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破竹の勢い「鰻の成瀬」が実質身売りの理由 不可解な財務と悲鳴を上げる加盟店…

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鰻の成瀬

創業からわずか3年余りで全国380店舗規模へと急拡大し、外食業界に彗星のごとく現れたフランチャイズ(FC)チェーン「鰻の成瀬」。その急激な成長劇の裏で、極めて不可解な経営の実態が浮かび上がってきた。

 

同FCチェーンの運営本部であるフランチャイズビジネスインキュベーション株式会社(以下、FBI社)が、投資会社AI Fusion Capitalに買収されたことが判明。急成長チェーンのイグジット(出口戦略)といえば華々しく聞こえるが、実態を入念に紐解くと、そこに見えてくるのは多額の負債、不可解な膨張を遂げたバランスシートそして悲鳴を上げる加盟店という、生々しいバブル崩壊の図式だった。

わずか1億円の「タダ同然」の身売り劇

 

今回、AI Fusion CapitalはFBI社の株式の58%を5,800万円で取得し、子会社化する。つまり、企業全体の評価額(100%換算)はわずか約1億円という計算になる。約380店舗を抱える急成長飲食チェーンの評価額としては、あまりにも破格だ。

なぜこれほど安いのか。開示されたFBI社の直近の財務データ(2025年8月期)を見ると、その理由が一目瞭然となる。

  • 総資産: 15億3,330万円(前期4億3,647万円から約11億円もの異常な激増)
  • 純資産: 7,894万円
  • 当期純利益: △3,941万円(赤字転落)

総資産から純資産を差し引いた負債は、なんと約14.5億円にものぼる。鰻の成瀬のFC契約は固定10万円+売上4%というロイヤリティモデル。直営店を展開しているわけでも、原材料の卸売で莫大な在庫を抱えているわけでもない。本来であれば、現預金と売掛金程度の身軽なバランスシートになるはずが、なぜか1年で総資産と負債が11億円も膨れ上がっているのだ。

 

店舗確保のための差入保証金か、加盟店への貸付金か、詳細は不明だが、SNSでは「出店のたびに本部が資金を出す(あるいは立て替える)構造」がなければ、これほど異常な財務にはならないのでは」との指摘が広がっている。店舗が増えれば増えるほど本部の負債が雪だるま式に膨らみ、出店スピードが鈍化した途端に資金繰りがショートする、まさに自転車操業的な構造に陥っていた可能性が高い。

決定的なのは、買い手であるAI Fusion Capital自身が、すでにFBI社に対して2.6億円の貸付を行っている大口債権者であるという事実。1億円の破格のエクイティ評価は、実のところ14.5億円の負債を抱えた火の車状態の会社ごと引き受けるという条件付きの案件。見方によっては、焦げ付きかねない貸付金を保全するために、債権者が自ら経営権を「引き取らざるを得なかった」という構図すら透けて見える。

「斜陽にあらがう」熱弁から一転、4ヶ月での“逃亡”

 

この不可解な経営劇のもう一つのハイライトは、FBI社の創業者であり社長の山本昌弘氏の動きだ。

山本氏は2025年11月28日付の日本経済新聞のロングインタビューで、こう熱弁を振るっていた。

「『斜陽』とみる業界の立て直しに意欲を見せる。消滅可能性自治体とされる故郷、高島市の盛り上げも試みる。」

しかし、このメディア露出からわずか4ヶ月後。山本氏は保有していた全株式(52.5%)をあっさりと手放した。業界の立て直しを掲げた創業トップの、あまりにも早すぎる“イグジット”である。

 

現場からの悲鳴「本部は何もしてくれない」

トップが逃げるように去る一方で、割を食っているのは現場の加盟店オーナーたちだ。 出店コストが安く、飲食店未経験者でも始めやすいことをウリに急拡大した鰻の成瀬だが、これまで複数メディアによって、同チェーンには加盟店を指導・サポートする「スーパーバイジング(SV)」の制度が一切存在しないことが報じられていた。

本部のサポートがないまま二等立地に出店させられ、客足が伸びずに苦しむオーナーたちの不満は、昨年からすでに限界に達していた。そして今、実際に撤退を選ぶオーナーも出始めている。

今年3月7日、ある加盟会社の代表はXでこう吐露した。

 

「3月31日をもちまして、鰻の成瀬 藤沢店・大和店を閉店し、成瀬の事業から撤退いたします。(中略)自分ではコントロールできない事象の多さに『自分にはフランチャイズは向いていない』と痛感する日々でした」

「コントロールできない事象」——それは、急速に膨張し、そして破綻をきたした本部の杜撰な経営体制そのものを指しているのではないだろうか。

 

「うまい鰻を腹いっぱい」という耳当たりの良いコンセプトの裏で膨れ上がった14.5億円の負債と、放り出された加盟店。バブルのように膨らんだ「鰻の成瀬」の急成長劇は、債権者による事実上の“救済買収”という形で、あまりにも苦い結末を迎えようとしている。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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