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テスラ、ドイツで2月販売79%減 イーロン・マスクの政治発言で欧州販売不振が鮮明に?

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米電気自動車(EV)大手テスラのドイツ市場における苦境が鮮明になってきた。ドイツ連邦自動車庁(KBA)によると、2月の新規登録台数は前年同月比79%減の1,429台にとどまった。これは単なる一時的な落ち込みではなく、欧州市場全体に広がるテスラの販売不振の一環とみられる。特にイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の政治的発言が、消費者の購買意欲に影響を及ぼしている可能性が指摘されている。本記事では、ドイツ市場での販売急減の背景と欧州全体でのテスラの動向、今後の展望を詳しく分析する。

 

ドイツでテスラの販売台数が急減、EV市場全体とは対照的な動き

ドイツ連邦自動車庁(KBA)の発表によると、2024年2月のテスラの新車登録台数は1,429台となり、前年同月比79%減となった。一方で、ドイツ全体のEV新車登録台数は30.8%増加し、35,949台に達した。この対照的な動向が示すのは、EV市場全体の拡大の中で、テスラが競争力を失いつつある現実である。

同様の傾向はドイツだけでなく欧州全体にも見られる。フランスでは1~2月の販売が前年同期比で44%減少、スウェーデンでは1月の販売が40%以上減少するなど、各国でテスラの市場シェアが縮小している。

イーロン・マスクの政治発言が消費者に影響か

テスラの販売不振の要因として、イーロン・マスク氏の政治的発言が指摘されている。特にドイツでは、マスク氏が極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を支持したことで、多くの有権者の反発を招いた。

マスク氏は自身が所有するSNS「X(旧ツイッター)」上でAfDへの支持を表明。これにより、ドイツ国内の消費者や企業の間でテスラのブランドイメージが低下し、購買意欲に影響を与えたと考えられる。DPA通信によると、専門家は「マスク氏の発言がブランド価値を損ない、多くの消費者がテスラを敬遠する要因になった」と分析している。

さらに、英国やフランス、スウェーデンでも同様の傾向が見られる。EVのレビューサイト「Electrifying.com」が英国のEV所有者を対象に実施した調査では、回答者の59%が「マスク氏の影響力がテスラ車の購入を思いとどまらせる要因になった」と回答している。

競争激化、BYDや欧州メーカーが台頭

テスラの販売減少は、競争環境の変化とも密接に関係している。中国のEVメーカーBYDや、フォルクスワーゲン、BMW、メルセデス・ベンツといった欧州の自動車メーカーが、次々と新型EVを投入し、市場シェアを拡大している。

特にBYDは、価格競争力と最新のバッテリー技術を武器に欧州市場で急成長しており、ドイツ市場でも影響を与えている。KBAのデータによると、2月のBYDのドイツ販売台数は前年同期比で倍増しており、同国のEV市場でのプレゼンスを強めている。

また、ドイツ政府のEV補助金政策の変更も影響している。2023年末にEV購入補助金の削減が発表され、特に高価格帯のEVに影響が及んだ。テスラのモデルYやモデル3はこの影響を受け、消費者の購入意欲が減退した可能性が高い。

今後の展望:テスラは巻き返せるのか?

 

テスラがドイツや欧州で巻き返しを図るためには、いくつかの課題を克服する必要がある。

1. 価格戦略の見直し

現在、テスラは価格競争力を失いつつある。BYDなどの新興勢力と比べると、コストパフォーマンスで劣るため、価格の再調整が求められる。特に、欧州市場では価格の高騰が消費者に与える影響が大きく、補助金の削減も影響している。テスラは過去にも価格改定を行ってきたが、競争環境が厳しくなる中で、さらなる価格調整を迫られる可能性がある。加えて、テスラの販売戦略として、欧州市場向けにより手頃な価格のモデルを投入することも、今後の競争力回復のカギとなるだろう。

2. ブランドイメージの回復

マスク氏の発言が販売に悪影響を与えている以上、テスラは欧州市場でのブランド戦略を見直す必要がある。政治的発言による影響を最小限に抑える施策が求められる。特に、環境意識の高い欧州市場では、テスラが社会的責任を果たす姿勢を示すことが求められる。持続可能性や社会貢献を前面に押し出し、消費者の信頼を取り戻すための広報活動やマーケティング戦略の強化が不可欠だ。また、競合メーカーが環境問題への取り組みを積極的にアピールしていることを考えると、テスラもそれに対抗する施策を講じる必要がある。

3. ギガ・ベルリンの生産強化

ドイツにはテスラの主要工場「ギガ・ベルリン」がある。この工場の生産能力を活かし、欧州向けの新型モデルの投入や、コスト削減による価格調整ができるかが今後の鍵となる。ギガ・ベルリンは、欧州市場向けのテスラ車を生産する拠点として重要な役割を果たしているが、ここでの生産コストを下げ、現地調達を強化することで、競争力を高めることができる。さらに、新たなモデルの投入や、バッテリー技術の革新を進めることで、他の欧州メーカーに対抗し、巻き返しを図ることが期待される。

まとめ

テスラのドイツ市場における販売急減は、EV市場の成長トレンドとは対照的な現象だ。イーロン・マスク氏の政治的発言が消費者に影響を与えていること、競争の激化、政府の補助金政策の変更などが重なり、テスラは厳しい状況に直面している。

今後、テスラが欧州市場での立ち位置を回復できるかは、価格戦略の見直し、ブランドイメージの再構築、ギガ・ベルリンの活用などにかかっている。投資家にとっても、テスラの欧州戦略の行方は大きな関心事であり、今後の動向を注視する必要がある。

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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