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立憲民主党の“紙の保険証復活法案”提出 社会のデジタル化に逆行する愚策

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紙のマイナンバーを復活しろと怒る老人たち

立憲民主党は1月28日、昨年12月に新規発行が停止された健康保険証の復活を目指す法案を提出した。同党の中島克仁衆議院議員は「マイナ保険証への信頼が不十分であり、不安を払拭するまでは紙の保険証を併用すべきだ」と主張している。しかし、この提案には多くの疑問が残る。

政府が進めるマイナ保険証は、保険証としての機能をマイナンバーカードに一本化することで、医療現場の効率化や不正受給の防止を目指している。デジタル庁の平大臣も「比較的順調に進んでいる」との認識を示し、「大きな方針の転換は必要ない」と断言している。利用率が25%にとどまる現状を問題視する声はあるが、これは普及に向けた努力が必要なだけで、紙の保険証を復活させる理由にはならない。

時代錯誤の“併存”が生むコストと負担

立憲民主党が提案する紙の保険証とマイナ保険証の併存は、行政や医療機関に二重のシステムを維持させるもので、結果的に大きなコスト増を招く。例えば、紙の情報をデジタルに入力する中間工数が増え、業務効率を低下させることが指摘されている。さらに、現行システムと新システムの両立には、管理コストや運用上の混乱が避けられない。これらの負担を支えるのは、最終的に国民の税金だ。

不正受給や無駄な医療費の温床

報道を見ていると、医療現場からは紙の保険証が無くなったことの不平ばかりでているように錯覚するが、多くの医療現場からは、マイナ保険証によるデータ管理がもたらす恩恵の声も多く寄せられている。

ある調剤薬局の職員は、「マイナンバーを通じて複数の病院から同じ睡眠薬を処方されている患者を発見した」と述べ、不正利用の抑止につながることを強調した。また、医療従事者からも「湿布を月に数百枚もらう高齢者や、複数の病院で薬を転売目的で入手しているケースがある」といった具体例が挙げられている。こうした無駄遣いは、膨れ上がる医療費の一因であり、デジタル管理による抑制が必要不可欠だ。

高齢者の“わがまま”が未来世代への負債を拡大

紙の保険証を求める理由の一つに、ITリテラシーの低い高齢者への配慮が挙げられる。しかし、この配慮が社会全体の効率を著しく低下させているのが現実だ。高齢者がデジタル化に対応できるよう支援することは必要だが、彼らの不便を理由に時代に逆行する選択をすべきではない。社会保障費の急膨張が進む中、現世代の負担を増やし続ける政策は、未来世代への借金を増やすに等しい。

デジタル化の遅れが招く国際的な遅滞

世界では、マイナンバーのようなデジタルIDの統合が進みつつある。欧米諸国では、紙の証明書類はすでに過去の遺物となりつつあり、デジタル化が公共サービスの透明性と効率を向上させている。日本がこの流れに乗り遅れれば、国際競争力の低下は避けられない。

立憲民主党の提案は、一見すると国民への配慮を装っているように見えるが、その実、社会全体の効率化や将来世代への負担軽減を後回しにするものである。デジタル化の波に乗らなければ、日本は国内外で取り残されるだけでなく、医療や福祉における深刻な課題も解決できない。政府には、デジタル化を着実に進め、未来に責任を持つ政策を推進してもらいたい。

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ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。社会的養護の自立を応援するヒーロー『くつべらマン』の2代目。 連載: 日経MJ『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

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