
再生プラスチックを手がける株式会社esaの物流用パレット「Replaパレット」が、2026年度グッドデザイン賞を受賞した。原料は、これまで焼却されてきた複合プラスチックである。行き場を失ってきた素材を、流通を支える道具へと作り替える取り組みだ。
焼却されてきた複合プラを、100%原料に
Replaパレットの原料は、複合プラスチックを100%使った再生ペレット「Repla(レプラ)」である。異なる素材が混ざり合った複合プラスチックは再資源化が難しく、その多くが焼却されてきた。esaが持つのは、独自のesa methodと呼ぶ技術だ。混練の仕組みと温度・圧力の制御によって、複合プラスチックをそのまま再生ペレットにできるという。Replaは3キロから500キロまでの単位で提供され、2023年度にもグッドデザイン賞を受けている。
再資源化が難しい素材を焼却せずに戻せれば、埋もれていた資源が新たな製品の原料になる。esaはその出口の一つとして、流通の現場で大量に使われるパレットに目を付けた。身近で数の多い道具だからこそ、再生材の受け皿としての効果も大きい。用途が決まっていれば、再生材をどれだけ、どんな品質でつくればよいかも見通しやすくなる。
強度と環境負荷の低減を両立する
パレットとしての性能も確かめられている。静荷重は4トン、動荷重は2トン。ISO8611に準拠した荷重試験に加え、マイナス40度の環境下での耐久試験にも合格した。バージン材でつくるパレットと比べ、製造時のCO2排出量を約48%削減できるとしている。
国内では物流用のパレットが年間で数千万枚つくられている。原料価格の変動や環境負荷を抑える要請を背景に、持続可能な素材への転換が求められてきた。木製と樹脂製、それぞれのパレットが抱える課題を、複合プラスチックの再資源化と結びつけた点を審査委員は評価している。
プラスチックは種類ごとに性質が異なり、混ざると再生が難しくなる。単一の素材ならリサイクルの道筋も立てやすいが、複数の素材が一体になった複合プラスチックは分けることが難しく、結局は燃やすしかないと見なされがちだった。その常識に、素材を分けずにそのまま戻すという別の答えを示したのがesaの技術である。
使い終えた後まで、設計に含める
評価されたのは素材だけではない。フォークを差し込みやすい開口部、強度と重量を両立させるリブ、天面の滑り止めの模様、彩度を抑えた配色など、使う現場を見据えた細部の設計が認められた。再生材であることを引け目にせず、道具としての完成度で選ばれる品を目指した点に、設計の姿勢がにじむ。見た目の造形と荷役の実用性を、無理なく両立させている。
パレットは工場や倉庫で荷物を運ぶ土台として、流通の現場に欠かせない。表に出ることは少ないが、数多く使われ、傷めば捨てられる。そこに再生材を根付かせられれば、循環の効果は静かに大きく広がっていく。
さらにesaは、素材を選ぶ段階から使い終えた後の回収・再資源化までを一つの流れとして描く。代表の黒川周子氏は、行き場のないプラスチックを再び資源として社会に戻すことを目指すとし、焼却を前提としない資源循環の社会実装に挑み続けると表明している。
焼却を前提としない循環の社会実装へ
同社は今後、パレットを複数の企業で共有するレンタルモデルを進める。長く使い、回収して再び資源に戻す流れを促す狙いだ。IoTを使って位置や稼働の状況を可視化し、在庫の配置を最適にしたり紛失を防いだりすることも視野に入れる。モノを売り切って終わりにせず、使われ続ける間ずっと循環に関与し続ける発想である。
再資源化した量やCO2の削減効果を数値で示し、将来的にはプラスチッククレジットへの展開も見据える。同社はプラスチックの循環を、環境対策にとどまらず原料の安定調達を支える資源戦略と捉えている。Replaは2023年度にもグッドデザイン賞を受けており、素材の再生技術に続いて、それを使った製品の設計と運用の仕組みまでが評価を重ねた形だ。焼却されてきた素材が流通の土台を担う。その社会実装が、一枚のパレットから形になり始めている。



