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新宿のランドマークの一つとして知られる商業施設「新宿アルタ」が、本日2月28日をもって閉館する。1980年の開業以来、ファッションや雑貨、エンターテインメントを提供する場として、多くの人々に親しまれてきた。特に、フジテレビの長寿番組『笑っていいとも!』の公開生放送が行われていたことでも有名であり、日本全国にその名を知られる施設となった。
長年親しまれた「アルタ」の歴史
新宿アルタは、1980年4月にJR新宿駅東口前にオープン。若者向けのファッションビルとして開業し、当初から多くのテナントが入居した。建物の正面には大型ビジョン「アルタビジョン」が設置され、新宿の象徴的な風景の一つとなった。
1982年には、フジテレビのバラエティ番組『笑っていいとも!』がスタジオアルタから公開生放送を開始。タモリ氏が司会を務める同番組は、32年間にわたり放送され、番組終了後も「バラエティの聖地」としてのイメージが根付いた。
また、アルタ前の広場は待ち合わせ場所の定番であり、さまざまなイベントやキャンペーンが行われた。大声コンテストやエイズ予防キャンペーンなど、社会的なメッセージを発信する場としても活用され、多くの人々が訪れるスポットとなった。
一方、原宿アルタは2015年3月に開業。若者文化の中心地である原宿・竹下通りに位置し、ファッションや雑貨を扱うテナントが多数入居していた。開業当初は、トレンドに敏感な若者層をターゲットにした商業施設として注目を集めた。運営は新宿アルタと同じく三越伊勢丹プロパティ・デザインが担い、「新宿アルタのスピンオフ」ともいえる形で展開された。
店内には、アパレルブランドや雑貨店のほか、キャラクターグッズを扱うショップが並び、竹下通りの賑わいと親和性の高い施設として機能していた。また、イベントスペースを設け、若手クリエイターやアイドルのポップアップイベントなども頻繁に開催されていた。
閉館の背景と影響
新宿アルタ閉館の背景には、商業環境の変化がある。インターネット通販の普及により、実店舗の売上が低迷。また、大型商業施設同士の競争が激化するなか、アルタの収益性が低下し、運営の継続が難しくなったとされる。
さらに、新宿駅周辺では再開発が進んでおり、ビルの老朽化や土地の有効活用の観点から、閉館の決定が下された。跡地の利用については現時点で正式な発表はないが、今後の再開発計画に組み込まれる可能性が高い。
また、新宿アルタと同時に、原宿アルタも本日2月28日をもって閉館する。原宿アルタは、若者向けのファッションやカルチャーの発信地として親しまれてきたが、新宿アルタと同様に商業環境の変化や収益性の問題から閉館を決定したとされる。原宿の街並みにおいても、大きな変化をもたらすことになりそうだ。
感謝の声で溢れかえるSNS
新宿アルタの閉館に際し、多くの著名人や一般ユーザーがSNSで思い出を語っている。
初代「いいとも青年隊」として活動したタレントの野々村真氏は、自身のSNSで「アルタ、ここは僕の原点!アルタありがとう!アルタお疲れ様でした!」と感謝の気持ちを綴った。
また、お笑いコンビ千原兄弟の千原ジュニア氏は、「『笑っていいとも!』に出演していた当時、1日60本吸うヘビースモーカーだったが、生放送で声が出なくなり、『いいとも!』の掛け声を言うためにタバコを止められた」と振り返り、アルタが自身の生活にも影響を与えたことを明かしている。
一般の利用者からも「待ち合わせ場所の定番だった」「新宿の風景が変わってしまうのは寂しい」といった声が多数寄せられており、多くの人々にとって思い出深い場所であったことがうかがえる。
今後の展望
新宿アルタと原宿アルタの閉館は、それぞれの街並みに大きな変化をもたらすことになる。今後の跡地利用や新たなランドマークの誕生に注目が集まる。
ビジネスパーソンにとっても、新宿・原宿エリアの再開発動向は無視できない。商業施設の再編が進むなかで、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性がある。今後の動向を注視しつつ、自身のビジネスにどのような影響があるかを見極める必要があるだろう。