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BYD、日本市場にPHVで本格進出 国内メーカーに迫る試練

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BYD SEALION7
提供:ビーワイディージャパン

中国の大手電気自動車(EV)メーカー、BYDが2026年にも日本市場にプラグインハイブリッド車(PHV)を投入する計画を明らかにした。BYD日本法人の東福寺厚樹社長は、テレビ東京の取材に対し、早ければ来年にもPHVを導入する意向を示し、「日本でもPHVが必要な時代に入っている」と語った。

この動きは国内自動車メーカーにとって、競争環境の大きな変化をもたらす可能性がある。

日本市場に変革をもたらすBYDの戦略

BYDは現在、日本市場でEVのみを販売しているが、PHVが加わることで、消費者の選択肢が広がると同時に、国内メーカーは対応を迫られるだろう。同社のPHVは、独自のハイブリッド技術「DM-i」を搭載し、エンジンの熱効率46.06%、100kmあたりの燃料消費量2.9リットル、航続距離2100kmを実現している。この技術が、日本市場においても競争力を発揮するかが注目される。

BYDの2024年の世界販売台数は427万台を超え、前年比41%増と驚異的な成長を遂げた。このうちPHVは248万台で、前年比72%増となり、EVを上回る販売を記録した。PHV市場が再評価される中、BYDはこの分野に注力しており、日本市場でも同様の戦略が展開されると見られる。

1月に千葉市幕張で開催された「東京オートサロン」では、BYDが新型EV「シーライオン7」を初公開。これに続く形で、PHVの日本市場投入が期待されている。SNS上でも「BYDのPHVは熱効率が高く航続距離も長い」と期待する声がある一方、「中国製車両の無関税輸入に疑問を抱く」という懸念も見られる。

消費者の選択がカギ――PHV市場の行方は?

近年、自動車業界ではEVシフトが主流だったが、充電インフラ整備の遅れや寒冷地でのバッテリー性能低下など、課題が顕在化している。このため、内燃機関と電動モーターを併用するPHVが見直されつつある。PHVは、航続距離の長さと充電の手間が少ない点で消費者にとって魅力的だ。

BYDの急成長は日本メーカーにとって脅威となっている。特にホンダや日産は、中国市場での販売減少に直面しており、BYDの台頭が両社に大きな影響を与えている。両社は、中国市場での販売台数が5年前と比べ約半減し、厳しい競争にさらされている。

今後、日本の消費者意識がどう変化するかも注目されるポイントだ。現在、中国製EVの購入を検討する日本人は約1割にとどまるが、中国では9割の消費者が日本製EVを検討しているという調査結果がある。この消費者意識のギャップが、BYDの日本市場戦略にどのように影響するのかが鍵となる。

BYDの日本市場進出は成功するのか?

BYDの日本市場進出は、国内メーカーにとって試金石だ。PHV市場が拡大すれば、ホンダや日産をはじめとする既存プレイヤーは、従来の戦略を見直す必要に迫られるだろう。消費者が求めるのは「安定した品質」と「手頃な価格」であり、このニーズにいかに応えるかが、今後の市場競争を左右する。

BYDは、低価格かつ高性能の車両を提供することで、EV市場だけでなくPHV市場でも存在感を強めている。この戦略が日本市場でも通用するかは不明だが、同社の挑戦は日本の自動車業界に大きな変革をもたらす可能性がある。

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ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。社会的養護の自立を応援するヒーロー『くつべらマン』の2代目。 連載: 日経MJ『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

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