
独自の湾曲ハンドル付きキャリーバッグや世界最小クラスの折りたたみ車いすを展開する株式会社スワニーは5月19日、同社の試乗用車いす「Swany Mini(スワニーミニ)」を自社のメンテナンス技術で再生し、地元東かがわ市の観光施設「讃州井筒屋敷」に贈呈したと発表した。
同社によると、展示会や購入前の体験用として役目を終えた車いすを廃棄するのではなく、独自技術で新品同様の走行性能に蘇らせ、歴史的な施設での来場者の移動をサポートする「サスティナブルな地域貢献」として位置づけている。スワニーと井筒屋敷は創業者時代からの長年の縁があり、地元企業同士の「ぬくもりのリレー」として今回の取り組みが実現した。
創業者時代から続く東かがわの縁。讃州井筒屋敷とは
讃州井筒屋敷は、江戸時代より続く醤油屋の商家をリノベーションした東かがわ市を代表する観光施設だ(所在地:香川県東かがわ市引田)。手漉き和紙や醤油づくりの伝統を今に伝える歴史的な建築物であり、細い通路や趣ある空間が施設の魅力の一部をなしている。スワニーと井筒屋敷は、スワニーの創業者時代からの地元同士の繋がりがあり、今回の贈呈はその長年の縁を背景に実現したものだ。
スワニーは1937年に香川県東かがわ市で創業し、キャリーバッグや車いすの製造販売を手がけてきた。「歩く楽しさを提供する」をミッションに掲げ、独自の湾曲ハンドルを備えたキャリーバッグや世界最小クラスの折りたたみ車いすなど、使う人の動きに寄り添う製品を展開している。地元の地場産業として長く根付いてきた企業だからこそ、地域の歴史的施設との縁が世代を超えて続いている。
「使い捨てない」ものづくり。メンテナンス技術で再生した試乗機材
今回贈呈した車いすは、展示会や購入前の試乗・体験用として使用してきた機材だ。役目を終えた機材は通常廃棄される流れになるが、スワニーでは独自のメンテナンス技術を活かして新品同様の走行性能に蘇らせた。全国で開催している「スワニーバッグ診断会」で培った専門スタッフによる緻密な点検・修理技術を投入し、パーツ単位での調整と消耗部品の交換を丁寧に施している。
この再生を可能にしているのは、開発段階からの設計思想にある。スワニーは「長く使えること」を前提にパーツひとつひとつを設計しており、修理と調整がしやすい構造が廃棄の代わりにリユースという選択を可能にする。廃棄せず地元施設に届けるという今回の行為は、環境への配慮と地域貢献が一体になったサスティナブルな取り組みだ。
「キャスターのスワニー」Swany Miniが歴史建築の細道を軽やかに走る
贈呈した「Swany Mini」は世界最小クラスの折りたたみ車いすだ。江戸時代の商家をリノベーションした井筒屋敷のような歴史的建築物は、細い通路や入り組んだ空間が多い。Swany Miniは圧倒的な小回り性能を備えており、そうした場所でもスムーズに方向転換ができるため、来場者が施設内を快適に巡ることができる。
「キャスターのスワニー」と称される独自技術を応用した走行感も特長の一つだ。軽い力で滑らかに動き出すため、本人だけでなく介助者の負担も軽減する。施設内の趣ある雰囲気を損なわない上質なデザインも、歴史的施設での使用に適している。移動のバリアをさりげなく取り除きながら、場の空気を壊さない——そのコンセプトが、贈呈先の施設の特性と見事に重なっている。
地域の中で物と心が循環する「ぬくもりのリレー」
スワニーがこの取り組みに込めたのは「ぬくもりのリレー」という言葉だ。地元企業の産品が地元の歴史ある施設で活用される——その循環は単なる物品の贈呈を超えた意味を持つ。試乗用機材が廃棄という選択を経ずに、メンテナンスという技術と地域との縁という人間関係を通じて新たな役割を得る。ものの命を延ばすことと、地域の絆をつなぐことが、一つの行為の中に重なっている。
スワニーは今後も製品を通じてポジティブでアクティブに「私らしく自立した」ライフスタイルを過ごしたい人々を支援するとともに、地元香川県との繋がりを深め、持続可能な社会の実現に寄与する活動を続けるとしている。全国に製品を届けながら、地元の土台に根を張り続けるという姿勢が、この小さな贈呈の行為ににじみ出ている。



