
ファクタリングを入口に、資金繰り改善や事業再生など、中小企業の経営を幅広く支援するレガシア株式会社。代表を務める佐藤智信氏は、10代半ばから金融業界に身を置き、ノンバンクや大手ファクタリング会社で経験を積んできた。レガシア参画後は、事業に携わる傍ら、評価制度や行動指針、役員体制の整備など組織づくりにも尽力。現在は「日本の中小企業を救いたい」という想いのもと、ファクタリングにとどまらない新たな資金調達の選択肢を模索している。これまでの歩みや経営において大切にする「信義誠実」の考え、そしてレガシアが目指す未来について佐藤氏に話を伺った。
ファクタリングを最終手段で終わらせず、企業の存続を支援
東京都中央区を拠点とするレガシア株式会社は、資金調達の手段であるファクタリングを入口に、企業の資金繰り改善や事業再生を支援する会社だ。
主な顧客は建設業や製造業など、現場に根ざした業種の企業で、二代目・三代目の経営者も多いという。近年は人材業やビル管理・警備業からの相談も増えてきた。多くの経営者は、日々の売上や現場の対応に追われる中で、資金繰りにまで十分に手が回らないという事情を抱えている。
資金繰りが厳しくなる背景には、お客様のビジネスモデル上、入金と支払いのタイミングのずれが影響しているケースが少なくないそうだ。そのような構造的な課題を丁寧に紐解き、目先の資金調達だけでなく、経営全体を見据えた提案を行う姿勢が、同社の強みとなっている。
「ファクタリングを使い続けることで、かえって経営が厳しくなってしまうケースを数多く見てきました。だからこそ、お客様がファクタリングに依存しないよう、資金繰りの根本的な課題を解決するためのご提案を大切にしています」(佐藤氏)
その一環として、採算管理や資金繰り管理、事業計画書の作成支援など、経営そのものに踏み込んだサポートを行っている。加えて、グループ内には事業再生に特化したコンサルティング会社や、建設・運送業向けに車両やリースを提供する会社もあり、ファクタリングで得た知見や利益を、お客様への多様な提案につなげる体制を整えている。お客様からは「コンサルティングにとどまらず、旬のビジネスの紹介など、会社の存続のための新たなアイデアを提案してくれて助かる」との声も寄せられているという。

また、同社は現在、個人資本型の出資やM&A支援、将来の債権を早期に現金化するPOファイナンス、VCの創設など、事業の幅を広げようとしている。その背景にあるのが、「日本の中小企業を救いたい」という佐藤氏の本音からの想いだ。
その言葉の背景には、佐藤氏自身がファクタリング業界で重ねてきた経験がある。資金繰りが厳しくなったお客様との取引をどこまで続けるか、厳しい判断を迫られる場面が少なくないという。
「業績が悪化したお客様に対して、これ以上のお取り扱いは難しいとお断りせざるを得ない場面を、これまで数多く経験してきました。会社としての経営判断としては仕方のないことなのですが、その後、お客様が別のファクタリング会社を渡り歩いたり、経営が立ち行かなくなってしまったりする姿を見るたびに、『日本の中小企業を救いたい』という言葉を掲げるだけでは意味がないと感じるようになったんです」(佐藤氏)
この経験が、掲げる言葉を本音として形にしたいという、佐藤氏の強い想いにつながっている。そのような想いから、佐藤氏は現在、個人資本型の出資やM&A支援、将来の債権を早期に現金化するPOファイナンス、VCの設立など、ファクタリングにとどまらない資金調達の選択肢を整えようとしている。
「ファクタリングの手数料は、正直なところ決して安くはありません。それでも審査を通過できない企業の中には、条件の厳しい資金調達に頼らざるを得なかったり、資金繰りが行き詰まって事業を続けられなくなってしまったりするケースも多いです。ファクタリングは、経営難に陥った企業にとっての最終手段のような存在です。だからこそ、ファクタリングにとどまらない健全な資金調達の選択肢を増やし、より多くの企業を資金面から支えられる体制をつくりたいと考えています」(佐藤氏)
10代で飛び込んだ金融の世界。その経験を「働きやすい会社」づくりへ
佐藤氏が金融業界に足を踏み入れたのは、10代半ばの頃。当時は通信制高校に通いながらも、比較的自由に使える時間を生かして、さまざまな仕事に挑戦してきた。
「仕事を通して世の中に触れてきたなかで、社会の血液とも言えるお金に関わる仕事に挑戦してみたいと思ったんです」(佐藤氏)
最初に入社したノンバンクでは手形割引や融資業務に携わっていた。しかし、その後、新型コロナウイルスの影響で状況が大きく変化する。政府による実質無利子・無担保融資の拡充などを背景に、中小企業の資金調達環境が変わり、ノンバンクへの需要が縮小したことをきっかけに、佐藤氏はファクタリング業界へと軸足を移すことになった。
「ファクタリングは金融の最前線で生まれている新しい資金調達の手法だったので、そこで徹底的に勉強したいと思いました」(佐藤氏)
転じた先の大手ファクタリング会社では、営業の基礎や金融のプロとしての姿勢を徹底的に学んだという。同社にて数年にわたり経験を積んだのち、ノンバンク時代の先輩からの誘いを受け、発足して間もないレガシアにメンバーとして参画することになった。
入社当初は組織と呼べる体制もなかったそうだ。そこで、佐藤氏は評価制度や行動指針の整備、役員体制の構築など、少しずつ組織の土台をつくり上げていった。メンバーが増えるにつれて生じる価値観のずれにも向き合い、研修や対話を重ねながら、社内の共通言語づくりに取り組んできたという。
このような積み重ねが評価され、創業メンバーから代表を任されることになったのが、今から1年ほど前のことだ。資金繰りに悩む経営者と向き合う仕事では、ときに難しい判断を迫られたり、厳しい話を伝えなければならなかったりする場面も少なくない。精神的な負荷もかかりやすい仕事だからこそ、まずは社員自身が心身ともに健やかに安心して働けることが大切だという考えから、社内トレーニング施設の整備や定期的な健康診断の実施、環境の整備など、健康を支える取り組みを進めている。

また、経営の知見をさらに深めるため、今年から大学院でMBA取得にも挑戦しているという。「まだ道半ばですが、大学院では経営に関する知識をより深めて、お客様に還元していきたいです」と佐藤氏は語る。
そして、同社が経営の軸に掲げているのが「信義誠実」という言葉だ。約束やルールを守り、決めたことをやり抜くこと、そしてお客様に対して誠実であり続けることを意味するという。
「これまで、資金繰りに悩む経営者の方々と数多く向き合ってきました。だからこそ、私たち自身が誠実であることを一番大切にしたいんです」(佐藤氏)
徹底して「誠実さ」を貫くための強い組織をつくる
――大切にされているポリシーとして「信義誠実」を掲げていらっしゃいますね。
佐藤:金融の仕事は、メンバー同士はもちろん、お客様との関係も含めて、信用があってこそ成り立つものだと感じています。当社がお付き合いするお客様の中には、資金繰りに悩んでいらっしゃる方も少なくありません。長くお付き合いしてきたお客様であっても、時には厳しいお話をしなければならない場面があり、そうした経験を重ねる中で、「信義誠実」という言葉の重みを身をもって実感してきました。
この理念は、社員一人ひとりの働き方や、お客様との向き合い方の基盤にもなっています。そのためには、売上や歩合の数字だけでメンバーのモチベーションをコントロールするのではなく、一人ひとりが内面的にも人間的にも成長して、信義誠実を徹底することが大切だと考えています。
とはいえ、この考え方をメンバー全体に浸透させていくことは、容易なことではないと感じています。給与体系の見直しや、外部の専門家の力も借りながら、目先の数字だけでなく、その先にある価値をみんなで見つめられるような会社づくりを進めているところです。
――その姿勢を社内に根付かせていくのは、大変なことも多いのではないでしょうか。
佐藤:週に数回、朝の時間を使って、メンバーと一対一で食事をしながら話す時間もつくっています。忙しい業務の中ではなかなか言い出しにくい悩みを抱えていることもあるので、そのような声を一人ひとりから丁寧に拾い上げるようにしています。そこで出てきた大切な話は、自分の中だけに留めず、経営会議などの場でメンバー全体と共有し、みんなで話し合うようにしています。それでも、思うように伝わらないと感じることもあり、経営者としてまだまだ学ぶことが多いと痛感する日々です。

「何かあればレガシアへ」。ファクタリングを入口に中小企業のよろず屋へ
――今後、挑戦していきたいことを教えてください。
佐藤:私自身、東京都江東区で生まれ育ってきました。だからこそ、会社を成長させることだけではなく、これまで育ててもらった地域社会にしっかりと恩返しをしていきたいという思いがあります。 地域には、長年事業を続けている中小企業や、新しいことに挑戦している経営者の方々がたくさんいらっしゃいます。そうした方々が資金面で困ったとき、あるいは次の挑戦に踏み出したいときに、自然と頼っていただけるような存在になりたい。 単に資金を提供するだけではなく、地域の企業や人の挑戦を支えることで、地域経済そのものの発展にも貢献していきたいと考えています。将来的には、江東区をはじめとした地域社会に根差しながら、全国の中小企業から「資金調達といえばレガシア」と言っていただけるような会社を目指していきたいです。
――お仕事を通じて、どのような社会を実現したいとお考えですか。
佐藤:ファクタリングという仕組み自体、まだあまり詳しく知られていない部分も多いと感じています。今後は金融機関とも連携を深めながら、お客様によりご負担の少ない形でサービスをご提供できるよう、さらに、ゆくゆくは大企業にもご利用いただけるよう、体制づくりを進めていきたいと考えています。
そして、ファクタリングは、あくまで資金調達の手段の一つだと捉えています。そこから先にある経営戦略の立案や組織づくりまで、経営者の皆様の大きな課題から小さな課題まであらゆるニーズに寄り添いながら伴走できる会社でありたい。そんな存在になれたら、それはとても嬉しいことだと思っています。

◎企業情報
会社名:レガシア株式会社
所在地:東京都中央区新川1-22-11 茅場町イーストスクエア5階
設立:2024年
代表:佐藤 智信
URL:https://regaxia-factoring.jp/
◎インタビュイー
レガシア株式会社 代表取締役
佐藤 智信
17歳より金融業界に身を置き、ノンバンクおよび国内最大手ファクタリング会社での営業経験を通じて、資金調達支援の実務力を培う。2026年にレガシア代表取締役へ就任後、従業員40名、年間債権買取総額200億円超、営業利益15億円規模へ成長を牽引。現在は中小企業支援を軸に、経営コンサルティング、助成金・補助金支援、オンライン金融サービスを展開している。



