
ゴミとして捨てられたはずのペットボトルや廃漁網が、これほどまでに優雅な曲線を描くものだろうか。環境への配慮を「義務」から「憧れ」へと変えた韓国発のブランドが、今、日本のストリートに新たな風を吹き込んでいる。
流行の聖地に現れた異彩を放つバッグ
若者とモードが交差する東京・原宿。その一角に、吸い込まれるような色彩と繊細な陰影を纏った空間が出現した。韓国で社会現象を巻き起こしたサステナブルバッグブランド「PLEATSMAMA」のポップアップストアである。
並んでいるのは、まるで芸術品のように折り重なったプリーツバッグの数々。手に取った人々は、その想像を絶する「軽さ」に目を丸くする。看板モデルの「BOW BAG」をはじめとするプロダクトは、単なる流行品ではない。一見すると繊細なデザインの裏側には、現代社会の歪みを正そうとする、ある「執念」が隠されている。
廃漁網を宝石へと変える驚異の編み技術

多くのブランドが「エコ」を掲げる中、彼らのアプローチは群を抜いて徹底している。使用するのは、海を汚染する廃漁網やペットボトルを再生した糸。驚くべきは、世界で初めて「100%リサイクルスパンデックス」の商用化を成し遂げた技術力だ。
他社との決定的な違いは、素材を単に再利用するだけでなく、自社工場が誇る高度なニット編み技術によって、極上の伸縮性と耐久性を与えている点にある。このプリーツは、単なる飾りではない。荷物を入れれば柔軟に膨らみ、空になれば魔法のように平らに畳める。美しさと機能が、一糸乱れぬ計算の上に成り立っているのだ。
広げれば無限、畳めばコンパクトという哲学
なぜ、彼らはこれほどまでに「プリーツ」に固執するのか。そこには、ブランドが掲げる深い人生観が流れている。担当者は語る。丁寧に折り重なったプリーツを広げる行為は、使う人の「可能性」を広げることそのものであると。
彼らが拒絶するのは、環境に良いからという理由だけで「妥協」して物を選ぶ消費スタイルだ。美しさに一目惚れして購入し、使い心地に感動して愛用する。その結果として、地球が少しずつ綺麗になっていく。そんな「無理のない循環」こそが、彼らの目指す理想郷なのだ。クリエイティブの力で、リサイクルという言葉に宿る地味なイメージを、鮮やかに塗り替えてしまったのである。
我々は「ゴミ」を愛することができるか
PLEATSMAMAの挑戦は、現代のビジネス界に一つの答えを提示している。社会課題の解決を、いかにして人々の「欲求」と結びつけるかという難題だ。
製品を手にした瞬間の高揚感から、日常で使い倒す実用性まで、そこには一切の隙がない。原宿の地に並ぶバッグたちは、我々に静かに問いかけてくる。次世代の豊かさとは、贅を尽くすことではなく、知恵と技術で「価値なきもの」に命を吹き込むことではないか、と。このプリーツの波は、これからの消費のあり方を劇的に変えていくに違いない。



