
ホリエモンこと堀江貴文氏が監修し、最先端のAI技術を学べると話題のオンラインスクール「ホリエモンAI学校」。飛ぶ鳥を落とす勢いで事業拡大しているかに見えた同校だが、SNS上での関係者の「強気な発言」をきっかけに、思わぬ形でその台所事情にツッコミが殺到する事態となっている。
発端は関係者の「めちゃくちゃ利益出てる」アピール
騒動のキッカケは、「令和の虎」などでも知られ、同校のFC展開に関わっているとみられる林尚弘氏(FCチャンネル主宰)が自身のXに投稿した、以下のポストだった。
《ホリエモンAI学校 めちゃくちゃ利益出てるから 安心してね\(^o^)/ 数字見せてもらったことあるから\(^o^)/》
新進気鋭のAIスクールが順調に利益を上げている——。誰もがそう信じかけたが、この能天気な発言直後、ネット上のウォッチャーたちから「流石に無理がある」「ダウト!」と容赦ないツッコミが入ることになる。
突きつけられた決算公告という「残酷な現実」
林氏の発言に待ったをかけたのは、6月12日付の官報などに掲載された「ホリエモンAI学校株式会社の第2期決算公告(2026年1月31日現在)」の数字だった。
資産合計約1.47億円に対し、負債合計は約2.77億円。そして「当期純損失 1億283万6218円」「利益剰余金 マイナス1億3218万3739円」と、堂々たる赤字が計上されており、完全に債務超過の状態に陥っていたのだ。
林氏のポストには、すかさず「コミュニティノート(背景情報)」によるファクトチェックのメスが入った。 《公開されている第2期決算公告(2025年度)によると、利益剰余金は▲1億3,218万円、当期純損失は▲1億281万円です。(中略)「めちゃくちゃ利益が出ている」との主張は、少なくとも公開決算資料からは確認できません》
非上場企業の場合、損益計算書(PL)を直接開示する義務はないが、決算公告として貸借対照表(BS)を開示する必要がある。金融事情に詳しいアカウントは、Xでこう皮肉交じりに語る。
「当期純利益や純損失の記載が万が一なかったとしても、BSの利益剰余金の推移を見れば赤字か黒字かは一目瞭然。第1期から第2期にかけて利益剰余金のマイナス額が拡大しているということは、紛れもなく赤字を垂れ流している証拠。というか今回の公告には、もろに『うち当期純損失』って書いてあるから言い逃れはできない」
「ホリエモンAI学校」の実態と競争優位性とは?
そもそも同校は、どのようなビジネスモデルで勝負しているのか。 公式サイトなどを紐解くと、堀江氏の圧倒的なブランド力を最大の武器とし、ChatGPTやClaude、Geminiといった最新生成AIの活用法から、画像生成、Pythonによる業務自動化まで、充実したカリキュラムを揃えている。
最大の競争優位性は単なるAIの知識習得ではなく、実務・業務改善への直結を掲げている点だ。未経験者でも最短1ヶ月でAIを業務に導入できるレベルまで引き上げる実践的な設計であり、法人向けのDX人材育成や、個人向けの副業・起業支援、さらには全国でのフランチャイズ(FC)展開にも力を入れている。
決してウソではない?「利益が出ている」発言のカラクリ
では、なぜ林氏は真っ赤な決算の裏で「利益が出ている」と豪語したのか。実は、これにはスタートアップ企業特有の成長ストーリーが隠されている可能性がある。
スタートアップ業界に精通した記者の籠原吉広氏が解説をする。「スクール事業やFCビジネスは、初期のカリキュラム開発費やシステム構築に加え、ローンチ時に認知度を一気に高めるための相当な広告宣伝費が先行します。そのため、立ち上げの第1期、第2期が特大の赤字になるのは、ある意味でセオリー通りとも言える」
つまり、公告に現れた巨額の赤字は、将来の成長を見越した「先行投資(広告費など)」の結果である可能性が高い。 「おそらく現在は、その初期の広告投資の効果がしっかりと出始めていて、期末にかけて売上が急伸し、CAGR(年平均成長率)などのKPIが劇的に改善しているというストーリーは十分に成り立つ。林社長が見せられたのは、そうした直近の単月黒字化や、急激な成長曲線を示す最新データだった可能性が高い」(籠原氏)
決算公告という「過去の切り取り」だけを見れば真っ赤な債務超過だが、実態としてはすでに広告投資の回収フェーズに入っており、林氏の言う通り「現在進行形ではめちゃくちゃ利益を生み出すフェーズに入っている」のかもしれない、という留意は必要だろう。
「めちゃくちゃ利益が出ている」という強気な発言と、その直後に突きつけられた「1億円超の赤字」という現実。表面的な赤字という痛みを乗り越え、AIの力で自社の財務状況も鮮やかに「最適化(黒字化)」できるのか。今後の成長動向から目が離せない。



