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ESGの温故知新 五代友厚編(企業価値とESG #18)

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ESG learning from the past Tomoatsu Godai

江戸から明治にかけて、日本の産業界に多大な影響を与えた五代友厚。

大阪株式取引所(現・大阪取引所)の設立や大阪商法会議所(現・大阪商工会議所)の初代会頭を務めるなど、実業家・大阪経済界の重鎮の一人として知られている人物です。

五代の経営理念や社会貢献の精神は、現代のESG(環境・社会・ガバナンス)の考え方に通じるものがあります。本稿では、五代の思想や事業を振り返りながら、現代のESGに活かせる知恵を探っていきます。

持続可能な発展を目指した五代友厚

五代友厚(1836年2月12日 – 1885年9月25日)は、日本の産業革命を推進した一人として知られています。五代の経営理念には、未来を見据えた持続可能な発展の視点がありました。

五代は「新しいことを行うには困難が伴うが、敢えてこれを行うことが成功への道である」と述べ、リスクを恐れずに新しい事業に挑戦する姿勢を貫きました。

この姿勢は、現在の企業がESGを導入し、持続可能な発展を目指す際の模範となるでしょう。
さらに、五代は大阪における港湾整備や鉄道建設など、インフラ整備にも注力しました。

これにより地域経済の活性化と物流の円滑化が図られ、地域社会全体の発展を促したのです。

五代のビジョンは単なる短期的な利益追求にとどまらず、長期的な社会の持続可能性を見据えていました。これらのプロジェクトは、現代の持続可能なインフラ投資の先駆けとも言えるでしょう。

五代友厚の社会貢献と現代ESGの共鳴点

五代は、事業活動を通じて社会に貢献することを重視しています。五代は「富を成すことは、社会のために用いるためである」という信念を持ち、公共事業や教育の分野に多大な貢献をしました。

例えば、五代が設立に関わった大阪商法会議所(現:大阪商工会議所)は、地域経済の発展に寄与し、社会全体の利益を追求する機関として機能しています。

五代はまた、教育の重要性を強く認識しており、教育機関の設立や奨学金の提供にも尽力しました。五代が設立した大阪英語学校(現:大阪大学)は、その象徴的な存在です。

教育を通じて次世代のリーダーを育成することは、社会全体の発展に繋がります。現代のESGにおいても、企業の社会貢献が重要視されており、五代の活動はその先駆けと言えるでしょう。

さらに五代は、災害時の支援活動にも積極的に関与しました。1871年の大阪大火災の際には、自らの資金を投じて復興支援を行い、多くの市民を救ったと言います。

このような行動は、現代における企業の社会的責任(CSR)活動の一環として評価されるべきものであり、地域社会への貢献の重要性を改めて認識させます。

五代友厚の事業戦略とESGの関係性

五代は、戦略的な事業展開によって多くの産業を発展させました。五代の事業戦略には、長期的な視点と持続可能性が含まれていたと言えるでしょう。

例えば彼は、日本の近代化を推進するために鉄道や鉱業などのインフラ整備に尽力しました。これらのプロジェクトは、短期的な利益を追求するのではなく、将来の成長と安定を見据えたものです。

五代は大阪鉄道会社を設立し、日本初の私鉄を建設しました。これは単なる交通手段の確立だけでなく、地域経済の発展を促進し、人々の生活を豊かにするものでした。

また、鉱業分野では、五代は北海道の開拓に貢献し、鉱山の開発とともに地域社会の基盤を築きました。

これらの取り組みは、持続可能な発展のためのインフラ整備と地域社会の活性化に寄与するものであり、現代のESG戦略にも通じるものがあります。

五代の事業戦略の中核には、人材育成の重要性も含まれていました。彼は優秀な人材を見出し、育成することに力を入れました。

これにより、事業の持続的な発展が可能となり、企業全体の競争力が向上しました。

現代のESGでも、人材育成と多様性の確保が重要視されており、五代の先見の明は現代企業にとっても学ぶべき点が多いです。

環境と社会の調和

五代は、環境と社会の調和を図ることの重要性を理解していました。五代は「自然を敬い、共生することが、人の生きる道である」と語り、環境保護の意識を持ちながら事業を展開していたそうです。

例えば五代の指導の下で進められた鉱山開発では、持続可能な資源利用が重視されました。

この考え方は、現代のESGの環境(E)の要素と一致しており、企業が環境保護と事業活動を両立させるための指針となります。

五代はまた、自然災害のリスクに対する備えも重要視しました。彼は、災害対策として河川の治水工事を推進し、洪水や土砂崩れから地域を守るためのインフラ整備を行っています。

これにより、地域住民の安全が確保され、持続可能な地域社会の構築が可能となりました。

現代のESGにおいても、環境リスクの管理と災害対策は重要なテーマであり、五代の取り組みはその先駆けと言えます。 また、五代は環境教育の重要性も認識していました。

地域社会や教育機関と連携し、環境保護の意識を高めるための活動を展開しています。

これにより、次世代のリーダーが環境問題に対する理解を深め、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されました。現代のESGにおいても、環境教育は重要な要素です。

五代友厚から学ぶ企業の社会的責任

五代は、企業が社会的責任を果たすことの重要性を強調しています。「企業は社会の一部であり、社会に対する責任を負うべきである」という信念を持ち、社会的課題の解決に積極的に取り組みました。

例えば、労働条件の改善や教育機会の拡充に尽力し、社員や地域社会の福祉向上にも努めました。現代のESGでも、企業の社会的責任(S)が重要なテーマとなっており、五代の取り組みはその先例です。

五代は特に労働環境の改善に注力し、労働者の権利を尊重する取り組みを行いました。労働時間の短縮や労働条件の改善を進め、社員の生活の質を向上させたと言います。

また、五代は社員の健康管理にも気を配り、労働者が安心して働ける環境を整備しました。現代のESGにおいても、労働環境の改善と社員の福祉は重要なテーマです。

当時から、現代でいう健康経営を意識していたと言えます。

江戸から明治への変革期における五代友厚のESG的実践

江戸から明治への変革期において、五代友厚は数々の挑戦を乗り越え、日本の近代化を支えました。五代のESG的実践は、現代の企業にも多くの教訓を与えてくれます。

「時代が変わっても、人の心は変わらない。だからこそ、人を思いやることが大切である」と述べ、変革期においても人間中心の経営を貫きました。

現代の企業も、激動の時代を乗り越えるためには、人間中心のアプローチが不可欠です。
五代はまた、国際的な視野を持ちながら事業を展開しました。

彼は海外との交流を重視し、外国の技術や知識を積極的に取り入れています。これにより、日本の産業の近代化を推進し、国際競争力を高めました。

現代のESGにおいても、グローバルな視点と多様性の受容は重要なテーマであり、五代の国際的なアプローチは現代企業にとっても貴重な教訓となります。

五代の経営理念には、常に倫理観と公正さが求められました。「公正な取引は、企業の信頼を築く礎である」と強調し、企業活動における透明性と誠実さを重視しました。

現代のESGにおいても、ガバナンス(G)の重要性が強調されており、五代の経営哲学は現代企業のガバナンスモデルにも多くの示唆を与えます。

このように、五代友厚の思想や事業は、現代のESGの基本理念と深く結びついています。

彼の先見の明と社会への貢献精神を学ぶことで、私たちは持続可能な未来への道筋を見出すことができるでしょう。五代の遺した知恵と実践は、これからの企業経営においても大いに参考となるものです。

出典・参考:五代友厚 – Wikipedia
五代友厚: 渋沢栄一と並び称される大阪の経済人(橘木俊詔 著、平凡社)
五代友厚(真木洋三 著、文藝春秋)

次回のコラムでは、「ESGの温故知新 高峰譲吉編」について解説します。

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ライター:

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。 プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。 2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。 現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員としてM&Aや企業価値向上、海外進出等に携わるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

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