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国連グローバル・コンパクト「家族に優しい職場ガイドブック」刊行 日中韓企業の取組に学ぶ、男性アライシップと未来の職場

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東アジアの企業文化に迫る ガイドブック刊行の背景

国連グローバルコンパクトジャパン「家族に優しい職場を推進するためのガイドブック」の刊行
国連グローバルコンパクトジャパンHPより

2025年、国連グローバル・コンパクト(UNGC)は25周年、北京宣言・行動綱領は30周年を迎える節目の年だ。この象徴的な年の3月、国際女性月間にあわせてUNGC中国オフィスは、日中韓の協力のもと、「家族に優しい職場と男性アライシップ」に関するガイドブック『Parent at Work: Companies Building Family-friendly Workplaces and Inclusive Culture with Male Allyship』を4月4日に発表した。

これは「中日韓ビジネス・ラウンドテーブル」の一環として発表されたもので、企業が人口減少とジェンダー不平等という共通課題にどう取り組むか、その道筋を照らすものとなっている。

 

日中韓の先進事例──BIPROGY、DiDi、Kolmar、Lenovo

本ガイドブックでは、日中韓を代表する4社の取り組みが紹介されている。

日本のBIPROGY Inc.は、柔軟な働き方の導入と男性の育児休暇取得促進によって、男女ともに働きやすい職場づくりを進めている。特筆すべきは、2022年における男性の育休取得率が50.7%に達し、平均取得日数は119日にのぼった点だ。キャリアと育児の両立を可能にする制度が、組織の持続可能性を下支えしている。

中国のDiDi Globalでは、妊娠・出産前後のフォローから復職支援まで、社員のライフステージに寄り添う体制を整備。社内ネットワーク「DiDi Women’s Network(DDWN)」を通じて、社員同士のコミュニティ形成や、男性役員によるジェンダー課題への積極関与を促している。

韓国のKolmar Groupは、育児・教育・介護を支援する包括的な福利厚生制度を設計。子ども1人につき最大2000万ウォンの支援金や、祖父母の介護を支援する手当もあり、企業としての姿勢が国家の少子高齢化対策と呼応している。

また、Lenovoは社内保育施設を運営し、育児中の従業員が安心して働ける環境を提供している。復職プログラムや柔軟な勤務体系の導入により、従業員のワークライフバランスとキャリアの両立を支援する取り組みが高く評価されている。

 

「男性アライ」が職場文化を変えるカギに

ガイドブックでは、男性がジェンダー平等を推進する「アライ(Ally)」として行動することの意義を強調している。この「男性アライシップ(Male Allyship)」とは、男性が女性や多様なジェンダーの人々と連帯し、共に差別や不平等を解消しようとする姿勢や行動のことを指す。単なる「支援者」ではなく、組織の中で積極的に不平等を是正し、声を上げ、行動する仲間としての役割が求められる。

たとえば、会議の場で女性の意見を軽視するような風潮に対して、男性が「それはおかしい」と声を上げたり、育児休暇の取得を自ら実践して組織文化を変えることなどが、男性アライシップの一例だ。ジェンダー平等の実現には、影響力のある立場にいる男性が当事者意識を持ち、変化の担い手となることが不可欠とされている。

男性アライシップはまた、男性自身の生き方や働き方の多様性も肯定する考え方であり、「男らしさ」や「一家の大黒柱」という固定観念に縛られず、家庭と仕事の両立を選択できる社会の実現にもつながる。

少子化・高齢化時代にこそ求められる構造改革

ガイドブックは、急速な少子高齢化と労働力人口の縮小という構造的な課題に対し、企業がどう適応するかを問いかけている。国連の推計によれば、東アジアでは2050年までに人口の3分の1が60歳以上になるとされており、介護と育児の「ダブルケア」が避けがたい現実となる。

このような環境下で、家族に優しい制度の整備は、従業員の定着率や生産性を高める「経営戦略」の一環ともなる。ガイドブックでは、WEPs(女性のエンパワーメント原則)に基づいた7つの行動指針を掲げ、各社がどのように制度を整え、実行し、評価・改善していくべきかを段階的に解説している。

 

ガイドブックを手に、次の一歩へ

家族と仕事の両立が困難な時代にこそ、「誰一人取り残さない」職場文化の構築が求められている。ガイドブックでは、政策立案者や企業リーダー、人事担当者に向けて、実践的なフレームワークと豊富なケーススタディを提示しており、制度設計の参考資料としても極めて実用性が高い。

「家族に優しい職場づくりに、どこから着手すべきか分からない」という企業にとって、このガイドブックは有効なナビゲーションとなるだろう。読者自身が所属する組織に照らして、すぐに取り組める施策や改善のヒントが詰まっている。

ガイドブックは英語での刊行だが、各国・各社の文脈を踏まえて記述されており、国際的な視点とローカルな実践が交錯する貴重な知見集となっている。ジェンダー平等の実現に向けた「次の一歩」を考えるきっかけとして、ぜひ手に取ってほしい。

ガイドブックはこちらから https://unglobalcompact.org/library/6285

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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