コーヒー豆の価格が史上最高水準に達し、大手企業が相次いで商品価格を引き上げている。
背景には気候不良や円安、物流費増など複数の要因がある。私たちの身近な「一杯」に広がる影響とは?
コーヒー豆価格が史上最高水準に
コーヒー豆の価格が過去最高水準に達している。
ニューヨークの商品先物市場では、主に高品質なアラビカ種の価格が1977年以来の最高値を記録した。背景には、ブラジルやベトナムなど主要生産国での異常気象がある。ブラジルでは深刻な干ばつが続き、ベトナムでは異常な豪雨が品質に影響を及ぼすなど、コーヒー生産地が気候変動の直撃を受けている状況だ。
また、中国市場の急拡大も大きな要因である。中国では、生活水準の向上や欧米化するライフスタイルの影響で、コーヒー消費量が急増している。中国国内には現在、コーヒーショップが約5万店あり、アメリカを抜いて世界最多とも言われる。
中国での需要増が国際市場に影響を及ぼし、価格を押し上げているのだ。
円安や物流費の増加も値上げを後押し
コーヒー豆価格高騰の国内への影響をさらに深刻化させているのが円安だ。
コーヒー豆は輸入に依存しているため、円安によって調達コストが増大している。
これに加え、物流費の増加もコスト上昇を後押ししており、企業は価格転嫁を余儀なくされている。
味の素AGFやドトールが値上げを発表
こうした状況を受け、国内の多くの企業が価格改定に踏み切っている。
味の素AGFは2025年3月から「ブレンディ」シリーズやスティックタイプのコーヒーを値上げすると発表した。店頭価格は約15~30%上昇し、一部製品では内容量を10~12%削減する「実質値上げ」も行われる。
また、ドトールコーヒーも2024年12月12日から、主力商品の「ブレンドコーヒー」など約50商品を値上げする。ブレンドコーヒーSサイズは30円値上げし、250円から280円になるという。
これらの値上げは、消費者の負担を増すとともに、日常的な「一杯」が贅沢品になりつつあることを示している。
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