東南アジア市場への注力を強化、柔軟な経営体制を維持
三菱自動車は、ホンダと日産自動車が設立を目指す共同持ち株会社への合流を見送る方向で最終調整に入った。読売新聞によると、両社との協業は継続しつつも、同社の上場を維持し、強みとする東南アジア市場でのシェア拡大を重視した経営戦略を当面続けるという。
統合参加に慎重な判断
三菱自は昨年12月、ホンダと日産が経営統合に向けた協議を進めていることを受け、1月末までに合流するかどうかを判断する方針を示していた。加藤隆雄社長は「必ずしも統合が最良の選択肢ではない」と述べ、統合協議の動向を慎重に見極めていた。
三菱自は2016年の燃費不正問題で経営危機に陥った際、日産から34%の出資を受け、同社の支援を受けて再建を図ってきた。現在、日産は三菱自の株式を約27%保有している。
しかし、三菱自は東南アジア市場での一定のブランド力を背景に独自の事業を展開しており、経営統合に伴う意思決定の制約を懸念。特に、新たな共同持ち株会社内で自社の影響力が限定的になる可能性を避けたい意向が背景にあるとされる。
SNSの反応:「妥当な判断」「課題は依然残る」
三菱自の統合見送りの決定について、SNS上では「合流しないのは妥当な判断だ」という意見が多く見られた。特に、三菱自が東南アジア市場で一定の成功を収めている点を評価する声があり、「トライトンやエクスフォースなど、現地向けの車両が好調なことを考えると、現状維持が最善」という肯定的な見方が目立つ。
一方で、「ホンダや日産との統合による技術開発の効率化や費用分担を逃したのでは」という懸念も上がっており、特に自動運転技術や電気自動車分野での遅れを指摘する声が散見された。
また、自動車業界全体に目を向ける声も多く、「日産とルノーの過去の統合例を踏まえると、統合によるシナジー効果を得るためには部品の共用化などで個性を犠牲にするリスクがある」との分析が見られるほか、「ホンダと日産の設計思想の違いが、統合をスムーズに進める妨げになるのでは」という意見も挙がっている。
一部の投稿では、「加藤社長の下で三菱自は魅力的な車を増やしており、この流れをさらに推し進めるべきだ」という肯定的な声もあり、国内外での新たな車両開発への期待が示されていた。
株価への影響と今後の展望
報道を受け、24日の三菱自の株価は大幅に下落し、一時8.7%安の439円を記録した。日産株も2.5%安となる一方、ホンダ株は一時的に下落した後、上昇に転じる場面も見られた。
専門家からは、三菱自の独自路線について「妥当な判断」と評価する声が多い。ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリストは、統合によりホンダが他2社に強い影響力を行使する構図が懸念材料だったと指摘し、緩やかな協力関係でも十分な相乗効果を得られる可能性を示唆した。
今後、三菱自は東南アジア市場でのさらなる成長を目指し、軽自動車やハイブリッド車の新製品展開に注力する見通しだ。国内市場では、軽自動車「デリカミニ」やハイブリッドSUV「アウトランダー」などが堅調な売れ行きを示しており、この勢いを活かして事業拡大を図る考えだ。