェーンの混乱や市場の不安定化といったリスクを踏まえると、経済交流のメリットを最大限活かしながら、歴史や安全保障における課題に冷静かつ着実に対処する必要がある。
日中関係は依然として不透明な状況が続いているが、対立と協調の両面で戦略的な舵取りが求められる年になるだろう。日本政府には、国際社会と連携しながら、中国の行動を抑制しつつ、建設的な対話を進める姿勢が求められている。