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特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン

https://www.fairtrade-jp.org/

東京都中央区日本橋富沢町11-6 英守東京ビル3階

フェアトレード認証でビジネスとサステナブルな世界を繋ぐ

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン

日本での「フェアトレード」の知名度は、10代では実に約8割に上ります(一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム(FTFJ)調べ)。SDGsの世界的な追い風もあり、全世界で6,500以上の企業がフェアトレード認証を受けるなど盛り上がりを見せています。

本記事では、国際フェアトレード認証ラベルや、SDGsの文脈で語るフェアトレードの意義を認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局の潮崎真惟子さん、中島佳織さんに伺いました。

「公平・公正な貿易」を保証する国際フェアトレード認証ラベル

認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン

―フェアトレード ジャパンの事業内容を教えてください。

潮崎

私たちは、日本国内において国際フェアトレード認証ラベルのライセンス事業、製品認証事業と、普及推進活動・教育啓発活動を主に行なっています。

フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易の仕組み」のことです。

国際フェアトレード認証ラベルを商品に表示することで、人権や環境に配慮したフェアトレード製品であることを消費者に一目で伝えることができます。

この認証ラベルが生まれる以前からフェアトレードの概念は存在していましたが、一般企業が取り組めるような明確な共通基準は存在せず、第三者が認証する仕組みもなかったため、フェアトレードの理念で活動するNGOなどの市民団体を中心とした活動となっていました。

フェアトレード・ラベル・ジャパン
Photo:Anand Parmar

―日本国内ではどれくらいの企業が認証を取得しているのでしょうか?

中島

日本国内では200を超える企業や団体がフェアトレード ジャパンの理念に賛同し、フェアトレード認証に参加してくださっています。

推定市場規模も131億円にまで拡大するなど、1993年の団体発足当初から比較するとかなり増加傾向にあります。時代が変わってきたことを実感しますね。

大手企業のフェアトレード認証取得の取り組み、国内での認知の高まりへ

認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン

―「時代が変わって来た」とのことですが、フェアトレード ジャパンが発足した1993年頃は、海外と日本でのフェアトレードの認知度はかなりの差があったということでしょうか?

中島

そうですね。海外では当時すでにフェアトレード専門ショップがある程度広がっていたことと比べると、国内での認知はかなり低かったと思います。

そもそもフェアトレードは、欧米を中心に広がってきた経緯があります。特に1960年代以降、欧米各国では、途上国の人たちが作る手工芸品などを市場価格より高く買い取り、貧困問題の解決に繋げようと、そうした商品を扱うフェアトレード専門ショップが増えていきました。

その後、コーヒーやカカオなど国際貿易で取引される一次産品にこそフェアトレードの仕組みが必要ではないかという考えが出てきたこともあり、明確なフェアトレード基準を設定し、基準を満たした商品にラベルを貼り消費者にわかりやすく伝えるという「フェアトレード・ラベル」が1980年代後半にオランダで誕生しました。

1990年代に入ると、この運動が欧米各国に一気に広がっていきます。一方日本は?というと、フェアトレードを実施していた団体はごく一部でした。

そんなとき、日本福音ルーテル聖パウロ教会の松木傑牧師が教会活動の一環としてドイツを訪れます。日本でNGOとしてフェアトレードの活動を行なっていた松木牧師は、同様の仕組みが日本でも必要であると感じて、日本にフェアトレード・ラベル運動の考え方を導入しました。

そうして3つの団体が設立メンバーとなり1993年に発足したのが、現在のフェアトレード ジャパンの前身である「トランスフェアジャパン」です。

―その後どのようにして、日本では10代の知名度が8割にまでに拡大してきたのでしょうか?

中島

発足後10年間ほどは、周知活動を様々に工夫しながら行なっていたものの、フェアトレードがほとんど日本社会で認知されておらず、企業の取り組みを促すことに非常に苦労しました。

2002年にスターバックス コーヒー ジャパン 株式会社が全国の店舗でフェアトレード認証ラベルの付いたコーヒーを販売するようになったのが、大手企業での取り組みとしては国内初でした。そこから、徐々にイオンなど他の大手企業での取り組みも少しずつ増えていき、多くの人が頻繁に目にする売場でフェアトレード認証ラベルの付いた商品が売られるようになったことで、徐々に認知が広がっていったのです。

そしてここ数年はSDGsの登場によって一気に社会の関心が高まってきたと感じています。

SDGsの追い風、時代がフェアトレードの歴史に追いついた

フェアトレードラベルジャパン
(画像提供:フェアトレード・ラベル・ジャパン)

―確かにここ数年は、SDGsの登場によって企業が自社活動をサステナブルな社会の実現に結びつけて語るようになりました。SDGsとフェアトレードの関係性について、もう少し教えてください。

潮崎

SDGsの「誰一人取り残さない(leave no one behind)」という誓いは、私たちの思想と非常に親和性が高いと感じています。というのも、フェアトレードの根幹には小規模農家の支援があるからです。

小規模農家は、資金的な基盤がなく、金融危機や環境問題などの様々な問題に真っ先に影響を受けます。確かな技術や実力があるにもかかわらず、規模の問題から取り残されやすい立場の人たちの自立を支えるためにつくられたのがフェアトレードなのです。

―第一に、SDGsとフェアトレードには、根幹にある思想に親和性があると。

潮崎

はい。それだけでなく、企業がフェアトレード活動に参画することは、SGDsの17のゴール全てに寄与するほどのインパクトを持つと考えています。

なぜなら私たちが依拠する国際フェアトレード基準は、「社会」「環境」「経済」という3つの原則を持っており、それぞれが持続可能な社会の実現に繋がっているからです。

「社会」とは、例えば児童労働・強制労働や差別の禁止だけでなく、労働者への適正賃金や権利の保護、安全な労働環境の整備、ジェンダー平等、民主的で透明性のある運営なども含みます。

「環境」は、農薬・薬品の使用削減と適正使用、土壌・水源・生物多様性の保全、水資源の持続可能な利用、温室効果ガス排出削減、遺伝子組み換え品の禁止などが定められています

これら2つもサステナブルな社会を実現するために必要不可欠な観点ですが、よりポジティブな観点からサステナビリティを実現するために定められたのが「経済」で規定されている「フェアトレード最低価格」と「フェアトレード・プレミアム(奨励金)」です。

「フェアトレード最低価格」とは、市場価格が暴落しても、生産コストをまかない、持続可能な生産を可能にするだけの金額を保証して、生産者の生活を守る仕組みです。そして「フェアトレード・プレミアム(奨励金)」は、生産地域の社会発展のための資金を生産者に保証する仕組みであり、最低価格に上乗せするかたちで支払われます。

この仕組みにより、フェアトレード商品を購入することで、生産者の暮らしを守り、人びとの健康や子どもたちの教育を支え、自然環境の保全に貢献することが可能となります。

サステナブル社会の実現にインパクトをもたらす「仕組み」

フェアトレードラベルジャパン
(画像提供:フェアトレード・ラベル・ジャパン)

―フェアトレードは、サステナブルな社会を実現するために重要な3つの要素、「社会」「環境」「経済」に直接的なインパクトをもたらす「仕組み」なのですね。

潮崎

従来は「意識の高い一部の人が協力するニッチな分野」として語られることがありましたが、今や「SDGsは、当たり前のこと」という意識を持つ方も少なくありません。フェアトレードはより自然なかたちで日本人の暮らしの中に溶け込んでいくと思います。

一方、世界的に見ると国内のフェアトレードの市場規模は世界全体の1%に過ぎません。例えばイギリスは日本の20倍以上の市場規模があります。日本の経済規模からすると、まだまだ伸び代があります。SDGsへの関心の高まりという時代の後押しを受けて、私たちの役割もより重要になってきていると実感します。日本においてフェアトレードを導入したいという企業の皆さまとの連携をより積極的に進めていきたいと思います。

◎法人概要
特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン
http://www.suavehotel.net
所在地:東京都中央区日本橋富沢町11-6 英守東京ビル3階
事業内容:国際フェアトレード認証ラベルのライセンス事業、製品認証事業と、普及推進活動・教育啓発活動

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ライター:

1991年東京生まれ。中央大学法律学部出身。卒業後は採用コンサルティング会社に所属。社員インタビュー取材やホームページライティングを中心に活動中。

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