ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

三井物産株式会社

https://www.mitsui.com/jp/ja/

〒100-8631東京都千代田区大手町一丁目2番1号

03-3285-1111

LCA Plusで実現するカーボンニュートラル:共同印刷の挑戦と成果

サステナブルな取り組み ESGの取り組み
ステークホルダーVOICE お客様
リンクをコピー
共同印刷 岩崎様
共同印刷株式会社 生活・産業資材事業本部 課長 岩崎創太氏

持続可能な社会への取り組みが求められる中、大手印刷メーカー、共同印刷株式会社は、温室効果ガス(GHG)排出量の可視化と削減を両立する先進的なツール「LCA Plus」を導入した。

従来の課題をどのように克服し、具体的な成果を上げてきたのか。同社生活・産業資材事業本部の岩崎創太氏へのインタビューを通じ、LCA Plusの導入経緯、現場での変化、そして未来への展望を探る。

LCA Plus導入の背景

LCA Plus導入を検討するに至った背景を教えてください。

岩崎

私の部署は、生活・産業資材事業を中心に、プラスチック包装材などの製造を主力としています。

こうした事業の性質上、プラスチック使用や環境負荷に対する社会的な声は年々高まっており、これに対応することは企業の責務だと考えていました。

そこから、5~6年前にLCA手法によるGHG排出量の算定を始めましたが、クライアントからの要望や社会全体の環境意識の高まりに応じて、より迅速かつ正確に排出量を把握する必要が出てきました。

そのため。従来の手動算定では対応が難しくなったため、LCA Plusの導入を検討するようになりました。

LCA Plus 導入前の課題

LCA Plus導入前に、抱えていた課題とは何ですか。

岩崎

一番の課題は、カーボンフットプリント(CFP)の算定にかかる時間と工数でした。

以前はエクセルを使って算定を行っていましたが、1つの品目についてGHG排出量を計算するのに、工場や資材担当とデータをやり取りしながら2~3週間を要する状況でした。

また、お客様からの質問や要望に対しても、回答までに1週間以上かかることが多かったです。

さらに、算定業務が属人的であり、担当者によってデータの収集や算出方法が異なることが大きな課題でした。そのため、社内でのデータの一貫性や透明性を確保することが困難でした。

クライアントからは、どのような要望が寄せられていたのでしょうか。

岩崎

ここ数年で、クライアントからの要望は急激に増加しました。特に、製品ごとのGHG排出量や半年間の納入製品全体における排出量についての具体的なデータ提供が求められるようになりました。

こうした要望に迅速に対応することで信頼を得ることが重要だったのですが、従来の算定方法では時間がかかりすぎ、レスポンスが遅くなることが問題でした。

また、我々としてもクライアントに対して「排出量を減らすためにどんな提案ができるか」といった具体的な提案も考えるようになり、単にデータを算定するだけでは不十分だと感じていました。

社内にはどのような課題がありましたか。

岩崎

社内での主な課題は、「環境問題への認識不足」でした。特に製造現場では、日々の生産業務が優先されるため、環境負荷の低減やGHG排出量の算定といった取り組みに取り組んでいただける余裕がない状況でした。

また、他部署の従業員からは、「それが本当に利益につながるのか」「なぜ環境負荷を計算する必要があるのか」といった疑問の声も上がっていました。

こうした認識のギャップを埋めることが、導入を進める上での課題になりました。

LCA Plus 導入の決め手

 LCA Plusを導入する決め手となったポイントは何ですか。

共同印刷 岩崎様
岩崎

当初はエクセルで算定を行っていたため、算定に時間がかかるうえ、データの透明性や一貫性に課題を抱えていました。

その点、LCA Plusは初心者でも操作しやすいインターフェースを備えており、ISOに基づいた信頼性の高い算定が可能でした。

さらに、国内最大級の原単位データベース「IDEA」を活用している点も、導入を決めた理由の一つです。

社内での課題はどのように解決しましたか?

岩崎

まず、CFPの必要性や算定の重要性について、社内向けの研修や説明会を開催し、各部署の理解を深めることに注力しました。

特に製造現場や他部門の担当者にもCFPの意義を丁寧に共有することで、スムーズな運用体制を整えることができました。

さらに、三井物産からの手厚いサポートも導入を後押しする大きな要因となりました。

LCA Plusの操作方法や算定プロセスについての丁寧な説明だけでなく、オプションサービスにより導入後も継続的に相談や具体的な運用アドバイスを受けることができたため、安心して運用を開始することができました。

これらの支援のおかげで、社内での迅速な導入とスムーズな運用が実現したと感じています。

LCA Plus導入後の成果

LCA Plusを導入したことで、業務にどのような変化がありましたか。

岩崎

一番大きな変化は、業務の効率化です。従来2~3週間を要していた算定作業が、LCA Plusを導入することで1~2営業日で完了するようになりました。

たとえば、あるお客様から朝にいただいたGHG排出量の算定依頼に対し、その日の夕方には回答をお渡しできたという実例もあります。

この迅速な対応は、クライアントとの信頼関係を強化する大きな要因となりました

加えて、これまでエクセルで行っていた手作業が減ったことで、算定担当者の工数が大幅に削減され、他の業務にもリソースを割けるようになりました。

データの透明性や信頼性についてはどのように変わりましたか。

岩崎

LCA Plusは、国内最大級の排出原単位データベースである「IDEA」を活用しています。このデータベースを基に算定を行うことで、これまで曖昧だったデータの信頼性が大幅に向上しました。

また、算定プロセスそのものもシステム化されており、社内での基準が統一されたことで、データの透明性も確保されています。

さらに、独自に登録したデータや過去の算定結果もLCA Plus内で一元管理できるため、これまでにない整合性を持ったデータ分析が可能になりました。

このような信頼性の高さが、社内外での評価を高めるきっかけとなっています。

製品開発にもLCA Plusを活用されていますか。

岩崎

製品開発でも大いに活用しています。たとえば、新たな製品を設計する際、環境負荷を考慮したモノマテリアル化や材料選択によるGHG削減効果を検討するためにLCA Plusを活用しています。

これにより、環境負荷を低減しながら製品を設計することが可能になりました。

また、既存製品の仕様変更を行う際にも、LCA Plusを使って排出量をシミュレーションし、改善策を提案しています。

このように、LCA Plusは単なるデータ算定のツールにとどまらず、製品戦略を支える重要な役割を果たしています。

社内の意識にはどのような変化がありましたか。

岩崎

導入当初は、社内でのCFPや環境負荷削減に対する認識が十分ではありませんでした。

しかし、LCA Plusを活用した研修プログラムやワークショップを実施したことで、徐々に環境問題への理解が浸透してきました。

特に、データが「見える化」されることで、現場の従業員も環境負荷低減の重要性を実感しやすくなりました。

さらに、LCA Plusをきっかけに、部門間での連携も強化されました。これまで独立して動いていた技術開発部門や製造部門が一体となり、環境負荷を減らすための取り組みを共同で進めるようになり、組織全体の一体感が高まったと感じています。

クライアントからの反応はいかがですか。

岩崎

非常に良好です。LCA Plusを導入したことで、クライアントへのレスポンスが格段に速くなり、信頼関係の構築がスムーズに進むようになりました。

また、「LCA Plusを使っている」と明示することで、クライアントからも「具体的なデータが見えるのはありがたい」といった評価をいただいています。

中には、「どのように削減できるのか」といった相談を受ける機会も増え、お客様と一緒に環境負荷を減らすプロジェクトを進めることができています。これもLCA Plusがもたらした大きな成果だと感じています。

今後の展望 サステナブルな未来へ

共同印刷がLCA Plusを活用して目指す未来とはどのようなものですか。

共同印刷 岩崎様
岩崎

弊社としては、2050年カーボンニュートラルの実現を重要な目標に掲げています。

この目標を達成するためには、自社内での取り組みだけでなく、サプライチェーン全体を巻き込んだ環境負荷削減が必要です。

LCA Plusは、製品ライフサイクル全体を可視化し、削減のポイントを明確にするツールとして、こうした取り組みを支える重要な役割を果たしています。

また、当社が掲げる「TOMOWEL 共にある、未来へ」という理念を実現するため、地球環境に優しい製品づくりや持続可能な社会を目指し、お客様や社会と共に歩むという姿勢を大切にしています。

LCA Plusを活用することで、環境負荷の少ない製品の提案力を高め、それを通じて社会的な信頼を得たいと考えています。

 LCA Plusを活用することで、どのような具体的な展望を描いていますか。

岩崎

まずは、サプライチェーン全体での透明性向上を目指しています。LCA Plusを導入することで、上流の原料調達から製造、配送、そして最終的な廃棄に至るまで、各段階でのGHG排出量を定量的に把握できます。

このデータを基に、協力会社やブランドオーナー様と連携しながら、具体的な削減施策を実行していきたいと考えています。

また、サーキュラーエコノミーの実現にも寄与できると考えています。製品の設計段階からリサイクルや再利用を見据えることで、廃棄物を減らし、資源を効率的に活用する仕組みを構築したいと考えています。

LCA Plusは、こうした循環型の取り組みをデータで支える強力なツールになると期待しています。

LCA Plus導入を検討している方へのメッセージ

貴社にとってLCA Plusはどのような特徴を持つツールですか。

岩崎

LCA Plusは、製品ライフサイクル全体のGHG排出量を効率的に算定・管理できるツールです。CFPの算定だけでなく、データの保存や分析、報告までワンストップで行えるのが特徴だと思っています。

また、IDEAデータベースを基にした高い信頼性と、誰でも直感的に操作できるユーザーインターフェースを持ち合わせています。

この特性が、CO2排出量の可視化や削減活動をスムーズに進める上で非常に有効だと感じています。

最後に、LCA Plus導入を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。

岩崎

LCA Plusは、自社の環境負荷を正確に把握し、未来に向けた戦略を築くための重要な一歩だと考えています。

環境負荷削減の取り組みは、社会的責任を果たすだけでなく、企業の信頼性や競争力を高めることにもつながります。

簡便性と高い信頼性を兼ね備えたツールですので、導入することで多くのメリットを得られるはずです。

ぜひ一緒に、持続可能な未来を創りましょう。

◎プロフィール
岩崎創太
生活・産業資材事業本部 事業企画部 課長
略歴
2011年4月 共同印刷株式会社入社 経理部に配属
2016年4月 同社 経営企画本部 経営企画部に配属
2022年4月 同社 生活・産業資材事業本部 事業企画部に配属、以後現職
入社後、経理部に配属。財務会計業務に従事した後、経営企画部に配属。本社再開発プロジェクト及び管理会計業務に従事。2022年現職に配属、以後事業戦略及び環境対応業務に従事。

◎企業概要
共同印刷株式会社(Kyodo Printing Co., Ltd.)
創業年月:1897(明治30)年6月
設立年月:1925(大正14)年12月
資本金:45億1,000万円
従業員数:1,872名(契約社員含まず。2024年3月31日)
URL:https://www.kyodoprinting.co.jp/ 

Tags

ライター:

広告代理店でディレクター・メディアマーケターとして活動後、フリーライターとして独立。広告業界時代には、多くの企業経営者やマーケティング担当者への取材を手がけ、戦略的コンテンツ企画に携わる。現在は、企業取材の執筆を中心に、ライター・編集者として活動中。

関連記事

タグ