
どんなドライバーが来るのか、いくらかかるのか分からない。電話予約での「言った言わない」のトラブル。高齢化で需要が高まる介護タクシーには、利用者にも事業者にも積み重なった課題がある。
介護タクシー予約アプリ「よぶぞー」を運営するIT FORCEが、利用者と事業者を結ぶ独自の配車予約システムで特許を取得した。
倒産最多の介護業界、電話予約に潜むリスク
東京商工リサーチ TSRデータインサイトによると、2024年上半期の介護事業者の倒産件数は過去最多の81件(前年同期比50.0%増)を記録し、なかでも訪問介護事業者の倒産が最も多く、介護報酬改定などによる売上不振が大きな要因とされる。介護を取り巻く経営環境は厳しさを増している。
介護タクシーの現場にも課題が山積している。高齢化に伴うドライバー不足に加え、予約は電話対応が中心であることから、「言った・言わない」のトラブルや、運転中の電話対応による安全リスクが生じていた。利用者にとっても、料金体系やドライバー情報が事前に分かりにくく、利用の心理的ハードルとなっていた。IT FORCEは、アプリ上で配車予約を完結できる「よぶぞー」を提供し、こうしたトラブルの抑制や予約の取りこぼし防止に取り組んできた。
指名予約・目安料金・最適マッチングを実現
今回取得した特許(特許第7876786号)は、利用者の状態と対応可能なドライバーを最適にマッチングするだけでなく、「どんなドライバーが来るのか」「いくらかかるのか」といった利用者の不安を解消する点に特徴がある。
具体的には、お気に入りのドライバーをアプリのボタンから簡単に指定できる「指名予約」、ドライバーが設定した料金テーブルに基づき自動計算して提示する「目安料金」、指名がない場合に条件に合うドライバーを自動でランク付けして割り当てる「最適マッチング」などの機能を備える。さらに、指名されたドライバーが対応できない場合に、利用者の承諾を前提として信頼できる他のドライバーへ予約情報を共有できる「予約共有」機能も持つ。これは旅行業の登録をしているからこそ実現できる、柔軟かつ適法な代理手配機能だという。
「いつもの人」を安心して頼める仕組み
これらの機能が目指すのは、介護タクシーを安心して利用できる環境づくりだ。特定の利用者ごとに記憶されたお気に入りドライバーを指定でき、名刺やリーフレットの二次元コードを読み取れば専用予約画面から直接依頼を送ることもできる。利用者は状況に合わせた多様な方法で「いつもの人」を指名でき、迷うことなくサービスを受けられる。
料金面でも、目安料金を予約画面に表示することで「いくらかかるか分からない」という不安を解消し、料金トラブルを未然に防ぐ。利用者の介護情報からドライバーが対応の可否を判断できる機能も備え、ミスマッチを防ぐ。移動手段の確保に困りがちな高齢者や要介護者が、安心して外出し社会活動に参加できる環境を整える狙いだ。
誰もが安心して移動できる社会へ
「よぶぞー」は介護タクシーに特化した配車予約のマッチングアプリで、現在は東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫の6都府県に対応する。令和6年度の「STI for SDGs」アワード優秀賞や、ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」社会部門賞などの受賞歴を持つ。 IT FORCEは2006年設立、東京都中央区に本社を置き、システム開発やSalesforce導入支援などを手がける。「デジタル技術を活用して、社会と人々の生活を変革する」をミッションに、公共DXや社会福祉DXなどの領域で事業を展開する。同社は今回の特許技術を活用し、今後は自治体や医療機関、関連団体との連携を進めながら、登録事業者数の増加や提供エリアの拡大を見据える。高齢化で移動に困る人が増える中、誰もが安心して移動できる社会の実現に貢献するとしている。



