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日本人が人身売買ターゲットに、タイ国境で16歳の日本人少年を保護 男なら詐欺、女なら風俗の実態

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日本人は人身売買のターゲットに

タイ当局が北西部メソトのミャンマー国境付近で16歳の日本人少年を保護したことが2月14日、複数の地元当局者への取材で明らかになった。当局は少年がミャンマーに連れ去られ、犯罪組織の拠点で特殊詐欺に従事させられていたとみて調べを進めている。

タイ国軍と警察は、少年を日本人として初めて「人身売買被害者」と認定。内戦状態が続くミャンマーでは、国境地域に中国の犯罪組織が拠点を築き、偽の求人でタイに呼び寄せた外国人を拉致して特殊詐欺に従事させる事例が頻発している。

今回の事例により、日本人もターゲットになっている実態が浮き彫りになった。

 

海外出稼ぎのハズが人身売買被害に「死ねているならまだマシ」

夏の夜、東京・歌舞伎町のネオンがまばゆいホストクラブの一角で、彼女はホストのエースを支えるため、懸命に働いていた。彼の笑顔を見たい、そのためならどんなにお金を使ってもいい。そんな思いで夜の世界に身を投じた彼女は、気づけば借金を重ねていた。

「もっと稼がないとエースを支えられない」。そんな焦りを抱えていた彼女に、ホストからある提案があった。「海外で短期間働けば、すぐに返せる。安心できる仕事だし、オレも知り合いがいるから大丈夫」。

彼女はホストから紹介された人物に誘われ、ミャンマー行きのビザを手配してもらった。タイ経由で向かったその先には、まるで映画のような世界が広がっていると思っていた。しかし、空港に降り立った瞬間、彼女は現実に引き戻される。迎えに来たはずの担当者はおらず、待っていたのは見知らぬ男たち。気づけば彼女は監禁され、パスポートを奪われていた。

強制的にオンライン詐欺に加担させられ、逃げることも許されない日々。暴力を振るわれる仲間もいた。食事は最低限しか与えられず、睡眠時間もろくにない。ビザが切れた後も帰国の手段を失い、ただ働かされ続けた。

現在も行方不明となっている彼女のような被害者が最低でも数十人はいるという噂が歌舞伎町では聞こえる。「死ねているならまだマシ」という言葉が交わされるほど、風俗の海外出稼ぎには恐ろしいリスクが伴う。ホストに大金を貢ぐために海外へ渡った女性たちは、そのまま拉致され、消息を絶つケースが後を絶たない。

まさに、ホストに捧げるは「命のタワー」。日本国内ではほとんど報じられることがなく、行方不明者リストにすら載らない現実がある。

 

簡単に稼げるはずだった―男性の人身売買被害の実態

「簡単に稼げる仕事がある。パスポートさえ持っていれば、すぐに海外に行ける」。そんな甘い言葉に誘われ、彼は気軽に飛行機に乗った。SNSで見つけた求人は「短期の海外バイト」。現金輸送の仕事やちょっとした配送作業との説明を受けていた。

到着すると、中国系の犯罪グループが支配する地域へ連れて行かれた。つくやいなや携帯電話を没収され、強制的に労働を強いられるように。仕事は、オンライン詐欺の架け子だった。詐欺に応じない相手には脅しをかけるよう指示され、従わなかったり、成績が悪ければ電気ショックや暴力を受ける。逃げようとした仲間は、消息を絶った。

FNNプライムオンラインの2月8日の報道によると、ミャンマーでは中国系犯罪組織が外国人数千人を監禁し、特殊詐欺実行役を強要しているという。アメリカの調査機関によると、中国系犯罪組織による特殊詐欺の被害は年間10兆円近くに上り、その拠点は東南アジアで急拡大している。日本人も拉致の対象になっているという。

軍によるクーデターから4年を迎えたミャンマーでは、混乱に乗じて中国系犯罪組織が勢力を拡大。タイの市民団体によると、日本人26人を含む23カ国の約6500人が「掛け子」などの詐欺の実行役をさせられている可能性がある。

中国人反社グループ曰く、日本人は危機意識が他国に比べて薄いから、人身売買のターゲットとしては最適な的ともまことしやかに言われているそうな。

 

日本の人身売買の実態と放置される問題

このように、日本国内では、人身売買の問題が形を変えながら深刻化している。悪質ホストによる色恋営業が取り締まりの対象になることはほとんどなく、風俗スカウト業者も現行法で十分に取り締まれるはずだが、実際にはほぼ野放しの状態だ。

さらに、日本のインバウンド観光客を狙った免税品転売ビジネスと絡めた「無料の買春ツアー」が流行しており、梅毒の蔓延が深刻化しているにもかかわらず、社会はほとんど問題視していない。

このような状況の中、日本人が海外へ出稼ぎに行くという形で犯罪組織に絡め取られるケースが増えている。高収入を謳う詐欺的な求人に引っかかり、一度渡航すると帰国できないという事例は後を絶たない。

 

人身売買の現状と対策|日本と世界の取り組み

各国では人身売買への対策を強化しているが、その手口は巧妙化している。日本政府は2023年、人身取引議定書に基づき取り締まりを強化する方針を発表。また、タイ政府はミャンマーの武装組織と連携し、8000人に及ぶ人身売買被害者の送還を準備している。

しかし、犯罪組織が根付いた地域では対策が追いつかず、未だに多くの被害者が解放されていない。SNSを通じた誘拐・詐欺のリスクが高まる中、特に若年層の啓発が急務となっている。

人身売買は決して他人事ではない。日本国内でも、犯罪組織の手口が変化し、巧妙な勧誘が増えている。

被害を防ぐには、SNSでの甘い話に乗らないこと、そして信頼できる情報源を確認することが重要だ。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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