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金沢QOL支援センター株式会社

https://k-qol.com

〒920-0031石川県金沢市広岡3丁目3-77 JR金沢駅西第一NKビル 6F

076-220-7257

金沢QOL支援センターは社会課題の解決を目指す兄弟のような会社|ポタジェ澤邉友彦代表が語る

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ポタジェ澤邉友彦代表が語る金沢QOL支援センター~社会課題の解決を目指す兄弟のような会社
「障がいを持った方が経済的な自立ができていない社会を変革したい」という想いで障がい者等の自立支援を行う金沢QOL支援センター。その活動の一環として、農業と福祉の連携「農福連携(のうふくれんけい)」による就農支援があります。年々高齢化する農業の現場における働き手の確保と障がい者の自立支援を両立させ、さらなる高みを目指す株式会社ポタジェ代表取締役・澤邉友彦さんに、農福連携のパートナーである金沢QOL支援センター株式会社との関係についてお話を伺いました。

金沢QOL支援センター、岩下琢也代表との出会い

─金沢QOL支援センターさんとは、どういった経緯でお仕事をされるようになったのですか?

 

農福連携の仕組みの図解

農業の担い手の不足と障がい者の働く場を繋ぐ農福連携

私どもの「ハーブ農園ペザン -PAYSAN-」を前オーナーが運営していた頃から、金沢QOL支援センターさんがペザンと農福連携の取り組みを進めたい、という想いをお持ちいただいておりました。ペザンとしても、前オーナーが園芸療法に取り組んでおり、福祉に対するハードルが低かったという土台がありました。

それ以外にも、私たちがハーブを栽培する上で、ただモノを作るだけでなく、作ったモノに付加価値を付けていくという観光農園のような農業スタイルであったこと、ハーブ栽培には機械を使うことができないためマンパワーを必要としていた点など、さまざまなニーズが噛み合っていました。

また、私個人としてもかつて海外でバックパッカーとして活動をしていた経験からも、世界の社会課題を解決したいという想いが強くあり、国や地域に関わらずどこでもできる農業だからこそ社会課題の解決に力を発揮できると考えていました。そうしたことから、2016年4月当時、ペザンの従業員だった私が中心になって取り組みを進めていくことになり、今年で5年目になりました。

─最初はどういった取り組みから始められたのでしょうか?

農福連携に関しての事例が少なかったことや、私たちはハーブ農園ですので、野菜の農家さんとは必要な作業が異なりますので、試行錯誤の連続でした。一連の作業を障がいのある「利用者さん」とコミュニケーションを取りながら、どの作業をお任せするのがいいのだろう? というところからスタートしました。

また、私たちは障がいについての知識がありませんでしたから、障がい福祉について講義をしていただくなど、勉強するところからスタートしました。最初のうちはハーブ農園と加工場、それぞれ5名ずつほど利用者さんとして受け入れていましたね。

農福連携を進めていくなかでの苦労

─利用者さんと実際に作業を行うにあたって、苦労されたことはありますか?

「人に何かを依頼するときの伝え方」という点で苦労しましたね。

たとえば、利用者さんに「今日は草取りをしてください」と伝えても、最初は自分が好きな草しか取らないということがありました。また、「あそこに物を持って行ってください」と指さしで指示をしても、指した場所の真下に物を置いてしまうことがあります。自分たちの感覚では当たり前のことだからきっと伝わるだろう、と思い込んでしまっていたことが多くあるのだと気づきました。

「コミュニケーションエラー」という言葉がありますが、その原因は、人に指示を伝える際の言葉の選び方が雑であることも一因なのだということに気づかされました。そうした経験があったからこそ、今では1日20人ほどの利用者さんを受け入れることができています。

ペザン農園の広大な農地を一望する風景

ペザン農園には自然栽培のための広大な農地が広がっています

─利用者さんの障がいの種類はさまざまなのでしょうか?

そうですね。利用者さんが持たれている障がいに関しては、先天的なものであったり、後天的なものであったりとさまざまです。それぞれの利用者さんに適した作業を行っていただけるように気を配っています。

また、利用者さん同士の人間関係にも配慮しています。というのも、人間関係に関してすごく敏感な方がいらっしゃる一方で、誰とでも分け隔てなく接することができる人もいらっしゃいます。このため、敏感な方にとっては自分のなかに土足で踏み込まれるような感覚を抱いてしまうことに繋がるんですよね。

このため、利用者さん同士の相性という点に関しては気を付けるようにしています。取り組みも5年目となり、累計100人を超える利用者さんを受け入れて、ようやくペザンとしてのノウハウが確立されてきたように思います。

利用者さんに助けられている

─金沢QOL支援センター・岩下さんからのご質問なのですが、ペザンを運営していくなかで「利用者さんに助けられたこと」や「利用者さんのおかげで」というエピソードがあれば教えてください。

私たちは「共に生きる」というところからスタートしているので、利用者さんを特別視はしていないのですが、利用者さんにしかできない作業をしていただいているので、本当に助かっています。

基本的に利用者さん5人ほどと1人のスタッフでチームを組んで業務に当たってもらいます。ある程度自立できるチームにはスタッフ抜きで、当日の収穫量などの目標を自分たちで設定してもらった上で業務に当たっていただいています。

たとえば、カモミールという種類のハーブは1日に10~20キロほど収穫するのですが、機械で収穫できず、手摘みしなければいけないんです。これは利用者さんにしかできない作業です。共同で仕事を始めたときから、カモミールの収穫は利用者さんに行っていただくことが前提でした。

また、現在ペザンでは25種類~30種類のハーブを栽培していますが、それらほぼすべての栽培に利用者さんが携わる仕組みになっています。ですから、感謝ですとか、助けていただいている以上に、私のなかでは利用者さんがいないことはもう考えられないのですね。

カモミールの花で収穫時に一面の花畑に

カモミールの花を一つひとつ摘む手作業は繊細な作業。

─お互いにメリットになる関係性を築いているんですね。

そうですね。私自身がこれまで農業に携わってくるなかで、実は農家のほうが成長しなければいけないのではないかという問題意識を持つようになりました

農業とは農業機械を運転して効率的に作業をして栽培するのが仕事ではなく、栽培した農作物を販売するところまで行うのが本当の農家がすべきことだと思うのです。そこに利用者さんと仕事をする、という課題を組み合わせました。

一般的な野菜農家であれば自分たちで行う作業を利用者さんにお任せして、私たちは指示を出していくというスタイルを考えたでしょう。しかし、私たちは作業の指示を出すのではなく、その生産性を確認することに注力するようにしました。すると段々と利用者さん自らが工夫したり、私たちも新しい発想で生産性を改善していくことができるとわかってきたのです。

結果として我々の農業のスタイルを1段階上に引き上げることができます。利用者さんの就労支援だけでなく、我々農家にとってもさらに上を目指せる、そういったお互いに助け合える関係性を築くことを強く意識しています。

─具体的に、どのような点で利用者さんに助けられているのでしょうか?

たとえば、農業という業務体系上どうしても、今日のうちにこれだけの収穫を済まさなければならないという場面があり、そういったときには特に助かっています。もちろん、マンパワーとして助かっているという部分はありますが、それ以上に、彼らがいると場の雰囲気がパーっと明るくなることがあるんですよね。

仕事が張り詰めてくると、どうしてもムードがピリピリとしてしまいがちですが、利用者さんのなかには、そういった雰囲気を汲み取りにくい方もいます。私たちは場が張り詰めてくると感情的になってしまう場面もあるなかで、そういった方は、私たちのその感情を気にされないんですよね。

明るくマイペースに、いつも通りに動いてくれるんです。それによって、こちらの雰囲気もほぐれ、彼らにつられて笑顔が取り戻せるんですよね。張り詰めた空気が和んで、穏やかに仕事ができるようになる。

私たちが利用者さんをケアしているつもりが、利用者さんに逆にケアされていたり。そういった精神的な部分で救いになっているな、と感じることが本当に多くあるのです。

金沢QOL支援センターへの想い

─ズバリ、株式会社ポタジェにとって金沢QOL支援センターとはどういった企業でしょうか?

農福連携を進めていくなかで、会社の名前は違えど、金沢QOL支援センターのスタッフさんとは同じ会社の社員であるかのように協力し合いながら仕事を進めてきました。それこそ、パートナーを超えた兄弟のような関係だと私は思っています。

─そんな金沢QOL支援センターへの感謝の言葉をお願いします。

今の私たちがあるのは、金沢QOL支援センターさんのおかげです。大きな大きな感謝です。もちろん利用者さんのおかげでもありますが、そもそも金沢QOL支援センターさんがそういった農福連携のサービスに取り組まず、そして私たちに手を差し伸べていただかなければ、利用者さんたちとも出会っていません。

岩下さんも、私にとっては人生の先輩に当たる方なのですが、距離がすごく近かったんです。

「この仕事はどうすればいいんですか?」といった相談や質問をしやすいということもありますし、またそれ以上に、何でもない世間話をできますので、近い距離で接していただいています。

株式会社ポタジェを立ち上げる際にもすごくお世話になりました。そういった点で、本当に感謝してもしきれないですね。

カモミールハーブティーのパッケージ画像

利用者さんが丁寧に摘んでくれたカモミールが香り高いハーブティーに


─岩下さんにお話を伺った際、「澤邉さんとは非常に仲が良いんだ」とおっしゃっていました。

そうですね。今私が33歳で、岩下さんが3~4歳上ですので、年齢も近いということもあって、飲みにご一緒させていただくこともあるなど、懇意にしていただいています。

─それでは、金沢QOL支援センターさんにより良くなってほしいという点はありますか?

質問の答えになっているかどうかわかりませんが、行けるところまで行ってほしい、という気持ちがあります。

共同で仕事をしていくなかで、スタッフの方と現場単位で何らかの問題が生じることがあります。でも、それは彼らが農業に携わってこなかったために知識がないという、仕方がない理由で発生することが多いですし、実際に農業を行っている私たちとの温度感の差であったりもします。

むしろ、私たち自身が「福祉の課題だから福祉側で解決してほしい」という考え方を変えていかなければいけない場面もありました。パートナーとして共同で仕事をさせてもらってはいますが、私たち自身がしっかりと知識を身に付け、利用者さん同士の連携を取っていくことで解決できた問題も多々ありました。

岩下さんの仕事は人に夢をみせられる仕事だと私は思っていますし、実際に私たちが岩下さんを通じて夢をみることができました。だからこそ、より大きな夢をみせてほしい! 行けるところまで行ってほしい! と思っています。

─御社と金沢QOL支援センターさんが取り組む、農福連携が見せる新しい社会を楽しみにしております。本日はありがとうございました。

株式会社ポタジェの社屋の外観(画像提供:株式会社ポタジェ)

(画像提供:株式会社ポタジェ)

【企業概要】
社名株式会社ポタジェ
https://paysan.co.jp/
代表取締役社長 澤邉 友彦

〒929-0328 石川県河北郡津幡町字湖東197
TEL:076-289-6287
info@paysan.co.jp
2001年設立 ※法人化は2017年5月2日
事業概要
・ハーブの生産
・ハーブの販売 (ハーブティー各種、お風呂ハーブ、ハーブ苗)
・ガーデニング事業

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ライター:

東京都出身の音楽家。こちらはライターとしての世を忍ぶ仮のペンネーム。平易な言葉で情緒的な文章を書く。対象の思いを汲み取り、寄り添うことを重視。少年期より難病を持ち、弱者への眼差しが裏テーマ。自分の頭や心を使って、形のない美しさや優しさを世の中にひとつずつ増やしたい。書きもののほか、BGM、テーマソング、賑やかし、癒やしなど、音楽全般も承り〼。

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