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中村敬斗のソックス問題に宮本恒靖会長が「不本意」 日本代表を揺らした“試合中の履き替え指示”

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中村敬斗
中村敬斗 公式インスタグラムより(対チュニジア戦)

日本代表がスウェーデンと1-1で引き分け、3大会連続の決勝トーナメント進出を決めた一戦で、勝ち上がりの喜びに引っかかる場面が残った。MF中村敬斗が試合中、ソックスをめぐって審判団から指摘を受け、一時的にピッチを離れたのである。試合前には問題視されなかった装備が、なぜ試合中に止められたのか。宮本恒靖会長の「不本意」という言葉は、ブラジル戦を前に日本代表が消しておくべき火種を示している。

 

 

中村敬斗を止めたのは、相手守備ではなく足元だった

ダラスのピッチで、日本がスウェーデンと向き合っていた前半早い時間帯、主審の視線が中村敬斗の足元へ向いた。下げて履いていたソックスを上げるように促され、中村が引き上げると、ふくらはぎ付近には穴が空いていた。近年のサッカーでは、ふくらはぎへの圧を逃がすためにソックスへ穴を開ける選手もいる。中村にとっても、それは見た目のこだわりではなく、足がつりやすい体質への対策だった。

ところが、この日の審判団はそのまま流さなかった。後半にはソックスを履き替えるため、中村が一時的にピッチの外へ出ることになった。日本がスウェーデンに押し込まれる時間帯、左サイドで前へ運べる選手が、プレーではなく用具の問題で試合から切り離される。わずかな時間でも、ピッチ上の人数と配置が変われば、守る側の負担は増える。グループ最終戦の緊張感の中で起きるには、あまりに嫌な中断だった。

 

宮本恒靖会長が引っかかったのは「試合中」だったこと

試合後、宮本恒靖会長は「試合前に指摘されなかったものが試合中に指摘され、また試合中に外れろというのは我々にとって不利」と語った。問題は、ソックスの穴そのものより、指摘の順番にある。試合前に認められないと伝えられていれば、日本側は別のソックスを用意できたし、中村もその状態で身体を慣らしてからピッチに立てた。だが実際には、試合が始まってから注意され、プレー中に履き替えを求められたのだ。

ルールがあるなら従うしかない。だが、試合前に確認できたはずのことを、試合中に選手を外してまで直させる運用には疑問が残る。選手はその瞬間から、相手DFだけでなく、自分の足元まで気にしなければならなくなる。次にまた注意されるのか、替えたソックスでふくらはぎに違和感は出ないのか、終盤まで足が持つのか。余計な不安がひとつ入るだけで、走り出しの一歩や仕掛けの判断は鈍る。

 

中村のソックスは「破れた靴下」ではない

中村のソックスは、以前から注目されてきた。足首近くまで下げたような履き方や、ふくらはぎに穴を空けた仕様は、遠目には独特のスタイルに見える。しかし本人は、足がつりやすい体質への対策として、ソックスの圧迫を避けていると説明している。つまり、あれは目立つための演出ではなく、試合の最後まで自分の足を動かすための工夫だった。

サッカー選手にとって、ソックスはただの布ではない。スパイクの中で足がどう収まるか、すね当てがどこに当たるか、ふくらはぎの締めつけがどれだけ残るか。その感覚は、加速の一歩や切り返しの鋭さにまでつながる。中村のように左サイドで前を向き、スピードに乗って相手を外す選手にとって、足の違和感は小さな問題ではない。

もちろん、ワールドカップでは用具規定が厳しく見られる。審判団が確認すること自体はおかしくない。ただ、中村にとっては身体管理であり、大会側にとっては用具規定だった。その線引きが試合前に済んでいなかったから、試合中の混乱になったといえる。中村本人が「困惑している」と語ったのも、注意されたことより、なぜ今なのかという戸惑いが大きかったはずだ。

 

ブラジル戦で同じことは許されない

日本はF組を2位で通過し、決勝トーナメント1回戦でブラジルと対戦する。相手は一瞬の隙を見逃さない。サイドの戻りが遅れ、中央の距離が少し開き、守備の形がわずかに崩れただけで、ゴール前まで運ばれる。中村が左サイドで前を向けるかどうかは、日本の攻撃にとって大きい。相手の守備を押し下げ、カウンターの出口になり、ゴール前へ迫る。その選手が、また足元の問題でピッチを離れるようなことがあれば、スウェーデン戦以上に危うい。

JFAが確認すべきことは多くない。中村のソックスのどこが問題とされたのか。次戦以降、同じ仕様は認められるのか。認められないなら、足への負担を抑えた代替策を用意できるのか。ここを大会側、審判団、日本代表スタッフの間でそろえないままブラジル戦に入れば、同じ混乱はまた起きる。

中村敬斗のソックス問題は、小さな装備トラブルに見える。だが、試合前に指摘されなかったものが試合中に止められ、選手がピッチを離れた事実は軽くない。宮本恒靖会長の「不本意」は、規定への反発ではなく、運用の曖昧さへの苛立ちだ。ブラジル戦で相手に集中すべき時間を、また足元の確認に奪われるようなら、それは不運ではない。試合前に潰せたはずの穴を、自分たちで残したことになる。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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