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【布袋寅泰とNAOKIが対立】高市首相×ディープ・パープルで炎上した理由と「ロックは反権力か」論争の本質

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布袋寅泰
布袋寅泰 公式インスタグラムより

世界的バンドと首相が向き合う。その光景は、どこか現実味を欠いた“異物”のようにも映る。
だが、その一瞬をめぐるひとつの言葉が、やがて大きな問いを呼び起こした。

ロックは権力と交わっていいのか。
それとも距離を保つべきなのか。

そしてもう一つ。
なぜ今、この問いがこれほどまでに激しく揺れ動くのか。

 

 

官邸で起きた“違和感のない違和感”

春の午後、官邸に訪れたのはディープ・パープルのメンバーだった。
長年のファンである高市首相は、言葉を失うほどの高揚を見せたという。

差し出されたドラムスティック。
交わされる笑顔。
そこにあったのは政治ではなく、ただの「好き」という感情だった。

だが同時に、その光景には説明しきれない違和感も漂っていた。

ロックという、本来は自由で粗削りな文化が、
国家権力の中心である官邸という“整いすぎた空間”に収まっている。

そのコントラストこそが、今回の議論の出発点だった。

 

布袋寅泰の言葉が“意味を持ってしまう瞬間”

翌日、布袋寅泰はSNSに投稿する。

「未だかつて日本の首相がロックンロールと交わったことがあったか?素晴らしいことなんだよ」

本来、それは純粋な驚きと祝福だったはずだ。
だが、SNSという場では、言葉は文脈から切り離される。

「素晴らしい」——その一語が、
いつの間にか「権力との接近を肯定した発言」として読み替えられていく。

ここに、現代特有の構造がある。
発言はもはや“意図”ではなく、“解釈”によって意味を持つ。

そして、その解釈は無数に分裂していく。

 

NAOKIの反発と「ロックの防衛線」

その分裂の中で、強く線を引いたのが音楽デュオ・LOVE PSYCHEDELICO(ラブサイケデリコ)のギター・ベース担当NAOKIだった。

「芸術に政府のお墨付きなんていらない」

この言葉は、単なる反論ではない。
ロックが守ってきた“境界線”を再確認する宣言でもあった。

ロックは体制への違和感から生まれた。
だからこそ、権力と近づきすぎることに本能的な警戒を抱く。

NAOKIの反応は、その歴史の延長線上にある。

一方で布袋の視点は違う。
ロックが社会と交わることで、新しい景色が生まれるという感覚だ。

ここでぶつかっているのは、正誤ではない。
ロックに何を求めるかという、価値観そのものだ。

 

SNSが加速させる「立場の強制」

この対立を拡大させた最大の要因は、SNSにある。

かつてなら、こうした議論は音楽誌や対談の中でゆっくり交わされていた。
だが今は違う。

一つの投稿が瞬時に拡散され、
「賛成か、反対か」という二択に押し込まれる。

グラデーションは消え、立場だけが残る。

本来、「面白いね」と「ちょっと違和感があるね」は同時に成立するはずだ。
だがSNSでは、その曖昧さが許されない。

この構造が、議論をより鋭く、より極端なものへと変えていく。

 

文化と政治が近づく時代のリアル

もう一つ見逃せないのは、文化と政治の距離が変わりつつあることだ。

かつては、音楽や芸術は政治とは別の領域にあると考えられていた。
しかし現代では、その境界は曖昧になっている。

政治家がカルチャーを発信し、
アーティストが社会問題に言及する。

その交差は、もはや珍しいものではない。

今回の官邸訪問も、その流れの中にある。
ただし、ロックというジャンルは、その歴史ゆえに、
この接近に対して特に強い反応を引き起こす。

つまり問題は「接近したこと」ではなく、
「ロックだったこと」にある。

 

「自由」という言葉のすれ違い

今回の論争の核心は、実は「自由」という言葉にある。

布袋の立場は、
「誰と交わるかも含めて表現は自由だ」という自由。

NAOKIの立場は、
「権力から独立してこそ守られる自由」。

どちらも“自由”を守ろうとしている。
しかし、その定義が違う。

このすれ違いが、議論を終わらせない。

自由は一つではない。
だからこそ、衝突は避けられない。

 

ロックに正解はない——だからこそ続く

結局、この問いに明確な答えは存在しない。

ロックは反権力であるべきか。
社会と交わるべきか。

どちらを選んでもいい。
あるいは、どちらも選ばなくてもいい。

ただ一つ確かなのは、
「こうあるべき」と定義された瞬間に、ロックはその自由を失うということだ。

今回の論争は、答えを出すためのものではない。
むしろ、ロックという言葉の中に残り続ける矛盾を、
改めて浮かび上がらせた出来事だった。

 

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ライター:

広告代理店在職中に、経営者や移住者など多様なバックグラウンドを持つ人々を取材。「人の魅力が地域の魅力につながる」ことを実感する。現在、人の“生き様“を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。

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