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チョコレートが“高嶺の花”になる日…カカオ高騰がもたらす変化とは?

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カカオ チョコレート
DALL-Eで作成

「いつもの板チョコが、確実に値上がりしている」。

そう実感している人は少なくないはずだ。ここ最近、カカオの価格がかつてないほどに高騰している。国際的な先物市場では、2024年から2025年にかけて価格が2倍以上に跳ね上がり、メーカー各社は値上げを余儀なくされている。

 

 

原材料の危機と、その背景

カカオ豆は、主に西アフリカ(コートジボワール、ガーナ)で栽培されている。世界のカカオ供給の7割以上がこの地域に依存しており、気候変動の影響をまともに受けやすい。

特に2024年は、異常気象と病害虫の蔓延が重なり、収穫量が大幅に減少。この供給ショックにより、価格は歴史的な水準まで高騰した。さらに、長年の課題であった労働環境の改善やサステナビリティ推進による調達コストの上昇も、今回の値上げに拍車をかけている。

 

「値上げ」だけでは済まない、チョコレートのこれから

価格転嫁だけではすまないのが、チョコレート業界の現状だ。製菓大手の一部は、ラインナップの見直しやサイズダウンで対応しているが、それにも限界がある。チョコレートは単なる菓子以上に“日常のご褒美”や“贈答文化”として根付いているため、品質や満足感の低下は、ブランドの信頼に直結しかねない。

そうした中で、注目されているのが“代替素材”による新しい取り組みだ。広島の食品メーカー・株式会社あじかんは、地元産のゴボウを焙煎・発酵させたチョコレート風の菓子「GOVOCE(ゴボーチェ)」を開発。カカオを使わずにチョコレートのような風味やコクを再現しており、素材本来の香ばしさや滑らかな口溶けが評価されている。ごぼう茶で培った技術を応用し、まったく新しい“脱カカオスイーツ”として注目を集めている。

こうした商品はまだ少数だが、環境負荷の少ない地場素材を活かした開発事例として、今後の広がりが期待される。

 

チョコレートの二極化が進む

一方で、カカオ本来の風味にこだわった“高級チョコレート”の需要も着実に伸びている。シングルオリジン(単一農園)やビーントゥバーといった、ストーリー性と品質を追求した製品は、むしろ価格高騰を追い風にしているのだ。

結果として、チョコレート市場は「高付加価値型」と「代替・日常型」の二極化が進むことになる。これは、コーヒーやワイン、パンといった他の嗜好品でも見られる流れだ。

 

それでも、私たちはチョコを手に取る

値上げが続いても、スーパーのチョコ売り場には相変わらず新商品が並ぶ。それは、チョコレートが単なる嗜好品ではなく、“安心”や“癒やし”の象徴として根強い人気を集めているからだ。

今回のカカオ高騰は、私たちに「当たり前にあると思っていた味」が、実はとても繊細なバランスの上に成り立っていることを思い出させてくれる。
そして、気候や世界経済の影響が、日々の小さな楽しみにも影を落としうる時代に、私たちはすでに立っているのだ。

 

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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