
騒動の全容 SNSで拡散され明るみに出た1年超の無断掲載
2026年4月29日、群馬県の土田酒造が公式Xで詳細な声明を発表したのを契機に火がついた。「酒蔵投資について当蔵は一切関知していない。お客様からの連絡で初めて存在を知った」と明言し、NFT販売の合意はあったものの投資内容は契約に含まれず、協力酒蔵一覧からの除名を求めたという。
これを受け、天鷹酒造、ハクレイ酒造など複数酒蔵が相次いで同様の否定声明を出した。サービス開始から1年以上にわたり、投資公式サイトに著名酒蔵名が並んでいたにもかかわらず、運営側からの事前説明や個別連絡はなかった。SNSで話題になるまで放置されていた実態が明らかになり、「指摘されなければそのままだったのか」と強い批判が集まっている。
Sake World酒蔵投資のスキーム 1口5500円で商標権小口化 高利回り35%超を強調
運営会社は京都の株式会社リーフ・パブリケーションズ。投資対象は自社商標「Sake World」の共有持分を小口化したもので、1口5500円(税込)から購入可能。総発行口数1000万口、販売目標総額22億円規模となっている。購入者はNFT形式の商標トークンを取得し、グループ会社のSake World牧野蔵(岡山県)が出荷する日本酒のロイヤリティを受け取る権利を得る。
1mlあたり0.3円(一升瓶1本あたり約540円相当)のロイヤリティを、持分割合に応じて分配。初回配当は2027年1月を予定し、暗号資産(POL予定)で支払われる。50年以上にわたる長期配当を前面に打ち出し、5年目7%超、10年目35%超という目標を公式資料でアピールしていた。
配当仕組みの詳細 出荷量次第で低迷リスク 暗号資産の変動も伴う
配当は牧野蔵の課税移出量(ml)×0.3円で総ロイヤリティを算出し、各投資家の持分割合で按分される。算定期間は毎年10月1日から翌9月30日、支払いは算定終了後4ヶ月以内。源泉徴収があり、商品割引を選択するユーティリティ請求権者は配当対象から除外される。
公式シミュレーションでは出荷増加による高リターンを想定するが、「出荷量に不確実性があり、保証するものではない」と明記されている。初期は設備投資期で低配当が見込まれ、暗号資産価格変動や売却制限(全保有者同意必要)などのリスクも大きい。出荷が想定を下回れば配当が大幅に減少する可能性がある高リスク商品だ。
酒蔵側の公式声明 土田酒造・天鷹酒造・ハクレイ酒造が相次ぎ「投資は関知なし」
土田酒造は「NFT合意と投資スキームは別。お客様連絡で初めて知り、除名を依頼した」と明確に距離を置いた。天鷹酒造も「NFT販売には参加したが投資については全く関知していなかった。先方から誤解を招く表現について謝罪と削除の連絡があった」と報告。
ハクレイ酒造はホームページで「投資事業への一切の関与はなく、事前説明も受けていない。通常取引の実績を背景に掲載されたと推察されるが、投資勧誘は一切行わない」と注意喚起を掲載した。これらの声明から、ブレンド取引などの実績を投資スキームの信頼性演出に利用していた疑念が強まっている。
発覚しなければ問題ないかのような対応 SNS炎上で急謝罪も不信感拡大
運営会社は炎上直後にXで「表現が不十分だった」と謝罪し、協力酒蔵一覧を即時削除。現在は「55蔵がブレンドを承諾」と抽象的な記載のみとなっている。1年以上にわたって掲載を続けていた事実が、SNSで大きく取り沙汰されてから火消し対応に転じた点が、消費者から「後手で不誠実」と厳しい目で見られている。
公式投資サイトには目立つ謝罪文はなく、購入者への返金対応も個別対応にとどまっている模様だ。高利回りを強調し、酒蔵の信用を間接的に借りていた販売手法は、消費者保護の観点から問題視されており、消費者庁や金融庁への相談も増えている。
この一件は、日本酒業界における新しい投資スキームが抱える透明性と説明責任の重要性を改めて浮き彫りにした。投資を検討する方は公式資料を十分に確認し、専門家への相談を推奨する。酒蔵名を活用した魅力的な提案には、慎重な判断が求められる。



