
パーソルダイバース株式会社が運営する「とみおか繭工房」の桑和紙栞が、「全国推奨観光土産品審査会」で受賞した。廃棄される桑の枝を活用したサステナブルな商品開発と障害者雇用の両立が評価された。
桑和紙栞が観光土産品審査会で受賞
総合人材サービスを提供するパーソルグループの特例子会社、パーソルダイバース株式会社が運営する「とみおか繭工房」の桑和紙栞が、「2024年度(第65回)全国推奨観光土産品審査会」において「在東京ブータン名誉総領事館賞」を受賞した。同審査会は、日本商工会議所と全国観光土産品連盟が主催し、全国各地の優れた観光土産品を選定するものである。今年度は全国から294社・556商品の応募があり、特に優れた59商品が受賞した。
廃棄される桑の枝を再利用—独自のアップサイクル戦略
とみおか繭工房は2017年、群馬県富岡市に開設された。歴史的な養蚕業の活性化と、障害者の新たな雇用創出を目的とし、養蚕や桑園管理、繭の生産に取り組んでいる。なかでも、養蚕過程で剪定後に廃棄されていた桑の枝を再利用し、手漉きの桑和紙として商品化したことが注目された。
2022年には、さらに障害者の就労の場を広げるべく「Merci Cocon & Café」を開設。旧富岡倉庫をリノベーションした施設内で、障害のある社員がカフェ業務に従事するとともに、桑和紙製品やシルク関連商品を販売している。今回受賞した桑和紙栞も、富岡製糸場内の売店や地域の道の駅などで販売されている。
サステナブル経営の背景—資源活用と障害者雇用の融合
養蚕業では年間約1tの繭が生産される一方で、剪定される桑枝は約2,700kgに上る。これまでは廃棄されていたが、「資源の有効活用」と「障害者の新たな活躍の場の創出」という二つの視点から、桑和紙栞の商品開発が進められた。和紙の品質を一定に保つため、季節ごとの温湿度変化に応じて漉き方や原材料の調整を重ねることで、完成度を高めた。
とみおか繭工房では、単なる製品販売にとどまらず、障害者が製造工程のすべてに関与できる仕組みを整えた点も特徴的だ。製品の付加価値を高めながら、地域の歴史や産業と密接に結びつくことで、持続可能なビジネスモデルを構築している。
パーソルダイバースの取り組みから学ぶ—企業の社会的責任とは
パーソルダイバースの取り組みからは、企業が持つ資源をどのように活用し、社会課題の解決に結びつけるかという示唆が得られる。単なるリサイクルではなく、廃棄物に新たな価値を生み出す「アップサイクル」の発想は、他業界でも応用可能だ。
また、障害者雇用の枠を超え、個々の能力を活かせる環境を整えることで、持続的な成長が可能になることも示している。サステナビリティとダイバーシティの両立を実現した同社の事例は、多くの企業にとって示唆に富むものとなるだろう。